039話 魔法があるなら存在していいでしょ?
熊尾龍太に熊を押し付けた希更さんと雑談しながら山を登っている。大したことは話してないけど、希更さんとなら、
希更さんと話しながら山を登り続けて気がつくと、夕陽が差し込み始めてる。
「あら?これは本格的にヤバいわね」
どうやら希更さんも夕陽に気が付いて、ちょっと困惑気味だ。
「えっと暗くなるまでに着くかな?」
「頑張るしかないわ。とりあえず進みましょう」
希更さんが少しペースを上げたので俺は、ガクガクの足に鞭打って追いかける。
「熊尾龍太見参!!」
何故か進行方向に熊尾龍太が現れる。服を着替えてるけど生きてたようだ。熊にタイマンで勝つとかカッコイイを乗り越えてドン引き・・・ん?なんかおかしくね?
「なんで熊尾が
なるほど、確かに先に俺達が進んだから、熊尾龍太は後ろから来ないとおかしい。
「普通に熊を撃退して追いかけてたら、水岡と安倍同志が回り道から来ただけだが?」
どうやら道を間違えてたらしい。あれ?本当に日が暮れるのでは?それよりも野生の熊を普通に撃退って熊尾龍太は人間辞めてない?
「それでもうすぐゴールなの?」
希更さんが熊尾龍太に質問する。どうやら遠回りな失敗は棚上げするらしい。
「うーん、日暮れには無理そうですなぁ。足元が見えなくなる事も考慮して安全な野宿場所を決めるべきだろう」
「ちょっと!テントもなしに寝るなんて絶対に嫌よ!!なにがなんでも進むわ。そう思うでしょ?」
希更さんは野宿が嫌と、そして俺に同意を求めるけれど俺も夜の知らない山は危険ダト思うなぁ。
「うーん、寝るかよりも移動は無理なんじゃないかな?最悪徹夜して朝を待つ方が確実・・・そりゃ早くちゃんとしたところで休みたいと思うけど」
希更さんが半ば睨むので、ちょっと回答を修整する。
「体力的に徹夜よりは少々暗くてもなんとかなるでしょ?行くわよ」
夜間は危ないと思うけど、熊を撃退する熊尾龍太を半殺しにする希更さんには逆らえないかな。
「「マジか・・・」」
俺と熊尾龍太は希更さんは止められねぇと、諦めを一言で共有し歩き出したのだった。
日が暮れる直前に目的地まで残り3キロという案内を見つけて、進んでいると急激に寒気に襲われた。
そしてなにやら人魂?ぽい空飛ぶ火とか、有り得ない異形の生物を何匹か見たところで俺の記憶は途切れた。
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「あらら?こんな山奥で珍しい事もあるものね」
私は何気無く呟いて、しまった真治は魔法使いじゃないしどうやって誤魔化そうかと考えたけど、すでに顔面蒼白で気絶して、倒れかけていた。
「水岡!!こいつらの魔力が強すぎる!!殺されかねないぞ」
私は地面に激突しないように真治を抱きとめる。してヘンタイは完全にテンパってる。他のクラスメイトや、魔法使いなら死を覚悟するレベルの化け物だけど私は、負けない。
「バカなの?対人戦特化の
「分かったが、長くは無理だ」
あらら、完全に戦意喪失してるわね。そんなのじゃ危ないわ。
「そ、死んだら苦しまないように綺麗サッパリ砕いて消してあげるわ」
マジで殺るわよと、ちょっと魔法を熊尾龍太へ向けてターゲットする。
「ひっ!?やめてくれ!!Aランク様が言うとシャレにならん」
「なら死ぬ気で生きなさい」
「ええいこうなればどうにでもなれ!!にしてもどんだけ安倍真治が好きなんだよ!!」
熊尾の奴は覚悟を決めたようで少しはマシな表情になったのを確認して、気絶してる真治を熊尾龍太へ預ける。
「さてと、それじゃ蹴散らすわよ!!」
「あわわ、エアカッター!!」
熊尾龍太は回復と土水火風の四属性を使う。やや海外系の魔法使いで、基本的に物理的な戦闘つまり
だから人魂ぽい幽霊に熊尾魔法は効果が薄くて意味がないみたい。
私の水岡家は国内系の魔法使いで、退魔や占いなどの
実戦経験も私はクラスメイトと違いある。ここまで力ある幽霊と妖怪?アンデット?の集団相手に、一人で挑むのは初めてだけどね。
「だいたいね!!退魔師の家系なのに対人戦の方が記録多いって派遣し方をを間違ってるのよ!!」
そう、水岡の本邸にある歴史書というかご先祖様の日記というか愚痴帳といべきか、とにかく本物の力があって悪さ出来る幽霊とか妖怪なんてほぼ存在しない。だから怪奇現象などの犯人は大半が生きた
つまり怪奇現象や妖怪などを退治するには対人戦となる。基本的に水岡の魔法は生きた人間を倒せ無い。そりゃ愚痴の一つや二つ残したくなるのだろう。だって魔法使い相手に殴り勝つしかないのだから。
結果として、水岡家は身体能力がやたらめったら高い家系なんだよね。
「砕け散れ!!」
水岡の魔法は幽霊つまり肉体を失い魂だけとなった存在専門で特効だから、この化け物共には一撃必殺となる。
人魂は形を保てなくなり爆発四散したかのよううに粉々になり消えてなくなる。
「やっぱり、死体とはいえ身体があると軽い範囲攻撃には耐えるわね」
「あわわわ、軽い範囲攻撃って威力と消費MPじゃねぇ。死ぬかと思ったぞ」
ドン引きしてる熊尾龍太は魔法を使いこなす技術は別として、MPは生まれ持った総量が増えないから大規模範囲魔法は才能の差によって決まる。
効率的に魔法を使う技術が高い熊尾龍太は努力家タイプなら、私はそもそも高コスト魔法を連射が出来る。
さっきので熊尾龍太の最大MPの10倍は使ったかな?私のMPは歩歩減ってないけどね。
「安心しなさい。生きた人間には効きにくいから」
「そこは効かないと言ってくれ!!エアカッター!!」
熊尾龍太が化け物へ攻撃をするけど、どうやら防御系の魔法に阻まれて効いてない。
「きょぇぇえぇぇえぇぇ」
熊尾龍太が攻撃したなんか肉の塊から四肢が生えてて、胴体に大きな口があるナニコレ的な化け物が吼える。
「ちょっと、あんたは肉体がある方が得意なんでしょ?なんでノーダメージなのよ?」
「あんなに堅いバリヤーあるんだぞ!!どうすればいいんだよ?」
「そんなものはね!!正面からぶち抜くのよ!!」
私はまださっきの私の攻撃に警戒して近づいて来ないうちに、手に収まるいい感じの大きさの石を拾うと投げつける。
バギッと
「いや、意味が分からない・・・」
「そう?魔法は投げるものよ」
ちなみに何故か周りのゾンビ?妖怪?達はバラバラになった仲間と私を交互に見てなんかドン引きしてる。
でも私の先制攻撃の混乱から回復されたら熊尾龍太は戦力にならないどころか、身を守る事も出来ないほど敵は強いわね。
「魔法を投げるとか、ムダすぎんか?」
「そんな事ないわよ?体感してみなさいよっと」
熊尾龍太の襟ぐりを後ろから右手で掴む。そのまま熊尾龍太の背中を右手の肘から先に乗せるようにしながらオモイッキリ妖怪へ投げつける。
「ちょッそんな量のMP入らな!?ぎゃ〜〜〜〜」
熊尾龍太はその身体に私の魔法を宿した必殺のミサイルとなり、飛翔ルート上の防壁と敵を消し飛ばしながら暗闇な山へと消えていったのだった。
「ほら、投げた方が強いでしょ」
妖怪なのかゾンビなのか判断さえ出来ない化け物共のヘイトは私に集まる。これで熊尾龍太は安全でしょう。邪魔な味方が一番危ないしこれで全力で、倒すことと、真治を守ることに集中できるわ。
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