第13話夜に向かって

 明け方の、夜冷めやらぬ、幻灯のかがり火が、あかい、空に、ひろがる大地。爆発していく、赤い放熱。

それから、子供は夢を見た。

大きな夢、小さな家庭、そして、励まし。

愛と言うものが、身近に感じられた時、胸躍る、抱きしめる父親の腕がギュっと、包み込んで、離さない。でも、離す時が来る。

寂寞とした炸裂

前衛音楽のような、不可思議なワルツ。

狂っていくステップ。踏み外す、靴を踏む。痛いと感じたその痛みが恋。

夜は、明けない。死の臥所に、最愛のものがいる時、君はどうする?

僕なら、こうする。

抱きしめる。

しかし、現実の壁は厚く、思いは様々に狂っていく、アタック&ジュブナイル

反抗の君が、傷つき、涙を流すその時に、もう、途方に暮れて、愛はない。

ただ、心の喪失感だけが、静かに沈んでいく、大地の彼方へ。

溶けていく。

溶けていく。

恋心が、アイスクリームを落として、アスファルトにぶつかる瞬間に、潰れる。

踏みつける。錯乱の悦び。

衣を脱いだ堕天使が一人。

月夜に、陰る、光を背にして。

連なる、星の静寂の流れる川に、宇宙の軌跡が、宙を舞う。ロケット砲が、飛んだ時、荒くれ者のスペースカウボーイは、銃を抜く。

こんばんは、落ちつかないようですね。

それならワルツはいかがかな。

不適切な、ステップ。ノーノ―、散らばる黒い花びら。もう、ここまでくると踊るしかない。

続いていくダンスと、不協和な、合唱団

天びんが揺れる。

金と愛の間を。

そして神は決断した。

愛を信じる方向に、犠牲の羊を捧げずに。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ロックンロールブラックモダン詩集 鏑木レイジ @rage80

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ