第11話 見参・コーンテイスト三人衆!
それではさっそく、数あるコーンテイストのなかでも自信の三種類をご紹介します。なお、三種すべてで『ひっくり返して、二度焼きする』という行程がありますが、これは、いままで言ったとおり『上ばかりが焼けて下まで火が通りずらい』という、うちのオーブンの特性によるもの。『上から下までまんべんなく焼ける』オーブンをお使いの方でしたらわざわざひっくり返す必要ありません。もちろん、『二度焼きしてしっかり食感にしたい』と言うのでしたらひっくり返してくれても構いません。そのあたりは好みに合わせてアレンジしてください。
なあに、少々、無茶をしても大丈夫。しょせん、素人考案のレシピ。『レシピ通りにやらなきゃ失敗する!』なんていう繊細な代物ではありません。お気軽にどうぞ(笑い)。
では、その点を承知して頂いた上で実際の作り方に進みましょう。
コーンテイスト・ブラウニー
材料
小麦粉 二〇〇グラム
オートミール 三〇グラム
ひよこ豆粉 三〇グラム
素煎りクルミ 三〇グラム
純ココア 六〇グラム
インスタントコーヒ ー五グラム
てん菜糖 四〇グラム
ハチミツ(百花蜜) 四〇グラム
塩 二グラム
米油 四〇グラム
作り方
1 インスタントコーヒーを適量のお湯で溶いて、コーヒーを用意しておく。
2 クルミを砕いて、ボウルに入れる。
3 2のボウルに小麦粉、オートミール、ひよこ豆粉、ココアを入れてシャカシャカ混ぜる。
4 3のボウルにてん菜糖、塩を入れてシャカシャカ混ぜる。
5 4のボウルにハチミツ、米油を入れてシャカシャカ混ぜる。
6 5のボウルに,生地がまとまる程度の量の1のコーヒーを入れてよく混ぜる。
7 クッキングシートを敷いたオーブン皿に6の生地を載せて平らにならす。
8 冷凍庫で三〇分ほど休ませる。
9 一七〇度のオーブンで三五分焼く。
10 ひっくり返してさらに一五分焼く。
11 できあがり。
『ブラウニー』と言うと一般的にはチョコレート風味が効いていて甘味が強い、という印象でしょうが、そこはコーンテイスト。甘味控えめで粉の味がしっかりします。
そもそも、ココアって苦いものですからね。
チョコレートの甘味は実はあれ、砂糖の甘味です。一般的なミルクチョコレートの成分表を見てください。砂糖のほうがカカオより先にあるはず。先に表記している材料ほど量が多い。つまり、甘いミルクチョコレートはカカオより多くの砂糖が入っているんです。
もうカカオ菓子じゃなくて砂糖菓子ですよね。その点、コーンテイスト・ブラウニーは砂糖よりココアの方が多いのでそこまで甘くない。おまけに、コーヒーまで入っているので甘味のなかにほのかな苦みが効いたおとなの味。甘いものが苦手な方にもおいしく食べられます。
よく噛んで、味わってみてください。噛むほどに素材の味が感じられ、滋味あふれる味わいが口のなかに広がります。その滋味こそが砂糖漬けのスイーツにはない、コーンテイストならではの味なのです。
コーンテイスト・フルーツケーキ
材料
小麦粉 二〇〇グラム
オートミール 三〇グラム
ひよこ豆粉 三〇グラム
クルミ 三〇グラム
ドライフルーツ 三〇グラム
てん菜糖 四〇グラム
オレンジハチミツ 四〇グラム
塩 二グラム
米油 四〇グラム
レディグレイ茶葉 テキトー
注・『オレンジハチミツ』とはオレンジの花からとったハチミツ、『レディグレイ』はそう言うブレンド名の紅茶です。ドライフルーツはお好みのものをどうぞ。
作り方
1 レディグレイは三〇分以上お湯につけてしっかり抽出しておく。
2 クルミを砕いて、ボウルに入れる。
3 2のボウルに小麦粉、オートミール、ひよこ豆粉を入れてシャカシャカ混ぜる。
4 3のボウルにてん菜糖、塩を入れてシャカシャカ混ぜる。
5 4のボウルにドライフルーツを入れてシャカシャカ混ぜる。
6 5のボウルにオレンジハチミツ、米油を入れてシャカシャカ混ぜる。
7 6のボウルに,生地がまとまる程度の量の1の紅茶を入れてよく混ぜる。
8 クッキングシートを敷いたオーブン皿に7の生地を載せて平らにならす。
9 冷凍庫で三〇分ほど休ませる。
10 一八〇度のオーブンで三〇分焼く。
11 ひっくり返してさらに一〇分焼く。
12 できあがり。
ドライフルーツとクルミは事前に紅茶につけておいてもいいですね。
その場合、紅茶の適量は小麦粉の半分と言ったところでしょう。小麦粉は大体、自身の分量の半分の水分で適度にまとまるようですから。
ただし、このレシピでは小麦粉以外も使っていますし、小麦粉の種類や季節によっても水分はかわってきます。ですので、適切な紅茶の量も場合によってちがってきます。つけておくなら心持ち紅茶の量を少なめにして、予備の紅茶を用意しておいてください。
なお、オーブンの温度ですが、ブラウニーが一七〇度になっていて、こちらが一八〇度なのはまちがいではありません。これでいいのです。ブラウニーの場合は水分を飛ばしてしっかり焼きたいので低温で長く焼く、フルーツケーキはケーキ感を残したいのでやや高温で短めに焼く。そのための温度のちがいです。
コーンテイスト・あんばた風味
材料
小麦粉 二〇〇グラム
オートミール 三〇グラム
クルミ 三〇グラム
小豆粉 六〇グラム
てん菜糖 四〇グラム
ハチミツ 四〇グラム
バター 六〇グラム
塩 二グラム
水 テキトー
作り方
1 バターは湯煎して溶かしておく。
2 クルミを砕いて、ボウルに入れる。
3 2のボウルに小麦粉、オートミール、小豆粉を入れてシャカシャカ混ぜる。
4 3のボウルにてん菜糖、塩を入れてシャカシャカ混ぜる。
5 4のボウルにハチミツ、溶かしバターを入れてシャカシャカ混ぜる。
6 5のボウルに,生地がまとまる程度の量の水を入れてよく混ぜる。
7 クッキングシートを敷いたオーブン皿に6の生地を載せて平らにならす。
8 冷凍庫で三〇分ほど休ませる。
9 一七〇度のオーブンで三五分焼く。
10 ひっくり返してさらに一五分焼く。
11 できあがり。
こちらも、しっかり食感にしたいので一七〇度、長めの焼き時間です。とは言え、食感の好みは人それぞれですのですべて同じ温度、おんなじ時間で統一してしまっても構いません。大切なのは自分の好みに合わせることです。
風味としてはまさに、あんバター! はじめて作って食べたときに自分で驚いたぐらいしっかりとあんバターの風味がありました。本来、手間と時間のかかるあんバターがこんなに手軽に味わえるとは……つくづく、豆を粉にしておくと便利です。なお、前述のふたつ、ブラウニーとフルーツケーキもひよこ豆粉を小豆粉にかえてもOKです。
さて、以上、自身の三種類をご紹介しましたが、一目見てわかるとおり、三種類とも作り方はまったく同じ。ただ、材料を混ぜて、焼くだけ。ちがいと言えば材料だけです。ひとつ作れれば他のものも作れます。また、自分なりにあれこれ材料をアレンジしてみてもおいしいコーンテイストが作れることでしょう。卵や牛乳、ヨーグルトなど、お菓子の定番材料はもちろん、食事風にしたいならカレーパウダーを混ぜてみても乙なものです。もちろん、ドライフルーツだけではなく、ざく切りにした生のリンゴや洋梨などを入れてもおいしいです。
市販のスイーツに比べて低カロリー、低糖質、高タンパク、高ミネラル、おまけにクルミや米油も加わって脳にも効く! となれば、食べるしかないでしょう! ただ――。
問題がひとつ。
売ってないんですよ、これ。
当たり前ですよね、私のオリジナルレシピなんですから。世界中、どこに行ったって売っていない。食べるためにはいちいち自分で作らなければならない。
……面倒ですよね、これ。
おまけに最近、ひよこ豆が手に入りにくいんですよ。以前は売っていた店でもなくなっていたり、あっても小袋になっていたり……。これも例の戦争の影響か。迷惑な話……。
しかし!
愚痴っていても仕方がありません。何とかしなければいけないなら、何とかしましょう。
と言うわけで、提案です。
WEB小説界ユーザーの力で企業を動かしてみませんか?
オートミールを思い出してみてください。オートミールなんてちょっと前までほんのマイナー食品。スーパーの棚の片隅にほんの二、三種類、置いてあっただけじゃないですか。それが世間の注目を浴びるやいなや、いまでは何種類もの品や加工品が所狭しと並び、スーパーの一角を我が物顔で占拠しています。
だったら!
WEB小説界ユーザー数百万人が一斉に訴えれば企業を動かせないはずがない!
これだけのユーザーがいれば、なかには食品関連企業にお勤めの方もいらっしゃることでしょう。その方から『WEB小説界でこれだけ話題になっている!』と推してもらえれば利益に聡い企業のこと、商品開発に乗り出さないはずがありません。おまけに、WEB小説界ユーザーのなかには農家の方もいらっしゃる。ひよこ豆の需要が増えれば、国内の農家が作る理由も出来る。国内でバンバンひよこ豆を作ってもらえれば海外情勢にかかわらず安定供給が出来る。食糧自給率アップにも一役買える! と、いいことずくめ。
と言うわけで皆さん、まずは本エッセイにガンガン、アクセスしてください(笑い)。
トップレベルの売れっ子作品みたいに何千万という閲覧数がカウントされれば企業だって注目するに決まっています。そうなれば、手間をかけずにおいしくて健康に良くて、おまけに認知症対策にもなるお菓子が食べられるようになるのです!
……と、最後はちょっと(かなり?)妄想めいた話になってしまいましたね(このくだり、規定は大丈夫でしょうか? 問題ありなら、このくだりは削除しますので、運営さま、ご連絡ください)。まあ、最後のくだりは冗談半分(本気半分)として、今回ご紹介した三種のコーンテイストは本当においしいです。少なくとも、おすそわけした近所の人から『どこで習ったの?』と聞かれるぐらいには。
とにかく、一般的な本に載っているスイーツ類に比べても実に簡単な作りで、まず失敗することはあり得ません。オーブンがあればどんどんチャレンジしてみてください。その甲斐はあります。保証します。
と言うわけで長々と語ってきましたが、そろそろ最終回といきましょう。
では、次回では最後のまとめをして、お別れです。
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