第11話 トヨと亮
梅雨の合間の晴れた日に、山間にある、和洋折衷の、庭に面した広間で、集団見合いのような,集いがあった。親子ずれでの集まりで、女の人の方が多くいた。庭に面したところは、芝生にある庭園に出られて、カップルが決まった人は、回遊していた。
亮は、会社の先輩の連れということで、一緒に来ていた。立食で、美味しいものが食べられると、言われたので、学生服で来ていた。
先輩の聡は、二十五歳に成っても、嫁になる相手がいなかった。女の人の方が多いのに、気の合う人は、なかなか、出会いは無かった。めぼしい人は、ほかに二三人いて、声をかけることが出来なかった。
亮は、付添いの親御さんの席の、隅に座っていた。見合いの人は、胸に番号をつけていた。
亮は、番号つけてなかったので、相手探しは大変だと、見守っていた。先輩は、なかなか、決まらないようだったが、気の合いそうな人に、話しかけていた。そこに、大きめなお皿にお寿司をいっぱい乗せて、五十過ぎのご婦人が、貴方さっきから見ていましたが、お料理の所へ行かないので、私が持ってきました。と言って前にある丸テーブルの上に置いた。
亮は、先輩が、まだ、何も食べていないのに、僕だけ、食べるわけにはいきません。と言った。ご婦人は、娘を連れてきているらしかった.トヨと言った。
トヨは、私の娘は、もう二十五歳になりますの、私の家の一人娘で、お婿さん探しに来たのですが、なかなか、ご縁が無いようで、本人も、来る気は無かったのですが、私が、強引に連れてきたのです。皆さん、帯に短かし襷に長がしで、今日も駄目みたいです。学生さん、お寿司一緒に戴きましょう。と、なれなれしかった。ところで、あなた様は、お幾つと聞いてきた。
亮は、十九歳で、夜学で来年春に卒業ですと言った。
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トヨは、私の娘、一寸つまらなそうに、庭の先、池の前に女同士で話をしている、小太りしている方が娘ですと言った。
亮は、奥さんに、お年より若く、見えます、綺麗な娘さんではないですか、お婿さんが決まらないなんて、不思議ですねと言った。
トヨは、亮に、褒めてもらって、ありがとうと言った。私の家は、お土産屋でして、あの子はお店の看板娘なのです。
亮は、今日決まるといいですのにねと言った。
トヨは,真面目そうな亮と、顔が合ったとき、身体の芯が欲しがった。席を外して、又ご馳走を運んできて、亮に、折角だから、ちゃんと頂いた方がいいですよと、亮さんもおなじのようで、男の人は、恥ずかしがり屋だから、自分でとりに行くのは、遠慮しがちだから。私に任せてと、若いからどんどん戴いて下さいと、亮が何とか自分に気が向くよう、なれなれしく振る舞った。
この席の参加費は、無く、代わりに、和式の部屋もあるが、ホテル式の部屋もあり、この部屋に泊まることが、前提条件だった。
亮の座っているテーブルに、二時までの話し合いだったから、各自席に戻っていった。先輩も戻ってきた。
先輩は、今日決まりそうな女性に出会ったから、もう少し話がしてみたいので、先に帰るが、亮は折角だから泊まっていってくれ、費用は、もう払い済みだからと言って,先輩は、ほとんど食べないで、旅館をあとにした。
亮は、トヨ奥さんに世話になって、大分美味しいものが食べられた。
トヨは、娘を連れて挨拶に亮のテーブルに来た。綺麗な娘さんだけれど,芯が強そうに見えた。この娘さんに合う男の人は、一寸難しいそうに思えた。
花江と言った。
花江は,この会場に学生服で来ている人は、亮だけだった。貴方、大学生か、と聞いてきた。
亮は、定時制高校の四年生で、昼間は、会社勤めです。俺,まだ背広が無いので、着てくるものが無くって、どうせ自分のお見合いでないので、場違いな服で来てしまいました。
花江さん、お似合いな方、出会いましたかと聞いた。
花江は、あたしは、婿取りだから、両親に気に入らないと、無理なの。亮さんが、このお見合いに参加されれば、好かったのに、そうすれば、あたしが指名させてもらったのに、遠くから、母と楽しそうに話しているところ見ていました。亮さんなら決めたかった、残念だったわ。と言った。そして、母トヨに、あたし泊まらないで帰ります。お父さん一人では、可愛そうですから。と言って、お母さんは、おさめたお金が勿体ないから、たまにはゆっくり泊まって、身体休めてください。と言って、帰ろうとした。
花江は、亮に、亮さんに、ここで逢うなんて、ご縁があるのよね、握手だけでもして帰りますと手を差し出した。
亮は、女の人と、折入って話すことなど今までなかった、まして、握手するなんて、考えられなかった。せっかく出された、花江の手を握った。軽い気持ちで差し出した手を、力強く握ってきた。
花江は、亮さんと、いつかまたお会いできると、いいですね、と言って、話しかけてきて、握った手を、なかなか離さなかった。
亮は、一寸とドキドキしてきていた、そして、花江さんの手を握り返して、顔を見た。
花江も、亮の顔をジーット見ていたが微笑み返してきた、私を忘れないでと印象つけていた。
トヨは、それを見ていて、花江、お連れさんが待っているみたい、早くおいでとこっちを向いていますよと教えた。
花江は、やっと手をはなし、でていかれた。
トヨは、亮に、花江のことを話しだしてくれた。
トヨは、私と花江は、この見合いの広間に、少し早めに入りまして、今日のお相手になる方が、入ってくるのを見ていました.第一印象が、一番だと思い、しっかり見させてもらいました。花江は、私に今日も、心をゆすぶる方はいません。いくら女が多い時だからと言っても、今日も、無駄でしたと言っていて時、最後に、亮さんが、先輩の方と入ってきました。
花江が、私に、お母さん、あの学生服の人,どうも、見合いの人でなく、付添いみたいだけれど、私、顔が合った瞬間、私の母体が、この人を受け容れなさい、逃してはいけないと、知らせがあったの,こんな気持ちになること初めてです。と亮さんのこと、言われていたのです。
トヨは、花江、だってあの人、二十歳、前みたい。無理でしょうと言ったら。
花江は、ここで逢うのも、何かの縁があると思うの、お母さん良く調べておいてと言われまして、初対面の亮さんに、私のこと,おかしな、おばさんだと思もわれたでしょうが、お近付させてもらいましたと言われた。
亮は、こんな席は、初めてで,どうしようかと迷っていたところ、一緒にお料理を食べさせてもらい、感謝していますと言った。
トヨと亮は、知らない人のなかで、話しかけられる、知り合いに成って、誰が見ても、普通の親子みたいになっていた。
トヨと亮は、同じフロア―で、ローカを挟んで向かい合いの部屋だった。
トヨは,亮を、夕食まで、お茶を煎れますから、着替えて、部屋に来てくださいと誘った。
亮は、学生服を、浴衣に着替えた。夕食まで時間があるのでトヨのいる部屋に入った。
トヨは、パックの紅茶を入れた。そして持ってきていた、一口最中を出してくれた。お土産屋でよくでる、お菓子だった。
亮は、奥さんの、入れてくれた、紅茶を飲んで、いろいろな話をした。
トヨは、着物を着たままで、きりっとしていた。亮の生い立ち、生活環境、などいろいろ聞きだしていった。
夕食、朝食、はバイキングだった。五時から八時までだった。和室のあるホテルだったから浴衣で歩いても、好かった。トヨは、夕食には、高そうな着物のままで、亮を誘って、厨房付の食堂に入った。
見合いが、上手く、まとまったらしい、人が三組、入っていた。
厨房の中で見えるように天ぷらを揚げていた。あげたてを、食べられた。
和食が主のテーブルには、お寿司も、お蕎麦も、煮しめ等充分にあり,洋食の主のテーブルには、食パン、ジャム、クリーム、いろいろなケーキ、フルーツ、そしてステーキ、カレーまであった。外国人もいた。
トヨと亮は、楽しく食事をして、部屋に戻った。
亮は、いっぱい食べたので、未成年だけれど、一服していた。
トヨが、亮の部屋をノックした。
亮が、顔を出すと、トヨが、浴衣に着替えて立っていた。
トヨが、お風呂は大風呂でゆっくり入りたいので、一緒に行ってくれる。と言われた。
亮は、僕も、部屋付風呂より、大風呂に入りたかったので、いいですよ。と答えた。
おおきい風呂は、夜中の十二時を境の男女入れ替わった。
風呂から上がったのが、九時半回っていた。フロントの横にある喫茶室で、
トヨは湯上りのビールを飲んでいた。
亮は、夕食の時ワインを飲んだので、コーヒーを頼んだ。
トヨは夕食時もワインを多めに飲んでいた。湯上りでのビールが効いたらしい。
亮は、奥さん、男が、奢らなければ、いけないのですが、僕お金のもち合せは少ししかありませんと言った。
トヨは、私がお誘いしたのですから、心配しないでくださいと言ったが、酔いが回ってきていた。
亮が、もう充分ですから、あがりましょう、いずれどこかで、ご恩返しさせてもらいますと言ったが。
トヨは、せっかく骨休みが出来る素敵な夜なのに、寝るのはまだ早いです。と言って聞かなかった。喫茶室の並びの奥がホールに成っていて、ダンス音楽が流れていた。亮に、貴方、社会勉強のつもりで、踊っていきましょう、と大胆になり手を引いた。部屋のカギをフロントに預けて、あたしの部屋に付けていてくださいと、ホールに入った。
ムード音楽に合わせて、踊っていた。たばこの煙が、もうもうとしていて、大人の世界だった。
トヨは、亮を、踊りに誘った。
亮は、ダンスなんか初めてだった。浴衣になった奥さんは、昼間とは別人に成っていた。社会勉強だと誘われたが、奥さんと組んで踊りの輪に入った,ふらっとしている奥さんは、亮に、もたれかかるように抱きついた。亮は、奥さんが、倒れないようしっかり受けとめていた。トヨ奥さんの肌が密着して、女の人を感じてきてしまった。亮の股にトヨは、右の腿を擦り付けた。
このホールのチークダンスが、二人を結ばせる、序曲だった。
トヨの部屋に無事に戻った。
亮は、トヨをベッドに仰向けに寝かせてやり戻ろうとしていたら。
トヨは、亮は、私の身体を見ても、襲い掛かってこない、あたし魅力が無いのかな、思い切って、目をつむったまま、わめくように、胸が苦しいと言って、浴衣の紐を解いて、乳をさらけ出した。どうしても,亮を捕獲したかった。
亮は、自分の部屋に、戻るにも戻れず、ご馳走してくれた、奥さんを、ほっとけなくなって来た。
亮は、奥さん、苦しいのですかと言って、撫でていいですかと聞きながら、悶えている、胸をさすりだした。自分も、身体がむらむらしてきてしまった。
亮は、奥さんの悶える姿に、いいですか、と言って、乳房を揉みあげ、とうとう乳首を撫でてしまった。
トヨは、目をつむったまま、躰の痴態を演じていた。
亮は、トヨの身体を、懸命に撫でながら、お臍周りになった時、トヨは、腰紐を外して、全裸にしてしまった。
トヨは、無意識のうちに、股を少し開いて、陰部が見えるようにした。
亮は、女の人は初めてだったが、陰部から発するる熟女の男を誘う臭いに、亮は、勃起してしまったので、浴衣をぬいてベッドに上がってしまった。
トヨは、自然に膝を、曲げ股を開いて、どうぞ入れてというように腰を浮かした。花江の婿に決めたかった。
亮は、初めてだったが、陰部を目の当たりにして、勃起した陰茎を、どうしていいか迷っていた。
トヨは、その時、目を閉じているのに、亮の陰茎を右手でにぎり膣口に導いた。
亮は、寝ているはずの奥さんの手に、陰茎が握られたので、あれ、と思ったら、導かれた陰茎は、難なく挿入できて、奥さんと繋がり一体となっていった。
トヨは、亮を、もう離さないと、言うように、しがみつき、抱き寄せた。
亮は、初めての交わりで,勢いよくトヨの子宮めがけて、射精していった。
結婚する人のために童貞でいたいと思っていたが、トヨの色香に誘われて、罠にかかったように、ただで結ばれてしまった。
今日初めて会って、そして結ばれ、誰にも言えない、関係になってしまった。
トヨは、旦那とは、十何年とご無沙汰だったので、若い亮の身体の勢いに、女が起こされていった、表向きは花江の為だと理屈をつけても、本心は,不倫だろうが、ふしだらな女と思われようが亮と秘密に肉体関係を持ちたいのは自分だった。娘にすまないとか、後悔はなかった。
亮も、熟年のトヨの、魅力の虜に成っていった。
二人は、朝まで床を一緒にした。激しく求めあった情事のあと,トヨはきりっと着物を召して、何も無かった、親子のように、亮と、朝食に向かった。
亮は、変身するトヨに女の凄さを感じていた。
トヨと亮は,結ばれた日以後、逢うことは無かった。あれから三か月過ぎた。
トヨは、亮に連絡したいと思っても、亮の住んでいる家には、電話は無いし、住所は聞いてあったが、手紙は出せないし、私の店の電話番号を教えておいたが,かかってこなかった。おそらく主人が出たら、まずいと思っていたのだと思う。すぐ会える機会があると思っていたが、こんなに逢えないと、不安になって来た。裸で抱き合い重ねた肌に感じた若い亮の勢いを、ほかの女に取られたくなかった。
トヨは,亮を忘れられず、亮は、会社が引けてから、定時制高校へ出かけると言っていた。学校近くで待ち伏せして、亮の来るのを信じて、待っていた。
亮が私に言ったことが、本当なら、この学校へ必ず来るはずだと、九月の初めの午後五時半過ぎ、雨の日だった。
亮は、破れかけた番傘で、足早に,此方に、むかってきた。
トヨは、亮は、本当に学生さんだと、嘘では無かったと、桜の木の陰で待っていた。トヨは,蛇の目傘をあげて、亮の前に出た。
亮は、一寸吃驚したようで、えっ、トヨ奥さんではないですか、どうしたのですかと聞いた。
トヨは、貴方とは、もう三か月もあって無いので、心配して来たの、私の躰が、あなたを呼ぶのです。自分を抑えられなくなって、来てしまいました。
あたしを馬鹿にしますか。と言って下を向いてしまった。
亮は、ごめんなさい、俺も貧乏学生だから、まだ奥さんが恋しくても,呼んで逢う力は無いのですと言った。
二人の話をしている傍を、同級生が、声を掛けて,通り過ぎた。女子学生も挨拶しながら通り過ぎて行った。
亮は、ここでは、同級生が通りますから、場所を、移しましょうと言って、近くの、喫茶店に案内した。
トヨは、もう授業の始まる時間になるから、直ぐに学校に行くのでしょうと聞いてきた。
亮は、やっと、トヨさんに逢えたのだから、今日は、学校を休みますと、言った。
トヨは、ありがとう、あとは、あたしに任せてと言って、夕食をとった後、お休みどころへ、亮を誘った。
トヨは、部屋に入るなり、亮の唇をむさぶっていった。
ご婦人と学生の二人を誰かに見られても、親子で、不倫の仲とは見えなかった。
全裸になった二人は、狂ったようにむさぼり求めあった。五十歳を過ぎたトヨも愛液が湧いて、谷間は濡れていた。
亮も、トヨと交わり一体となって、離れがたい時を過ごした。
トヨは、亮の周りの女学生を見て、女の感で、亮に好意を持っているみたいで、いつでも、お嫁に行けそうな娘さんがいた。
トヨは、娘の花江は、お店で、観光客を相手に仕事をしている、街を行きかう人を見て、花江を、店に閉じ込めないで、外で自由に勤めさせてやりたいと思った。そして、早く亮と結婚させてやりたいと思った。
トヨは、亮に、男と女が、この世にいっぱいいる中で、肌を許しあったのは、あなたと私だけの秘密です。お互い命を懸けると約束して、と抱きしめ離さなかった。
二人は、熟女と勢いのある学生である、秘密に求め合う肉体の異常ともいえる絡み合いは、決められた短い時間の、隠れた逢瀬の始まりだった。
亮が、いま奥さんの家のある場所をきいて、俺、子供の時,奥さんの家の近くに、俺のおばあちゃんの、妹さんが嫁に行っていて、おばあちゃんと一緒に、遊びに行ったことがありますと言った。
トヨは,亮の、遠い親戚筋のタバコ屋さんが、自分の家の近くにあることが解った。それにしても、不思議なことがあるものねと言った。
亮は、今思って、奥さんが、ホテルに持ってきていた、一口最中、戴いたとき、どこかで食べたことあると、考えていたのだが、やっとわかりました。子供の時に、もう奥さんと合っていたのかもしれない、十年以上前の事でしたが。奥さんと、結ばれるように、決められていたかもしれませんと言った。
トヨの旦那の誠が、商店街の寄り合いで、タバコ屋のご主人と親しく、囲碁仲間だった。
トヨは、誠に、商店の寄り合いで、頼むことにした。
誠は、トヨに聞いた通り、亮の親戚のタバコ屋の主人に、お宅の親戚に娘の婿に来てくれるような人はいたら、紹介してくださいませんか、ただ花子は、看板娘ですから、昼間は、お店をやってもらいたいので、 住まいは、私たちと一緒にすまなくって結構ですとお願いした。
誠は、タバコ屋の主人に、娘花江はもう二十五歳です。花江が友達との集まりの時、お宅の親戚筋に当たる、亮さんという男性に逢い、お話をしているなかで、子供ときタバコ屋さんに行ったことある。と言われたらしく、親しみを感じたと言っていまして、花江が、亮さんみたいな人がいいと言っているのです。
誠は、私から、お願いしてみましょう,ということなのですと言った。
親戚のタバコ屋さんは、私の母の実家で、戦後預かっている、遠い親戚の子で、亮という十九歳の子がいるが、その子のことなら、お宅さんなら、これはいい話ですから、近いうちに聞いてみましょうと言ってくれた。
話は、とんとん拍子に運ばれて、お見合いすることになった。
タバコ屋の親戚の旦那が、亮君に、誠さんの家を見てもらった方が、話が早いということに成って、誠の家で見合いすることになった。
誠とトヨと花江は、三人で出迎えした。
タバコ屋の主人が、仲人みたいに、間をとってくれた。
亮、と預かり親子が立ち会ってくれた。
仲人に紹介されて、誠は気にいたらしい。トヨは、亮に目で合図して、私、初めてお目にかかりますトヨと申します、宜しくお願いいたします。亮さんを、花子は喜んでおります、亮さん、こんな親ですが、宜しく御たのもういたしますと言った。
亮の、預かり親子も、不束者の亮ですが、よろしくということに成って、婚約成立をした。
仲人は、花江も早い方がいいだろうから、今年中の、佳日に、結婚式をあげましょうと、いうことになった。
お土産屋と、亮の勤めの会社の、中間に貸家を借りた。
新婚旅行に、萩、津和野に出かけた。
お土産屋は,夏の避暑客、秋の紅葉の客,冬は、訪れる客も少なく、結婚式をこの十二月にした。
静かな、旅館で、落ち着いての、旅になった。
部屋の案内を聞いて、二人きりになるのは、初めてだった。
花江は、亮を引き寄せて、初めて口付けをした。自然に舌が絡み合い強く抱き合った。初めてなのに、亮の上手さに少し驚いた。
花江は、自分が貰った婿だから、主導権をとっていた。
日本海の,幸の料理に、充分満足した。部屋も、新婚さん専用で離れだった。
亮は、部屋付の岩風呂に入った、旅館の脇を流れる川は、ゆったり静かに冷たい海に飲まれていった。海も波もなく,川との境が解らない静かな海だった。
花江は、初夜の交わりについて、母トヨに、教えられてきていた。
亮は、義母トヨとは、狂い、荒々しい交わりをしてきたが、初めての、花子には、花江に、したがおうと決めていた。
花江は、旅館の浴衣に丹前を重ねていた。部屋は暖かかった。
亮は、花江に、未熟者ですが、お願いしますと頭を下げた。
花江は、あたしが主人ならお前は嫁さんです。私に従うと誓ってくださいと、初めが肝心と、私の言うことを聞いてくださいと、ほほ笑んでいった。
花江は、貴方、裸に成ってそこに立っておくれ。あたしに全部見せておくれ、今日の、貴方をこの目に焼き付けておきたいのと言って、じっと眺めた。
花江は、亮の浴衣をきちっとたたみ、乱れ籠へ入れた。そして自分も全裸になり、貴方、崩れる前の、処女のあたしの身体を、目に焼き付けておいておくれと言った。
誰もいない、二人だけの世界で、抱き合い接吻し暫らく,じっとしていた。
亮は、床についた、花江の、うなじ、乳首と舌を這わせて愛撫していった。
花江は、両手で、亮の頭を押さえて、愛撫されたいところへと、導いていった。母トヨに教わった通り、亮の舌を陰部へと向かわせた。
亮は、トヨにしているように、陰唇を広げて、舌を這わせていった。そこまでくれば、亮は、花江を、絶対満足させることができると、吸ったり舌を押し付けたり、尿道口、陰核と愛撫をすると、溢れるようなぬめりで愛の谷間は、準備完了だった。
花江は、愛撫がこんなに気持ちのいいものかと、自分では舐められない、亮の舌の愛撫に、この子は離せないと、これはあたしだけのものと、母にも見せない、谷間を、亮にだけだと、谷間を広げた。
亮は、花江の、トヨには無い、溢れるぬめりに、勃起した亀頭をあてた。
花江は、貴方、優しく入れて、と陰茎に右手を添えた。膜を開けたとき、陰茎を止めた。そして徐々に元まで受け入れて行った。
亮は、花江が初めてだったから、腰は振らず、互いに繋がり顔を見つめ合って、阿吽の呼吸で、どく、どく、どく、と顔を反らさず、脈打って射精していった。
花江は、亮のものを綺麗にした、処女の印がガーゼにあるのを見て、亮の顔が、嬉しそうだった。
萩焼の、茶わんを、お土産に、買った。
津和野も,菖蒲の時に来れば、綺麗だったと思ったが、綺麗な水の流れにコイが気持ちよく泳いていた。
旅行帰ってから帰って、アパートで二人の生活が始まった。
トヨは、アパートには、花江が、お店の手伝いで、帰るのが、遅くなるので
夕食の支度を手伝いに来るようになる。亮に、あなた、花江は、箱入り娘で、わがままで気が強いので、大変でしょうが、お願いしますね、貴方だから上手くいっているみたいと言って。
花江をみれば、生き生き、喜んでいるから、わかります。何より二人がうまくいくのが、あたしが、貴方との暮らしが生きがいなのよと嬉しそうだった。
花江は、まなしに、妊娠した。
亮は、トヨが手伝いに来ることが多くなった。義母として、ご近所さんとも知り合いに成って、挨拶して、堂々と出入りするようになっていった。
トヨは,亮に、貴方と暮らせるようになったのは、私の執念が実って、貴方の義母になり、誰、憚ることなく、一緒に歩けるなんて、あたし、果報者です。あなた、迷惑じゃないでしょうねと言った。
亮は,お義母さんのお蔭で、こんな暮らしが出来るなんて、罰が当たらなければいいな.とこわい時がありますと言った。
トヨは、貴方とのこと、主人や、花江には、絶対内緒にしておいておくれ。知れたら、私、この世に生きて、いられなくなる。あなたと一緒に死ぬつもり。
これだけの覚悟が無ければ、貴方との、愛に生きられないものと言った。
昭和三十年、やっと先が見えだした時代のトヨと花子と亮の暮らしでした。
完
婿と丼 ナカツ @nakatsu0514
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