最終話 大好きな人

 月日は流れ――俺達は高校生になった。


 高校はと言うと。俺と凪以外は同じ高校に進学しており。

 俺と凪は都会へと上京する事になった。


 理由は、宗一郎さんの会社へアルバイト……もとい社会勉強をしに行くからだ。

 こちらの近くに支社もあるらしいのだが。というかそちらでも良いと言われていた。

 しかし、宗一郎さんの役職的にも本社に居る時間の方が長いらしく、それならばと上京を決めた。


 これで瑛二達とはお別れ――


「これみのりんとなぎりん!? かわいい〜! え、天使じゃん!?」

「ふふ。この時の蒼太君も可愛いですよね」


 という事にはならなかった。


 目の前でアルバムを広げるのは凪と西沢、そして羽山である。


 そしてここは――



 ……俺と凪の家、である。


 なぜ、と思うだろう。俺も思った。


 最初は凪が元々住んでいた家……というか屋敷に居候する予定だったのだ。


『近くに別荘があったはずだ。二人とも、一ヶ月くらいお試しで住んでみるか?』


 と、宗一郎さんに言われたのだ。

 宗一郎さんに、である。


 一応、須坂さん……凪専属のお手伝いさんが着いてきたのだが。須坂さんは俺や凪が学校に行ってる間に掃除や家の事を済ませるらしく。見かける事は少なかった。一応、呼んだらすぐ来れるらしいのだが。


 そうして二人で一ヶ月ほど暮らす事が決まったのだが。


 時々。いや、月に何度か瑛二達が遊びに来ていた。かなりの頻度である。お金が心配だったのだが、お義父さんが向こうの支社に用事がある時に一緒に着いてきてるらしい。


「そーいやお前友達出来たか?」

「……出来てないな」

「お前らしいな。いや、お前と東雲に割り込める奴がいねえか。俺らくらいだもんな」


 カラカラと笑う瑛二にため息を吐く。


 正直に言うと。高校ではめちゃくちゃ浮いていた。


 凪が目立つのは当然なのだが。……同じ家に住んでいるという噂は瞬く間に広がり。更には凪が俺が婚約者だと公表しており、学校では凄いことになっている。


 幸いにも凪と同じクラスなので孤独感はないが……話しかけに行く努力はしないとな、と常々思うばかりである。


「子供なぎりんほんとかわい……持ち帰りたい」

「それにしてもさ。アルバムとかちゃんと持ってきてたんだ」

「あ、はい。お父様やお義父様……蒼太君のお父様が何冊か作ってたみたいなので。持ってきました」


 机の上に開かれていたのは分厚いアルバム。凪の言う通り、父さん達が作ったものだ。


「そーいやアルバイトしてるんだっけ? どんな感じなんだ?」

「……まあ。厳しくはあるぞ」


 書類の作り方。プレゼンのやり方もあれば、メールや電話などのビジネスマナーまで。


「お義父さん……宗一郎さんから心構えやこれからやる事なんかを教えられながら、だからな」

「うへぇ……俺は無理だな」


 瑛二が首を振り、俺も笑った。確かに俺も忙しいとは思う。それでも。


「やりがいはある。自分で成長が実感出来るからな。ちゃんと土日は休みだしな」

「ほぉ。ちなみにお金とか貰ってるのか?」

「……まあ。そういう話はされてる。アルバイトどころか手伝いにもなれてないんだがな」


 仕事の手伝いすら出来ない。覚える段階だ。

 しかし、覚えるのも仕事のうちだとお義父さんは言っていた。


「あと資格検定もだな。まだまだ取っておいた方が良いものは多いから勉強中だ」

「……無理すんなよ?」

「大丈夫、分かってる。宗一郎さんも一つずつだと言ってたからな」


 凪がアルバムから顔を上げて。俺達を見て笑った。


「私も見てますから。蒼太君に無理はさせませんよ」

「という事だ。反対に俺も凪に無理はさせないようにしてる」

「家事も分担してますもんね」


 家での事。……基本は須坂さんがやってくれているのだが。俺達で出来る事は俺達でやっている。


 料理は凪。片付けや部屋の掃除は俺がやっている。俺達の手が届かない所だけお願いしている形だ。


「なんか凄いよねー。衝突とかないの?」

「まだ日にちも浅いですからね。それに、最初で取り決めをしましたから」

「『何かあればまず話し合い』『一日一度は話し合い』だな」


 それぞれに家庭のルールがある。その辺の価値観の擦り合わせを初日でしたのだ。

 そして、一日一度の話し合い。こちらはお互い、もし不満にある事があれば話そう……と思っていたのだが。あまり意味がなかった。


 家に居る時は基本凪と話しているからだ。話していなくとも、傍に居る事が多い。一応話し合いの場は設けているが。


「蒼太君とは極力喧嘩もしたくないですからね」

「お互いを尊重しつつ、無理をしない。ためにな」


 きっと、これから先に色々と問題が出てくるだろう。今は良いかもしれないが。時間が経てば思考も感情も大きく変わるはずだ。


「最近だと熟年離婚も多いと聞くしな」

「す、すんげー先まで見据えてんな」


 瑛二の言葉に苦笑いをした。凪は暖かい眼差しで俺達を見ている。


「私達も二人暮らしする? 瑛二」

「住む家がねえよ」


 二人のやり取りを見ながらも、凪の隣に座った。


「蒼太君。これとか懐かしくないですか?」

「こ、これ……やっぱり撮られてたのか」


 そのアルバムに貼られていたのは一枚の写真。


 体操服姿の俺に凪が抱きついてる写真だ。小学六年生の運動会の時のものだろう。


 その写真を見て。ふと疑問に思った。


「めちゃくちゃ画質良くないか? この写真」

「あ、これパパが撮った写真なんですよ」

「お、お義父さん……いや。父さんのせいか」


 あの時の事を思い出した。父さんの隣で大きなカメラを構えていたお義父さんの姿。十中八九父さんのせいだろうが。


 まあ、悪い影響ではないだろうし良いか。


 瑛二が西沢の隣に座り。またアルバムを眺める。


「しっかし、ほんと仲良いな。二人」

「ねー。これとかお泊まりでしょ?」

「あ、これパジャマか。部屋的に海以君の部屋?」

「そうだな」


 そこに写っていたのは薄い空色のパジャマを着た俺ともこもこのパジャマを着た凪。多分中一の時の写真だ。


「……え? これいくつ?」

「中学一年生の時のものですね」


 羽山が目を見開いて俺と凪を見て。ため息を吐いた。


「なんであんなにくすぶってたんだって言いたいんだけど」

「……ま、まあ。そうだな」


 おっしゃる通りである。

 その言葉には苦笑いを浮かべる他ない。


「私はあの時期も好きでしたけどね。蒼太君、すぐ顔赤くなりましたから」

「あ、あの時は……そういう年頃でもあったから」

「いや、今もバリバリ思春期のはずなんだけどな」


 実際あの頃は……一歩間違えば、凪と話さなくなっていたのかもしれない。

 幼馴染と呼んで良いのか分からないが、そうして話さなくなるケースはよくあるそうだ。


 ……やっぱりないな。あの頃から凪、ぐいぐい来ていたし。俺も離れたくないって思っていたから。


「それにしても、こうして見ると色々ありましたね」


 アルバムが終わり。また凪が最初からペラペラと捲る。


「あの公園で蒼太君と出会って。いっぱい遊びましたもんね」

「勉強を教えてもらったりな」


 懐かしい。目を瞑れば今でも思い出せる。


「遊具で遊んだり、途中で雨が降ってきて。一緒にお風呂に入った事もありましたね」

「そんな事もあったな」

「え?」

「後は……学校で蒼太君と遊んで。帰っても遊んで」

「ちょいまち。え? なんて言った?」


 瞼を開けると。可愛く小首を傾げている凪の姿が見えた。


「学校で蒼太君と遊んで――」

「もっと前」

「遊具で遊んだり」

「その間」

「一緒にお風呂に――あ」


 凪が口をその細く綺麗な手で塞いだ。

 俺は視線を逸らした。


「……まじ?」

「え、えっと、その」

「……嘘か本当かで言えば本当だ」


 そう言った瞬間。凄まじい熱量の視線を注ぎ込まれた。


 説明するしかないかと、大人しく視線を戻した。

 三人がめっちゃ見てた。凪は顔を真っ赤にしていた。


「二人で公園に居た時、いきなり雨が降ってきたんだよ。それで凪の家の方が近くてな」

「や、それで一緒に入る事になる?」

「……須坂さん。凪の専属のお手伝いさんに言われてな」


『凪様に風邪を引かせる訳には……しかし、大切なお友達に風邪を引かせる訳にも。そうです。一緒にお風呂にお入りください。お二人とも』


 あの時は頭が真っ白になったな。


「……ガチで入ったん?」

「……はい。折角なので蒼太君のお背中を流したりもしました」

「なぎりん結構肝っ玉だねぇ!?」


 あの時は……確かにお互いおかしくなっていた節がある。


 凪は発育が早く、あの頃からもう――考えるのはやめよう。うん。


 話が変な方向に広がりそうだったからか、凪がパンと手を叩いた。


「そ、それはそれとしまして! 色んな事がありました!」


 強引にまとめる凪。しかし西沢達もそれ以上追求するつもりはないのか、笑っていた。


「本当に。……蒼太君と出会ってから。今まで送ってきた人生の何倍も濃い時間を過ごしました。御三方と出会ってから、更に濃い時間を送ってます」

「まあ、そうだねぇ。私もなぎりん達と会ってからもっと楽しくなったし」

「私も。あんまり一つのグループ? みたいなのって入らなかったんだけど。楽しいし居心地も良かったよ」

「おう。蒼太も一緒だと楽しいしな」


 瑛二の言葉に笑いつつ。そうだな、と頷いた。


「しっかし。その蒼太も社長候補だもんなぁ」

「あくまで候補、だ。俺の技量が全然成長しなかったり、上に立つ者として相応しくないと判断されたらなれないからな」

「なるだろ。お前なら」


 当たり前の事のように言ってくる瑛二。

 ずしりと重かった心が、ひょいと掬い上げられるような感覚があった。


 ……こういう事を平気で言ってくるのだ。こいつは。


「私も支えますから。絶対になれますよ」

「ああ。頑張るよ」


 凪と目を合わせて笑い合う。


 この時間が楽しくて――幸せだった。



 すると、ふと。凪が天井を見上げた。



「時々考えちゃうんです。もしあの時、蒼太君と出会わなかったら、と」


 その目は天井ではない。どこか遠くを見ているようだった。


「――蒼太君。霧香さん。光さん。巻坂さん。もし、皆さんに出会わなかったら。出会うのがもっと遅ければ」


 その目がゆっくりと閉じられる。


「さぞ後悔の多い人生を歩んだ事でしょう。『パパ』『ママ』とも呼べず。全てを偽って。……その世界では、きっと私は――」

「させない」


 凪の手を握っていた。強く。


「どんな世界だろうと。僕が君を見つけ出すよ」


 口から漏れ出す言葉は子供じみたもの。

 それが分かっていながらも。止まることは出来なかった。


「僕が凪を見つけ出すから。後悔の残る人生なんて送らせない。絶対に」

「そう、た君」


 ありもしない事を考えても仕方ない、なんて言えない。どうしてか分からないけど。


 俺と凪がまだ出会っていない。その世界だって、ありえるような気がしたから。


「もし、出会うのが遅くて。……婚約者が出来たとしても。僕が横からかっ攫うよ」

「……ふふ。悪い子ですね」

「それで凪が助かるのなら。悪い子にだってなる」


 凪が手を広げてきて。繋いだ手をそのまま引いて、抱きしめる。


 そこで僕は――俺は。

 瑛二達に見られている事を思い出した。

 かなり、恥ずかしい事を言ったつもりだ。しかし――


 瑛二はニヤリと笑っていた。


「それなら俺は、蒼太がひよってたら背中蹴飛ばす係だな」

「おー! じゃあ私は情報収集係だ! 顔広いからね!」

「私は凪が馬鹿な事やろうとしてたらお仕置きする係になるのかな」


 三人は俺達を馬鹿にする事もなく――僕の口調も気にする事なく。そう言ってくれた。


 小さく笑いが漏れて。その息が凪の耳にかかってしまって、小さく身震いをしていた。


「僕は運命を信じるよ、凪。……別の世界でもきっと、僕は凪と出会って、見つけ出して。また、好きになるよ。必ず」

「……はい! 私も、です!」


 恥ずかしくはあった。でも、凪が嬉しそうにしていたから良いのだ。


「私も、いっぱい。いっぱい蒼太君の事が好きになって。……いっぱい、蒼太君の事を幸せにします」

「うん。幸せになろう。二人で」


 少しだけ体を離して。顔を至近距離で見合わせる。


 ゆっくり、優しく額が触れた。暖かい。


 そっと、一瞬だけ――その唇が触れた。ふに、と。柔らかな唇が当てられて。幸せが溢れそうになってしまう。


 その蒼い瞳を見つめていると、飲み込まれそうになる。飲み込まれたくなってしまう。


 その目も。肌も。髪も。唇も。姿も。心も。全部、全部大好きだ。


 じっと。見つめ合って、時折嬉しくて笑みが零れてしまう。


 最終的に、瑛二が大きな咳払いをするまで。それは続いたのだった。


 ◆◆◆


「そんじゃ、また来るからなー」

「今度はどっか遊び行こー」

「この辺あっちと比べて全然都会だもんね。遊べる所もいっぱいありそうだし」


 玄関から出て、三人を見送る。


「ああ。いつでも来てくれ。俺達も近いうちにそっちへ遊びに帰ろう」

「はい! それにこっちにもお洋服屋さんいっぱいあるので! 次来た時見に行きましょう!」

「お、良いね。行こ行こー!」


 そう約束をして。二人で手を振ると、三人もぶんぶんと大きく手を振った。


 三人が道を曲がって見えなくなるまで。俺と凪は手を振り続けたのだった。


「凪」「蒼太君」


 名前を呼ぶのは同時の事。最近、こういう事が多かった。

 それが嬉しくて。顔を見合わせて笑う。


「楽しかったですね」

「ああ。楽しかった」


 三人と居ると自然体で話す事が出来る。こっちのも俺な事に変わりはないから。

 やはり、最近は気を詰めすぎていたのかもしれない。リフレッシュは大事だな。


 その余韻に浸るように。凪と手を繋いで、ぼーっとする。


「入りましょっか。暑くなってくる時期ですし」

「そうだね」


 凪の言葉に頷いて、スイッチを切り替えて。ゆっくりてくてくと、玄関に入る。


「凪。ハグしても良いかな」

「奇遇ですね。私も言おうと思ってた所なんです」


 玄関で、靴を脱ぐ事もなく。

 凪の手を。体を引き寄せ、抱きしめた。


 遠足が終わった日の帰りのような。

 修学旅行が終わった日、眠りにつくような。

 卒業式の日、校門近くで友人と話していた時のような。


 そんな、物寂しさに包まれていたから。


 高校生になって。五人でいつも一緒に居たという日常が、非日常へと変わった。


 もちろん凪との生活に不満なんてない。あるはずがない。


 それでも、少しだけ寂しかっただけだ。


「またすぐ来ますよ。それか、私達から行っても良いんです」

「そうだね」


 凪の言葉に頷いて、その体を強く抱きしめる。


 細く。しかし細すぎない。柔らかく、暖かい体。


 その体を包み。そして包まれていると、不安定だった何かが安らぐようだった。



 凪が居てくれて良かった。一人だと耐えられなかったかもしれない。いや、別に一人で都会に行く機会などないのかもしれないが。


「蒼太君。お風呂入りましょっか」

「そうだ――え?」


 反射的に頷きそうになって。思わず聞き返していた。


「お風呂入りましょう。蒼太君」

「いや、その……え?」


 凪が力を抜いて。俺も力を抜き、ハグをやめた。


 凪は小さく口の端を持ち上げ。イタズラっぽく笑う。


「たまには良いかなと」

「たまにって……初めて。いや、あの時を入れれば二回目ではあるけどさ」

「それなら、たまには入る事にしましょう」


 凪が腕を組んできて。肘に柔らかい感触が当たる。

 そのまま連れて行かれそうになり、その意図に気づいた。


 服を取るために部屋へ戻ってきた時。凪の頭に手を置いた。


「ありがとう、凪」

「どういたしまして、です」


 少しホームシック気味だったから、慰めようとしてくれているのだ。


「私こそ、断らないでくれてありがとうございます。一緒に入ったらリラックス出来るはずなので」

「どういたしまして、というか……リラックス出来るかは少し不安だが」


 タンスを開けて自分の服を取ると。凪も自身の手に服を持っていた。


 服の間から、真っ白なものが見えて。思わず視線を逸らしてしまう。


「……見たいですか?」

「そ……そ、その言い方は。卑怯だと思う」

「ふふ。ごめんなさい」


 今度はちゃんとからかわれていたらしい。凪がまた僕の腕を組んだ。


 ふと、とある言葉を口にしたくなった。


「大好きだよ、凪」

「私も大好きですよ。蒼太君」


『大好き』という言葉。かなり頻繁に僕達は口にしている。


 それでも言い慣れたり。言われて抱く感情が薄くなる事はない。



 ――凪との生活は始まったばかりだ。これから宗一郎さんの所の家に行くのか。それともこの生活が続くのかは分からない。


 それでも、いつかは凪と二人で暮らす事になる。……途中から三人とか四人になるのかもしれないけど。


 色々あるだろう。今日のように、多少センチメンタルな気持ちになる事だってあるだろう。俺だけでなく、もちろん凪も。



 それでも。


「僕。幸せだよ」

「はい! 私もです!」


 この気持ちは本物だ。凪が隣に居てくれるだけで、幸せだ。

 寂しくなっても、何があっても、心のどこかにこの幸せは紛れている。


「これからもっと幸せにしちゃいますからね。覚悟してくださいよ」

「うん。僕ももっと幸せにする。出来るよう頑張るよ」



 ――凪と一緒なら、絶対に幸せに暮らせる。


 根拠も理由も必要ない。だって、そうなのだから。


 何年も一緒に居て知った事だから。


「蒼太君」


 凪が足を止めて。ほんの少しだけ背伸びをしてきた。


 唇に柔らかいものが触れる。そこから脳へ。体へと幸せが流れ込んできた。


 凪が一度離れて。それでも、僕は離したくなくて。

 自分からまた唇を重ねた。


「大好きだよ」「大好きです」


 その言葉は同時で。きっと、抱いている感情も同じだ。


 それでこれから先。一つだけ、変わり続けるものがある。


 それは、凪を好きだという気持ち。日に日に膨れ上がるそれは、上限を知らない。


「愛してる……凪」

「……! 私も、私も! 愛してます!」


 普段は恥ずかしくて、中々言えない言葉。それでも言ってみると、恥ずかしさより幸せが勝る。



 ――心の底から。何度でも思う。



 凪は僕にとって、特別で、大切で。



 大好きな人だ。



 その事は胸に刻む必要はない。


 もう、既に刻まれているのだから。











 IF編 <〜完〜>

――――――――――――――――――――――


 あとがき


 皐月陽龍です。今回はかなり作者の感想や感情などが混じったあとがきになっておりますので。苦手な方もご注意ください。お知らせなどもないので、読み飛ばしていただいて構いません。




 まず最初に。ここまでお読みいただきありがとうございます。


 そして次に。なんでこんなに長くなったんでしょうか。

 最初は五話くらいで終わるかなと思っていました。長く見積もっても十話で終わるかなと思っていました。


 結果。十五話となりました。

 書きたい話が多かったんです。なんなら削ってます。蒼太君と凪ちゃんのお風呂回書きたかったです。小学生時代の。


 しかし、内容が長くなった為かかなり満足のいくIFとなりました。

 特に告白のシーンは、本編では出来なかった何事もない幸せルート。それでありながら、幼馴染でないと出来ない告白方法でした。大満足です。


 また、ほぼ毎日投稿出来たので良かったです。途中一日空けてしまったのは申し訳ありません。


 毎日投稿は3000字くらいがちょうど良いなと思ってたんですが。なぜか後半はこんな事になってました。今回のお話も7000字弱です。あとがきを含めると8000字超えてます。


 さて、もうかなりお話しておりますが。後少しだけお付き合いください。


 今回はカクヨムコンの特別賞&CW賞記念という事で書きましたが、かなり前からこのIFは思いついておりまして。書きたいなと思っていました。賞をいただく事が出来なかったらお見せできなかったかもしれません。


 良い区切りという事もあり、ここで終わらせていただきますが。……もしかしたら。書籍が発売するとなれば、またその記念として続きを書くかもしれません。まだもしかしたらの話なんですがね。書籍化&コミカライズが出来るよう頑張らなければいけません。賞をいただいたからと油断はしないようにします。


 さて。それでは改めましてお礼を伝えたいと思います。


 読者様方の応援のお陰もありまして、第8回カクヨムWeb小説コンテストにて特別賞とComicWalker漫画賞という素晴らしい賞をいただく事が出来ました。本当にありがとうございます。


 これからは更新もゆっくりになります。氷姫の更新は週一くらいを目処に頑張りたいなと思いながらも、これから忙しくなる可能性も高いです。新作も書いていきたいなという所存です。もちろん氷姫含む既存作の更新もしていきますが。体が足りません。


 四章のあとがきでも伝えましたが。ここから先、二部は私の書きたいお話をどんどん書いていく形となります。山あり谷ありというよりは、二人の日常を覗き見るという形ですね。

 ただ、今までよりも更に凪ちゃんが可愛くなる事だけはお約束致しますので。もし気になったり、久しぶりに読みたくなったらお気軽に読んでいただけると幸いです。


 長くなってしまい申し訳ありません。


 最後にもう一度。お礼を言わせてください。



「他校の氷姫を痴漢から助けたら、お友達から始める事になりました」を読んでいただきありがとうございました。

 これからもお付き合い頂けると嬉しく思います。





 P.S.おまけとしてIF世界の二人のお風呂編(めちゃくちゃ健全)は書きます。書くとしても短いお話になりますが。蒼太君の一人称はいつも通りの(俺)になります。

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