038話 忘れないで魔法使いなんだ
どうやら熊尾龍太が語ってる間に野犬は希更さんによって撃退されていた。
そして何もしてなかったよりも邪魔なほど語っていた熊尾龍太は希更さんに投げられて熊へ強制突撃?体当たり?をさせられている。
「えっ!?クマ??野犬は??」
「野犬は私と睨み合いしてて、熊が近寄って来たから逃げたわよっと」
希更さんはどうやら野犬4匹と互角以上らしい。かっこ良くて惚れそうだけど、でも熊は人間が相手をしていい動物じゃない。
水平にミサイルも真っ青な速度で吹っ飛んだ熊尾龍太は、熊との衝突事故を発生させる。
「ぐぇぇ」「我が
どうやら、なんだかんだと熊尾龍太には本当に作家様の加護があるのか、たぶん希更さんが原因だろうけども熊に大ダメージを与えているようだ。
「太った龍は投擲武器として優秀ね。後は
「えっと熊尾独りで大丈夫??」
希更さんは野良犬退治で逆に足を引っ張るような熊尾龍太に慈悲はないらしい。
「なんだかんだと熊尾も男だし、頑丈だし、そのうち追いついて来るわよ。それに私達が居ると変に語って弱くなるでしょ?」
「そうなのかな?」
「そうよ。私は女の子なんだから野宿は無理なの!!だから行くよ」
俺は半ば強引に希更さんに連れられて熊尾龍太を置き去りにするのだった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
置き去りにされた熊尾龍太は、枷を外されている。なぜなら魔法使いであり、ここは山の中安倍真治さえ目撃されなければ、魔法をぶっ放し放題なのだ。
「この熊尾龍太は
安倍真治が十分に離れたところで、熊尾龍太は独り演説をする。
「ガァ!!」
野生の本能で何かしら感じ取ったのか熊尾龍太へ全力の威嚇をして熊は突進して、右手の爪で切り裂くつもりなのか大きく右手を振り上げる。
「甘い!!ストーンブレッド」
無駄に英語な発音で発動したのは石の弾丸を飛ばす魔法だ。そして熊の右手に直撃する。
熊は驚いたのか一時的に距離を取る。
「グルルゥ」
「人間の当たりどころによっては、死ぬくらいの威力のあれを受けて無傷とは、毛皮と皮膚の頑丈さが羨ましい」
今度は熊尾龍太が睨み合いを崩す。
「ウィンドボール!!」
殺傷力としては、圧縮空気の塊なので切り刻むことや貫通力はない。しかしながら空気も質量がある。
何が起こるのか?それは不可視の打撃攻撃になる。
「ぐぉお!?」
「水岡の人身ミサイルのが威力あるのはおかしくないか??」
それでも毛皮と皮膚を貫通するよりはダメージが入っているだろう。
熊尾龍太がここまで余裕なのはその打たれ強さというか、即死さえしなければ回復魔法で負けないという自信からだ。そんな余裕綽々でも熊尾龍太は攻撃の手を緩めない。
「アースバインド、
体勢を崩した熊の足元の大地が、触手のようにウネウネとちょっと気持ち悪い動きをして熊を拘束して停止する。
熊の膂力をもってしても、大地を引き千切るのは容易ではなくただの頑丈な的へと成り下る。
「!?ぐぉ??がぅ?がぁ???」
「弱い弱すぎるぞ。はーははは、この熊尾龍太には熊も弱すぎたな。この
熊は不可視の空気の塊にまさにタコ殴りにされる。
勝利を確信した熊尾龍太は少し遠い目をする。魔法使いなのに魔法なしでボコってくる野生の熊より強い
「あれでAランクってどうな才能してんだか」
熊尾龍太は終わったつもりだが山の主たる熊は、その膂力を発揮して大地の鎖を断ち切る。
中途半端な攻撃を受けて完全にブチ切れており熊尾龍太を噛み殺すべく襲いかかる。
「ぐかぁーー!!」
「!!やっば!」
熊尾龍太は戦闘へと思考を戻して、先ずは時間稼ぎを狙うが熊の突進力は高く、あまりの速さに熊尾龍太は噛みつきこそギリギリで躱すもののその強力な腕力と爪により肩口をごっそりと抉られる。
「ちっ、ファイアクラッカー!!」
あまりに幼馴染達に長年ボコられ過ぎたので回復魔法の詠唱など必要なく、瞬時にケガは治っている。
式神の数の暴力で押しきる天才魔法使いな
そんな熊尾龍太の心を助けたのがサブカルチャーである。熊尾龍太の才能は
つまり
そんな諦めない熊尾龍太は火魔法の応用で爆竹のような音だけの爆発を起こす。
「ぐるぇ???」
山の主たる熊は驚いて動きを止めてしまう。
「アースバインド、まだまだぁ〜!!アースバインド、もう油断はしないアースバインド!!」
今度こそ、ガッチガチに熊といえども抜けられない程に固定することに成功する。
「悪いな。人を襲う獣は生かしておけんのだ。安らかに眠れ、ストーンシャワー」
イケメンの決め台詞と共に、石が山の主たる熊へ降り注ぐ。
「ガォーー!!」
「いや、死ねよ!!」
熊尾龍太は、幼馴染にボコられては回復し、心が折れかけれては作品に助けられ、
残念ながら土水火風と4属性を使いこなせるが、
「グルゥアァ〜!!」
「おぉ激おこぷんぷん丸してるなぁ。迫力満点だがこの作家愛の下僕である熊尾龍太の勝ちは揺るがない」
瞬殺が無理なら死ぬまでストーンシャワーを放つだけだと持久力戦へと移行する。
暫く一方的に石をぶつけて熊をボコってると、当然ながら固定しているアースバインドにも当たっており、熊よりも先にヒビが入り拘束から脱出される。
「えぇ~、熊って生物辞めてないか?」
「グルル」
熊は威嚇をしながらジリジリ下がりある程度離れたら脱兎のごとく山の奥へ消えていった。
「まぁ勝ちは勝ちか」
そして熊尾龍太は万が一にもクラスメイトが襲われたらと考えると、たぶん水岡希更は正面から殴り勝つしかありえない。
兎田百合は、なんか熊が可哀想な目にあうとしか思えない。腹痛よりもエグい事をしてトラウマを植え二度と人間を襲う気をなくさせるだろう。
虎井遥輝は、山なら式神の素材つまり落ち葉とかで凄まじい数の暴力を出現させるだろう。してはっぱカッターみたいな事になる。いくら分厚い皮膚と硬い毛皮も圧倒的な数で削り切るはずだ。
他のクラスメイトもコンビネーションは長年一緒のクラスだし完璧なはずで逃げるなり、助けが来るまで時間稼ぎなりは出来るはずだ。
「あの様子なら熊は人間をまた襲いそうだが、負けはしないだろな」
「さて1番危ないのはここの山に住む同志・・・いや間違いなく芦屋先生だな。熊よ人間だからって先生だけは辞めてくれよ。どんな地獄が起こるのか想像もできんぞ」
屈指の実力派な熊尾龍太の自己回復魔法ですら、先生の状態異常攻撃に対してどうにもならない。そんな魔法使いに熊が勝てるとは思えない。
そしてそんな熊を放置してたとなれば、この山に住む同志達をお仕置きくらいするだろう。それは撃退出来る熊よりも怖ろしいのでは?
そう考えて熊へ大人しくしてろよと熊尾龍太は考えつつ水岡希更と安倍真治を追うのであった。
なお先生は親バカなので熊が義息子を襲ったとあれば、危険を放置してた住民へのお仕置きで、産まれたことへの後悔は最低でもさせるのだが、知らぬが仏である。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます