第10話 コーンテイストとは?
コーンテイスト。
それはその名の通り『穀物の味を楽しむ』お菓子のことです(『コーン』とは穀物の意味です。トウモロコシのことを『コーン』と呼ぶのは新大陸の人々がトウモロコシからパンを作っているのが見たヨーロッパ人が、トウモロコシのことを『新大陸の穀物(コーン)』と呼んだからです)。
本エッセイを読んでいる方のなかには自分でお菓子を作ったことのある人もいらっしゃることでしょう。そのとき、思いませんでしたか?
おいしくない……と。
でも、大丈夫。あなたは悪くない。あなたの作ったお菓子がおいしくない理由。それはただひとつ。
砂糖です!
砂糖は暴君。
すべての味を支配する専制君主。
一般的なスイーツレシピの分量で作ると、砂糖の味がすべてを支配してしまい、他の味を感じられなくなるんです。だから、おいしくないんです。
では、なぜ、こんなにも多くの砂糖を使うのか。
ひとつは保存性をよくするため。
もうひとつは保水力を高め、しっとり感を出すためです。
そこで、思い出してください。数あるスイーツの謳い文句を。
しっとり。
サクサク。
フワフワ。
そう。恐ろしいことにすべて食感なんです。肝心要の味に関しては一言もふれられていないんです。つまり――。
食感のために味を犠牲にしている。
それがスイーツなんです。
それに対し、砂糖の量をずっと抑えて素材の味を味わえるようにしたお菓子。
それがコーンテイストです。
砂糖の量は一般的なスイーツのおよそ五分の一。これだとさすがに少なすぎて甘味もしっとり感も足りなくなるので砂糖と同量のハチミツを加えることで甘味としっとり感を補っています。砂糖の量が少ないために最初の一口ではあまり味は感じられません。ですが、かむほどに旨味が広がり、滋味あふれる味わいが広がっていく……。
この滋味こそが穀物の味。砂糖漬けのスイーツでは味わえない味なのです。そして、もちろん、砂糖が少ないので糖分、糖質共にずっと少ない。スイーツに比べて悪影響がずっと少ない。
それがコーンテイストです。
それでは、コーンテイストの基本の作り方を紹介しましょう。
コーンテイスト・プレーン。
材料。
小麦粉 二〇〇グラム
ひよこ豆粉 三〇グラム
オートミール 三〇グラム
クルミ 三〇グラム
てん菜糖 四〇グラム
ハチミツ(百花蜜) 四〇グラム
米油 四〇グラム
水 テキトー
作り方。
1 クルミをボウルに入れ、荒く砕く。
2 小麦粉、ひよこ豆粉、オートミール,砂糖を1に加え、シャカシャカ混ぜる。
3 ハチミツ、米油を入れ、シャカシャカ混ぜる。
4 生地がまとまる程度に水を加え,よくこねる。
5 クッキングシートを敷いたオーブン皿の上に載せ、平らにならす。
6 冷凍庫で三〇分ほど休ませる。
7 一七〇度のオーブンで三五分焼く。
8 ひっくり返してさらに一五分焼く。
たったこれだけ。
面倒なことは一切なし。
ただひたすらに材料を混ぜて焼く。それだけの作り方です。
一七〇度で焼くのは低温で長時間、焼くことで水分を飛ばし、私好みのザクザク食感にするためです。途中でひっくり返すのは脳活パンの項で言ったように、うちのオーブンは上ばかりが焼けて下までうまく火が通らないため。それと、二度焼きすることでしっかり火を通すことで堅焼きに仕上げるためです。
まんべんなく火が通るオーブンで、堅焼きにする必要がないならわざわざひっくり返さなくてもOKです。その場合は一八〇度のオーブンで三〇~四〇分焼けばOKでしょう。
前述の通り、砂糖の量がスイーツに比べてずっと少ないので糖分,糖質共に少ない。体への負担も小さい。さらに、ひよこ豆粉やオートミールが入っている分、高タンパク、高ミネラル。さらに、米油を使っているので脳にも効く! と、いいことずくめです。
また、べーキングパウダーなどのふくらし粉を使っていないのでフワフワ食感にはなりません。砂糖が少ないのでしっとり感も少ない。ちょっとボロポロッとした、ケーキとクッキーの中間のような食感になります。
これも前述の通り、最初の一口だけでは味がないと感じるはず。でも、じっくり噛みしめてみてください。かむほどに滋味あふれる味わいが口のなかに広がります。
なお、焼きたてはあまり味は感じられません。一日ぐらいたって味が馴染んでからの方がおいしいです。
今回は基本であるプレーンの作り方を紹介しましたが,次回は自信のレシピ三種類を紹介します。お楽しみに!
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