041話 マジでやめてあげて

 山奥だからこそ希更さんと取り憑かれた真治の戦闘による爆音というか一方的な攻撃だけども、とにかくゴールのロッジによく届いた。もちろん暗くなっても来ない義理の息子を心配している芦屋陽子いや義理の母である安倍陽子が聞き逃すはずはない。

 

 そして学校の先生親バカとして正しい判断つまり様子を確認しに行くことにした。

 

「もし安倍くんに魔法がバレてたらおしおき廃人コースしてくるから夕食は先に食べてなさい」

 

 親バカによっているが、強さは本物というかSランク様であり実力には絶大な信頼があるので生徒が止めるずもなく、指示に素直に従うのであった。そして芦屋陽子先生は夜の森にいる義息子を探しに向かったのであった。

 

「あらら?熊尾にしてはちょっと派手すぎる。これは現地の争いかしら?巻き込まれてたら、敵に産まれたことを後悔させなきゃ」

 

 凄まじい攻撃音に非常事態かもしれないと芦屋陽子は認識を改め、より物騒な思考をしていたところで、大地の落としが発動した。激しすぎる轟音に苦手な身体強化を使い一気に加速して音の元へ突き進んでいく。

 

「ふははは我は最強なり」

 

 そんな真治の声を芦屋陽子は聞いた。そう聞いてしまったのだ。

 

「ねぇねぇ、私の大切な義息子に何してくれてるの?」

 

 魔法使いとて幽霊を直接攻撃はほぼ出来ない。それを可能とする水岡家の魔法が特殊なのである。その分デメリットも多い魔法である。

 

 だが除霊だけならどの魔法使いにも可能である。その方法は力技つまり魔法として発動する前の魔力の塊で無理やり引きはがす、もしくは幽霊自体が魔力により存在しているので無理やり自身の魔力で乱して自然消滅を狙う。


 要するに効率など気にしないでMPをそのままぶつけるというのが一般的な魔法使いによる除霊である。

 

「( ゚∀゚)・∵. グハッ!!」

 

 返事をする暇も与えられず、真治の身体から弾き出されてしまう悪霊?へ問答無用で拷問が開始される。

 

「ナイトメア、真治に外傷なし、脈あり、呼吸よし、スヤスヤ寝てると。ふぅ~無事で良かったわ。あれ?幽霊?ま、効いたなら私も真治のおかげで新しい階段を上がれたのね」

 

 どうやら人間の魔法に操られたと判断して力技で開放して反撃拷問を開始したつもりだった。芦屋陽子の魔法は身体への攻撃であり、そもそも身体がない霊的存在には効く理屈は存在しない。

 

 そんなこの世の法則さえも親バカというだけで乗り越えて技術を習得したらしい。結果、悪霊というか霊体が痙攣して怯えるほどの悪夢を見せている。

 

「んー他の魔法は上手く効くとは思えなし、不本意ながらナイトメアの重ねがけするか。ナイトメアからのナイトメア」

 

 芦屋陽子は痙攣してる和服の悪霊へナイトメアを重ねていく。2重で痙攣からのけぞり口から泡を吹くほどになる。

 

 そんな悪霊感があがった状態なのに情け容赦無く3重目が放たれて、痙攣からたうち回るに変化して表情は、地獄に落ちたほうがはるかに幸せなくらいな恐怖に出会ったかのようなものになる。

 

 悪霊が悪夢に魘されるという意味不明な状況がここに爆誕したのである。

 

「これで暫くは放置してと、水岡ちゃんハーレム要員その1は何処に??」

 

 普通に義息子へ自分の教え子を何人も恋人にしようとか思ってる当たりヤバい。そして熊尾龍太ヘンタイの優先度はかなり低いらしい。

 

「あれ?埋まってる??力仕事とか物理介入は苦手だし熊尾にやらせるか」

 

 状態異常攻撃がメインで固有魔法は魔法耐性無効化と対人戦特化しかも暗殺や暗躍系なので、純粋な力技は苦手らしい。これが弱点にならないから困ったものである。

 

 ミサイルさせられたことではなくMPを注がれすぎて気絶してる熊尾龍太を芦屋陽子は難なく見つける。

 

「ペイン」「うぎゃーーーーー!!!」

 

 熊尾龍太は芦屋陽子の痛みを発生させる魔法により飛び起きる。気絶を覚ますのに激痛を使うとか状態異常魔法をなんだと思っているのだろうか?

 

「ほら、水岡が埋まってるから早く行く」

 

「はいぃー!!」

 

 たぶん担任の先生の方が化け物よりヤバい。敵意とか害とかそういう分かりやすい悪をなんか超越してるのだ。

 

「うーわぁ、これやべぇ早く掘り返さいないと・・・生きてるのか?」

 

 熊尾龍太はヘンタイではあるがだからといって幼馴染を見殺しに出来る人間ではない。

 

「あの辺の下に埋まってるから。ぎり魔法耐性あるし生きてるでしょ」

 

 どうやら芦屋陽子は固有魔法の使い方で魔法使いを見つけられるらしい。魔法使いから奇襲も受けづらいとなればSランクにも納得である。


「あ、はいぃ」


 熊尾龍太はあまりの能力差にドン引きしつつも、きーちゃんを魔法で助け出す。

 

「あら?情けないわね埋まったくらいで死にかけてるなんて」

 

「そういうレベルじゃないような・・・スーパーヒール」

 

 壊す専門の担任の先生は治せないので、熊尾龍太が足とか腕とかグッちゃり潰れつつなんとか即死は岩の隙間に逃げ込み避けてたきーちゃんを回復さてなんとか命を救ったのである。

 

「ケガ治ったし早く起きなさい。敵がいたら呑気に気絶出来ないわよ。ペイン」

 

「ぴきゅー!?ゼェゼェ、酷い目にあったわ」

 

 どうやら押しつぶされるよりも痛いらしい。チートとはこういう事を言うのだろう。酷い目に合わせたのは強すぎる悪霊か担任の先生か・・・たぶんどちらもだろう。


「先生はあれを調べて後始末しとくから、あなた達は安倍くんを連れてロッジへ戻りなさい」

 

「「これはない」」

 

 きーちゃんでも死にかけるほどの悪霊が現在進行系で静かに魘されている。いや悪夢で死にかけてる。

 

「君らが弱すぎるのよ。調べなくても、ほぼ間違いなく過去の選挙で殺し合いで殺された奴の幽霊でしょうけどね」

 

 確かに村にはヤバい逸話というか惨劇が何度と無く繰り返されてて魔法使いも住んでいるので、他に考えられないのではある。

 

「それなら確かに人を恨んでそうではありますけど・・・」

 

 敵ではあるし殺されそうになったのではあるけども、先生の人権とか無視した非道な扱いにきーちゃんはわずかに同情と残りはドン引きである。

 

 具体的には絶対に入らないであろう空の350ミリリットルペットボトルへ悪霊を押し込んで、蓋をしてしまう。霊体なので物理的な肉体は無いのだから不可能では無いのだろうが、人間サイズ悪霊を強引に押し込む過程で苦悶の表現が劇的に悪化したのは悪夢の魔法だけではないだろう。


 人間がペットボトルへ押し込まれてるのも恐怖でしかない。


「それよりも、鍛え方が足りないわね。もう少し教え方を考えないといけないかしら」

 

 どうやら義息子を危険に晒したので、教え子へのおしおき教育方法をなにかしら考えて実行するらしい。

 

 今は義息子が優先なので、きーちゃんに真治をおんぶさせる。ヘンタイは空気と化している。


「お手柔らかにお願いします。あっ安倍くんは大丈夫なんですよね?」

 

「あら?安倍くんを汚すとかありえなくない?」

 

 きーちゃんは土まみれなので当然ではあるし乗せたのも先生なのだが、理不尽に怒る。

 

「げっ、とにかくロッジへ行きます!!」

 

 身の危険を察知してきーちゃんは真治を背負ったまま逃走を選択する。とばっちりを受けたくないと熊尾龍太も追いかける。

 

「ちゃんとキレイにしてあげたらなにもしないのに、逃げちゃったわね」

 

 そういいつつ、他に幽霊がいないか山狩りを芦屋陽子は始めた。

 

 もちろん義息子の安全が大切だからである。

 

 後で教え子の訓練に殺らせれば・・・・・良かったと珍しく陽子が後悔するのはまた別のの話である。

 

 最も親バカなので安全には変えられないかと一人で納得したので地獄の修行が計画されなかったのは教え子達からすれば幸せだったのだろう。

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俺の妹が欲望に忠実すぎるクラスメートに狙われてる〜それよりも早くあなたを好きな娘がいるのに気が付いてよ〜 エイル @eilu

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