037話 野生動物注意報

「いくらなんでもやりすぎちゃうか?神々作家様方もお怒りになるというものだろう?」

 

 崖上に投げ飛ばされていた熊尾龍太はすでに復活しているようで、元気そうではあるのだが不機嫌を隠すつもりは無さそうだ。

 

「セクハラしておいて、生きてるのだからこれ以上何を望むつもり?」

 

 希更さんから圧倒的強者感が出てる。ちょっと熊尾龍太はかわいそうかもしれないけれど、相手が悪いと思う。

 

「むぅ、悪ノリしたし諦めるか。それよりものんびりしてると、日が暮れる!!暗くなるまでに到着するように進まねばならんのですぞ」

 

 熊尾龍太のキャラは何なのだろう?

 

「あっぶっ飛んでたら熊尾は歩かなくていいわよ?また飛ばしてあげようか?」

 

 希更さん!?リアルに人間が、飛ぶのはありえないのに現実にするって脅しより殺しにいってない?

 

「登山の醍醐味を完全否定しなくても良いであろう?」

 

 熊尾龍太、そうじゃない。殺されるかどうかだよな?

 

 そんな雑談?をしながら俺達3人は山道いや、崖とか岩場とかの間を抜けているというのが正しいか。

 

 とにかく道が険しくて進むペースが上がらなくて、時間ばかり過ぎてしまう。安全設備だけは確保されているけども、夜にこのまま山を歩けるかと言われると厳しいと思う。

 

「あら?囲まれてるよね?」

 

「流石に半グレか不良がこんな山奥でカツアゲしてたら、儲けとか気になりますなぁ」


 希更さんは警戒してて熊尾龍太はキガツイて無いみたい。俺も分からないけど対応は知ってる。

 

「たぶん、人じゃ無くて動物じゃないかな?野生動物は普通人を襲わないし、急に動かないで隙を見せず目をそらさない。これでだいたいは対応出来るから」

 

「それで許されたら良いけど、人を何頭かの群れで隠れて囲む動物って何よ?」

 

「えっ?そんな動物日本にいたけ??熊は単独か、せいぜい子熊と母熊だし、猪は雑食だけど臆病だしそんな囲むとかしないはず」

 

 そもそも群れで狩りをする生き物って多くない。

 

「やっぱり人間じゃろう」

 

「日本で集団行動が得意なのは人間とか猿とか?」

 

 何故かキャラがブレブレな熊尾龍太に同意するのはムカつくけども、日本で協力プレイするならこの辺りだろう。

 

「そうなんだ。それよりも来るわよかまえなさい」

 

 希更さんが警告を発すると、数体の四足歩行な生き物が飛びかかって来る。

 

「狼!?」

 

 熊尾龍太が四足歩行で噛みつき攻撃を仕掛けてきた動物を見て狼かと言うけど、違う。

 

「日本狼は絶滅してるから違う!!たぶん野良犬!!何より怖いのは狂犬病で致死率100%!!噛まれたらヤバい」

 

 ちなみに柴犬に代表される日本犬は番犬として、よりも狩猟犬の歴史が長くて海外のガンドックとして品種改良された犬種と違い、猟銃のために獲物を追い込んだり、回収したりするのではなく自らの牙と勇猛果敢さで熊とかでも襲いかかる狼に近い狩りをする。

 

「まじ!?でもなんとかなるでしょ!!うりゃーー」

 

 そんな人外な脚力と敵を恐れない上に集団で襲ってきた野良犬へ希更さんは余裕なのか、素早く熊尾龍太の首に巻かれた今○ブランドロゴが入ってるタオルを奪い取り、右手に巻く。

 

 そして凄まじい速度の右フックで野犬の前足付け根付近を殴り飛ばす。

 

「キャウン」

 

 いかにタオルをグローブにしてるとはいえ、凄まじい威力に、悲鳴をあげながら野犬はふき飛ばされる。

 

 しかしながら敵の戦意は衰える事はなくそれどころか、全く対応出来ない俺か熊尾龍太を狙う事にしたらしいく希更さんへの包囲があっさりと解除される。

 

 ガッと地面を蹴る音に思わず振り向くと、口を開けて野犬が俺に噛みつこうとしている。ケンカはなんとかなるけど、喰われるという恐怖に上手く対応出来ないで腕で顔をガードするので精一杯だ。


 現代人は肉食動物に襲われるなんて経験をまずしないし、野犬でも恐怖は凄まじく以下に人間がちっぽけで弱いのかを実感させられる。

 

「チッ、ナメんじやないわよ!!」

 

 希更さんは恐れることなく、足元の小石を蹴り飛ばして俺へ噛みつこうとしていた野犬へ攻撃する。野犬はなんとギリギリで急ブレーキ回避してしまう。

 

 でも僅かなりとも俺への噛みつき攻撃が遅れた事で希更さんは左手で小石を拾いながら、俺を守るために移動する時間を得る。

 

 まだまだ諦めない野犬の3匹目が俺へ更に襲いかかるけども希更さんが、左手で投擲した小石を鼻柱に直撃する。

 

 相当に痛いらしくきゅ〜と呻きながらのた打ち回る。

 

 ここで俺へ最初に噛みつきを仕掛けて希更さんの蹴り飛ばした石を避けた、野犬が再び迫ってくる。

 

「遅い!!」

 

 希更さんは俺の横を駆け抜けて、野犬へ駆け抜ける勢いがたっぷりと、乗った右アッパーを顎下へ撃ち込む。

 

 この攻撃は野犬でも避けきれず、下からの攻撃により後方へ半回転して背中から叩きつけられるような感じで森へ消えてしまう。

 

「きゃ〜うん、くぅ〜〜わんわん」

 

 どうやら受け身なんて取れなかったらしくこちらも悲鳴のような鳴き声を、あげながらのた打ち回るしかないようだ。

 

「「ぐるるるぅ」」

 

 どうやら群れは5匹らしく3匹がやられて残る2匹が飛びかかる前傾姿勢で威嚇してくる。まだ完全に戦意を喪失してないのか、逃げるための威嚇なのか判断に迷う。

 

 ぐるるるぅと唸るのは吠えるよりも恐い。犬が肉食動物と強烈に理解させられる。

 

「この恐怖はまさに 湾多珠巳 様の『チロを連れて』を思い出すな!!」

 

 何か熊尾龍太が口走ってる。それどころじゃなくない?


「湾多珠巳さんのチロを連れて?そんな作品あったかな?」

 

「ハッこの熊尾とした事が、我が敬愛する作家様の作品を間違えるとは痛恨極み!!どうかご容赦下さい(泣)しかしながら下手なエイルなどと違い本物の心理描写があった『チロを連れて』を無かった事にしたくなかったのです!!ちょっと野犬から犬そしてペットと連想しよそ事を考えてしまったのです。どうか、どうかこの情けない信者な読者熊尾龍太をお赦し下さい!!」

 

 この状況でおそらくは湾多珠巳さんが居るであろ方向へ、高速土下座しながら股間テントを作ってるとか理解不能な変態でしかない。


 アソコはゴリゴリに削られてないか若干心配なほどの高速土下座である。それは誠意を示せてるのだろうか?お前のせいで公開中止とかないよな?

 

「フォー!!ふぅ~。へぇあ~。本当に犬への恐怖で思い出したのは【犬憑き】なのだ。https://kakuyomu.jp/works/16817330654049748135

 本作は広義ではホラーざまぁ系といえよう。本作の面白さは、まずお寺で過去の怪奇を御住職に語ってもらうという進め方にある。


 後から語るからこそ分かる情報や逆に分からなくなる情報、その加減が時に想像を駆り立て時にホラーを引き立てる。


 当事者ではないからこそ残酷な出来事もまた読み進められるようなマイルドさが生み出される。そこにはホラー作品としての完成形そして設定の細やかさ、リアリティと非現実のバランスだからこその面白さと絶妙な恐怖に読む手を止められなくなるのだ。


 この世は法に支配され平等で安心な理想的な世界などではない。不平等極まりなく、残酷で救いはない。


 そんな状況に置かれている人間に博愛を説き、全てを許すべきと復讐は悪だと貴方は言えるだろうか?それが本当に正しいのだろうか?許せないのが本当の人間性ではなかろうか?


 どうなのであろうな?そこに万人共通の答えなど無いのは承知しているからこそ読者には愛とは?幸せとは?など色々と考えて欲しい


 そんな素晴らしい心理描写と教えが隠されているかもしれない本作を是非とも楽しみたまえよ!!

 

 ではこのリンクを、踏めよ

 https://kakuyomu.jp/works/16817330654049748135

 

 そして♡は少しでも読んで楽しかったら押せ。できたらコメントも差し上げるんだ。面白ったら☆も忘れるな。誰かにおすすめするほど面白ければ、☆の後にオススメレビューを書くんだ。無料で楽しめるんだからこれくらいはしような!!熊尾龍太との約束だぞ」

 

「煩い!!何私が戦ってる間にしゃべくってるのよ!!とりあえず熊尾だし友達を説得して来い!!」

 

 いつの間にか野犬を追い払った希更さんによって、熊尾龍太がミサイルのように地面と水平に投げ飛ばれたのだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る