040話 強すぎね?
「「「「きょぇぇえぇぇえぇぇ」」」」
どうやら残りの化け物共は私を強敵と認めて本気で殺しに来るらしい。
「でも雑魚は雑魚なのよ!!」
雄叫びに負けないように自身を鼓舞して、魔法を用意する。
がサッと音がして真治が立ち上がる。元気になったのかな?とか思ってるといきなり後ろから殴りかかって来る。
「えっ、痛った!?なんでよ?」
何処か自信有りげなのに少し控えめというか遠慮気味、でも努力家でカッコイイ男の子なのに、今は世界を恨み憎んでるような憎悪してるそんな人に見える。そこに歓喜の表情が混じり意味不明な事になってる。
「あぁ素晴らしい。この肉体の才能は素晴らしい!!ふははは!!あぁ我らが悲願叶うときぞ」
「うげぇ、まさか真治に取り憑いてる?」
マズイ、私の魔法は肉体があると途端に効果を失うのよね。しかも完全に悪霊でしょこれ。真治ではないのはつき合いの短い私でも分かるわ。
「おっと君思ったよりも、カワイイし才能ありそうだ。我が依代を産むなら肉体は残してやるぞ。我が仲間を殺したことも不問にしてやろう。ふははは、本当に今日は素晴らしい日になるな」
「ハッ、お断りよ」
真治の顔でなんかエロい視線を下から上まで送って来るとムカつく。私は真治と仲良くしたいのであったて、意味不明な幽霊に取り憑かれた真治と事をしたいわけじゃないのよ。
「気が強い女は好みだぞ。その威勢を是非とも消えるまで保ってくれよ」
「ふん、私を舐めないでよね。全部消し飛ばしてあげるわ」
「怖い怖い、でも良いのかな?この身体とて子がなせればどれだけ壊しても良いのだぞ?」
こいつ死霊のクセに頭良すぎない?かなり生前の思考力を残してる。普通は死霊として現世に残るだけで珍しいことで、記憶もほぼ残らないのが常識よ。獣並みの思考力があったら驚きのレベルなんだけどね。
「クッ、人質なんて卑怯よ」
「あぁ、良い表情をする。その調子で楽しませてくれ。ヤレ」
「「「「きょぇぇえぇぇえぇぇ」」」」
化け物が私を襲うために突進してくる。どうやら敵の親玉が真治に取り憑いてるみたい。
「消えてなくなれ!!」
私は渾身の範囲攻撃でとりあえず全滅を狙う。たぶん真治に取り憑いてる奴は生きた身体があるからノーダメージだろうけど、死体程度では防げないでしょう。
「チッやってくれたな!!だがもはやMPは残ってなかろう?我を殺せ無かったのは誤算だったようだな。自らさらなる苦痛を望むとは馬鹿なやつだ」
ワタシを取り囲んでた化け物は綺麗サッパリバラバラ死体へ戻してあげたのに余裕ならしい。そこまで頭良くないのかしら?
「やっぱり消えないかぁ」
ふと、こんだけの数が居たなら他のクラスメイトも襲われてる?と考えるけども、今年はSランクの芦屋先生が居るし大丈夫というか、もし襲ってたら時間稼ぎしてれば先生が助けてくれると予想する。
「虚勢を今崩してやるぞ」
真治が指をさすとなんか高速で石が飛んでくる。
「おっと危ないわね。それにしても遅くない?」
サクッと避けて真治にケガをさせたくないけど、どうしたものかな?そして助けは先生が襲われて無いと来ないだろうし期待はしないとして、目の前の敵に集中する。
「さぁ踊れ!!あははは」
攻撃はどんどん苛烈になってくる。不意打ちで一撃殴られてるし、これ以上ダメージは受けたくは無いわね。
暗い森だし一度撒いて立て直そうと森へ走り出す。念のため熊尾龍太の投げた方向とは反対にしておく。
「ここは我の故郷ぞ?何処に逃げてもムダムダムダぁ!!」
「煩い!!」
「そこか」
嫌な予感がしてしゃがむと、水平にビームが薙ぎ払らわれて木々を切り倒す。
あれ?思ったよりも強くない?マジヤバな感じ?
「そろそろこの身体の扱いに慣れてきたぞ。素晴らしき魔法の才能よ」
そりゃ水岡家と並ぶというか日本でもトップクラスの家系の安倍家の直系なんだし、真治は魔法の才能がゼロじゃなかったらしい。
って待て待て、魔法の才能で差がなくて、向こうは人殺しも厭わない化け物で私は真治にケガもさせたくない上に、MP空っぽ。これ勝てなくない?
「あぁもう!!難しい事を考えるのは苦手なのよ!!」
そういえば、バイク事故で亡くなった年上の従姉妹が「女は突貫よ!!」で全て済ませてたなと思い出す。結果は何も考えて無くてその場の思いつきで行動してだいたい失敗してた。失敗してもひたすら突貫して諦めなくて、周りが折れるまでやり抜くか、やりすぎて圧倒的な勝利かそんな人だった。
「馬鹿ほど御しやすい者はないな。ふははは」
真治に取り憑いてる悪霊が何か言ってるけども、作戦をちゃんと考えないと従姉妹みたいになる。それは強靭な絶対に折れないメンタルが絶対条件だ。負けても叩きのめされても失敗しても、諦めないからやっぱ負けてないそんな無謀な突撃は死ねる。
あの人はその無駄な努力する姿に助けたくなるし、なぜか人に好かれるタイプだったけ?
そんな現実逃避的な考えをしているけど、真治からのビームは何発か放たれて森を破壊してるし石の猛攻もおさまらない。
「これはMP切れよりも先に殺されそうね。助けも期待薄だけど、とりあえず逃げ廻るしかないか」
とにかく名案を思い付くまでは生き残らねばならない。
「残念ながら逃がすつもりもこれ以上時間をかけるつもりもないもない。さぁ我に従ってもらおうか」
なんというか尊大な物言いなんだけどちょっと小物感が拭えない。発言もクズだし、私の真治でそんな事をしないで欲しい。
しかしながら、実力は本物なので本気で攻撃魔法を放つらしい。
大量の土砂が持ち上がり、空中で静止する。
「あら?その程度なの?そのくらいならヘンタイにも出来そうね(笑)」
「その減らず口もこれでも言えるかな?」
私の挑発にのって土砂が増量される。元々どうすることも出来ないし全力で避けて生き残るだけだ。MPを無駄遣いさせた分だけ私が有利になったかな?
「あら増やすだけ?魔法は下手なのね」
「くっくくく、この大地の大返しを生き残ってからほざくがいい!!」
本当に地面をひっくり返したかのような量の土砂が降ってくるのと同時に地面が、浮き上がりまた降ってくる。地形を破壊する凶悪な魔法が私へ容赦なく襲ってくる。
「こりゃ本当にMPは底なしぽいわね」
上手く浮き上がる岩や土砂と降ってくる土砂の隙間を駆け回り致命傷は避ける。わずかでもバランスを崩せば莫大な質量で押し潰されて即死だろう。森も木々すら大地ごと抉られる押し潰され自然の風景が凄まじい速度で破壊されていく。
「どうした?反撃してこないのか?はーははは」
徐々に土砂の循環が早くなっていてただでさえ夜で暗いのに土埃でいよいよ視界が塞がれてくる。そんな状況で私は返事をする余力もなくもてる反射速度を全開にして死を遠ざけ続ける。
「なんだもう返事をしないのか。つまらん、そろそろ埋めてやろう」
その言葉でシェイクされてる土砂より高度が上に別の土というか岩というかが集まり巨大な板状に圧縮されていく。
「我の最強魔法である!!大地の落としで死ぬがよい」
逃げ場がなくて生き物に耐えられない質量の巨大で分厚い板を落とすというシンプルな魔法らしい。
「チッ、シンプルすぎて力技以外で対処しにくいわね」
そして私の魔法は幽霊に特化してて物理現象に介入は出来ない。MPを使い切ってるからそもそも今は魔法を使えないけど。
「ふははは、絶望に埋まれ!!そして我が下僕として使ってやろうではないか、はーははは。では死ね」
無慈悲な宣告がなされ、全てを押し潰す凶悪な破壊が真治を除いて全てに振りまかれ当たり一面を真っ平らにしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます