第9話 スイーツ、どう食べる?

 まんじゅう、カステラ、ケーキ、チョコレート、プリン、ポテトチップス……。

 どれも、おいしいですよね。

 食べたいですよね。

 でも、食べると太りますよねえ~。

 健康にも悪いですよねえ~。

 どうしたらいいんでしょう?


 答え。


 食べましょう(あっさり)。


 いいじゃないですか。

 お菓子を食べて五年や六年、寿命が縮んだって。

 好きなものも食べずに何の人生です。

 どうせ、『死』を避けつづけていれば、最後にはみんな認知症にかかって何もわからなくなって、寝たきりになって病院のベッドで何年も過ごして『やっと厄介払いできる』なんて思われながら死んでいくことになるんです。

 それぐらいなら好きなものをバンバン食べて、血管詰まらせて、ポックリ逝って『惜しい人を亡くした……』と言ってもらえる方がいいじゃありませんか。

 と言うわけで、食べたいものは食べましょう。とは言え――。

 やっぱり、そこには程度というものがありまして、度が過ぎるとやっぱりまずい。

 八〇代、九〇代になってからポックリ逝くならともかく、四〇~五〇代で死ぬのはやっぱりまずいですよね。子供だってまだまだお金のかかる時期ですし(子供がいれば、の話ですが)。

 それに何より、ピンピンコロリと逝ければいいけど、半端に体を壊して闘病生活、というのは御免被りたい。糖尿病にかかって延々と病院通い……なんていやですよね。

 というわけでやっぱり、お菓子を食べるなら食べるで一定のルールは必要だろうと思うのです。

 なるべく、健康にいいものを選ぶとか、

 一日に食べる量を制限するとか、

 決まった日にだけ食べることにするとか。

 私は運動を休む週二日の休日を菓子解禁日としました。

 この日以外は菓子は食べず、休日にだけ食べるわけです。でも――。

 このやり方、大きな落とし穴がありました。

 食べられる日が限られているのに、食べたいものは数限りなくある。そうなるとどうなるか。想像通りと言いますか『あれも食べておきたい、これも食べておきたい』と言うことになってしまい、一日に何種類もの菓子を食べてしまうんですね。

 『一日にこんな食ってたら日数制限する意味あるのか?』

 と、我ながらよく思いました。それに――。

 正直、最近はぜんぜん守れていないんですよね。もう、毎日何かしら食べています。

 それでも、ちゃんと九〇キロ台の体重が七〇キロ台まで減ったわけですし、リバウンドの兆候もありません。これはおそらく、食べ方の問題もあるのでしょう。

 私はお菓子はよく食べますが,間食はしないんです。ほとんどの場合、夕食後にまとめて食べます。

 つまり、間食ではなくデザート。デザートであれば夕食の一部。おやつとしてではなく夕食の一部として食べるわけですから夕食の方を調整することで全体としてのカロリー管理も行えるわけです。夕食の主食を減らすとか、カロリーの低いものを食べるとか。

 実際、養生をはじめてから、以前はご飯茶碗二杯分、食べていたご飯を一杯分にしましたし。その後にあれこれデザートを食べるからそれで充分なんですね。

 それに、太っていた頃は毎日、食べていた夜食はいまでは食べていません。もともと必要があって食べていたと言うより習慣で食べていただけですから一度、その習慣が失われてしまえば食べなくても平気なんですね。

 ただ、これもデザートが関係しているようです。夕食後に糖分の多い菓子類を食べるせいか夜中までお腹が空かないんですね。デザートを食べないときは夜中にお腹が空いて耐えきれずに夜食を食べるときもあったのですが。

 やはり、『何を』食べるかだけではなく『いつ』食べるかも重要なのだと思います。

 『痩せたいけどお菓子はやめられない!』

 と言うなら、間食するよりもデザートとして、夕食後に一家団欒の場で食べた方が良いのではないかと思います。まあ、私の主観ですけど。

 とは言え、ついつい食べ過ぎてしまうのがお菓子の魔力。

 その魔力にはなか逆らえませんよね。

 『今日はお菓子は食べない!』と決めていたのに、おいしそうなお菓子を見るとついつい買って、食べてしまい、ふくらんだ腹をなでながら『ああ、自分はなんて駄目なやつ……』とこぼす日々……。

 そこで、その魔力に抗うための秘策をひとつ。

 それはズバリ、


 自分で作る!


 これです。

 いえいえ、何も『手作り菓子のほうがヘルシー』とか、そういうことを言っているんじゃありません。ただ、自分で作ればお菓子に何が、どれぐらい使われているかがわかるという話です。

 例えば、シフォンケーキ。

 フワフワで、甘くて、おいしいですよね。

 ついつい後を引いて、あればあるだけ食べちゃいますよね。

 でも、このシフォンケーキ。卵や砂糖をどれだけ使っているかご存じですか?

 ちょうど手元に小林カツ代さんの『ケーキ&パイの基本』という本があるのでそのレシピを見てみましょう。


材料

 直径21センチのシフォンケーキ型一台分。

生地

 小麦粉       160グラム

 ベーキングパウダー 小さじ2

 塩         ひとつまみ

 卵黄        4個

 砂糖        160グラム

 水         大さじ3

 サラダ油      大さじ3

 バニラエッセンス  少量

メレンゲ

 卵白        6個

 砂糖        大さじ一

ライトクリーム

 生クリーム     カップ1

 粉砂糖       大さじ5

 卵白        2個


 さすが、プロのレシピだけあって『テキトー』なんて表記はひとつもありませんね(笑)。

 でもまあ、そんなことは気にせずに。気にして欲しいのは砂糖の量。

 なんと!

 生地だけで小麦粉と同じ量の砂糖を使っています。そこに、メレンゲ、ライトクリームに使われる分を含めると小麦粉よりずっと多くなります。

 この本に出てくる他のお菓子も大体、小麦粉と同程度の量の砂糖を使っていますね。ブラウニーなんて小麦粉100グラムに対し砂糖170グラムですよ、あなた。

 想像してみてください。

 『さあ、おいしいお菓子を作るぞ!』と、腕まくりしてキッチンに立つ自分。その前にはボウル一杯の小麦粉と、その隣に置かれている小麦粉の二倍近い量の砂糖……。

 どうです?

 この砂糖の山を見てもまだ、食べる気になりますか?

 しかも、この本。恐ろしいことを書いてあるんです。『ケーキ作りのコツとポイント』という欄にこうあるんです。

 『私のレシピの砂糖の量は、もうこれ以上減らすことの出来ない限界量』

 つまり……市販のケーキはさらに多くの砂糖を使っている可能性が高い!

 もうこんなの小麦菓子じゃありません。

 砂糖です。

 砂糖の塊です。

 そうです。洋菓子と言うのは実は小麦菓子ではないんです。小麦を食べるために砂糖を入れているんじゃありません。その逆です。砂糖を食べるために小麦粉を土台として使っているんです。

 自分で作ればそのことがはっきりわかる。

 目の前の、山盛りとなった砂糖を直に見れば食べる気をなくす。

 そういうことなんです。

 ですから、自分で作れば食べる量を減らせる、と言うことなんです。


 それでも、やっぱりお菓子は食べたい!


 まあ、そうですよね。誰だってそうです。そんなあなたに朗報です。ここで私のもうひとつのとっておき、新世代お菓子『コーンテイスト』をご紹介しましょう。

 では、次回、『コーンテイストの章』、乞うご期待!

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