画面の向こうにいる私の天使。

@Hajikami_Kaonn

画面の向こうにいる私の天使。

 頑張れ。と、一見すればただ応援の言葉なのかもしれない。だがそれは次第に段々と積み重なり、自分に重くのしかかり、自分に牙を剥く。

 言葉は嬉しいはずなのにその感覚がとてつもなく不快で、不安になり、嫌になる。

 勝たなければいけない、期待に応えなければならない。そう、応援の言葉が次第に。

 さらにはそう思う自分にさえ嫌悪感を抱く。

 だからと言ってそんなこと誰にもいえない。誰にも相談できない。

 嬉しさと不安で頭がどうにかなってしまいそうになる。

 いっそ全てを投げ出せたらどれだけ楽なことか。

 いっそ全てを捨てれたらどれだけいいことか。

 これはかつての私の体験談だ。

 勿論、人によって考えも違えば思うことも全て違う。

 あくまで私の場合はそう思った、と言う話だ。

 だから、私は誰かを本気で応援したり、推したり、そう言ったことが極度に苦手であった。

 だから私は捨てた。

 全てを捨てた。

 可能性も、仲間も。

 全て捨てて逃げてしまった。

 あと一歩、たった一歩踏ん張れば夢が叶っていたと言うのに。

 だから、このことは忘れよう。

 そう思っていた。

 だが、近いうちにその考えは変わることになった。

 最も、過去の自分にこの事態が予測できたかと言われたら多分否定するであろう。

 その始まりはただ興味もなんでもなく、ただ過去の自分への執着だった。

 それは、とあるオーディションで私は初めに言ったように全て捨てて逃げてしまったのだが、たまたまそのオーディションと同じ会社が開いている違うオーディションが目に入ってしまい押しただけだったのだ。

 過去の自分が悔しくて、逃げている自分に憎くて、反射的に開いてしまう。

 ただ、それだけの最低な理由だった。

 今になっては思い出せないが、長居するつもりは多分毛頭なかっただろう。

 そもそも私は過去を引きずっていたので、誰かを推すことは絶対にないし、誰か一人の枠を二分として開くこともない。

 これは事実だ。それ以上開いていると私の心がもたない。

 軽いトラウマみたいなものだ。完治したかと言われれば正直言って全く治っていない。未だ、怖いと思っている。

 配信を見るのも、配信をするのも。

 応援するのも、応援されるのも。

 だが、配信したいという気持ちが消えるわけでもなく。

 だがら初めはそこまで見るつもりはなかった。と思う。

 三十秒ほど見て、閉じるつもりだった。

 だが、なぜかその日に限って私は去ることなく枠に居続けた。

 今になって考えてもその日に残って見ていた理由はわからない。きっと塞ぎ込んだ私の心が何かを感じ取ったのだろう。

 気がつけば枠が終わるまでずっといた。

 終わったあと一瞬、そのことついて考えたが面倒臭くなったので考えるのをやめ、しばらくは何も考えすただ見ているだけにしよう。そう考えた。

 そう。しばらくは何も考えないようにしよう。そうすればやがて興味を無くし見ることも無くなるだろう。と。

 だが、意外にも何故気になったのか、という理由はわかった。

 多分、おそらく彼女が強いからだろう。

 強い。と言うのは私の主観的かつ感想でしかないのだが。

 彼女の心の強さに多分強く惹かれているのだろう。

 言うまでもないが強さに惹かれたと言っても、弱音がないことに惹かれたわけではない。

 『言わない』ことに惹かれているのだ。

 あくまで私の邪推であるが。

 それが、真の意味での心の強さである。と私は考える。

 だからこそ彼女に惹かれたのだ。

 そして言うならば、勝ちたいと明確に言葉で証明する前にそれが伝わってくる。そう言ったところに惹かれたのだ。

 詳細を言ったらキリがない。

 それくらいにはその言動、行動、その全てが私の塞ぎきった心に何か突き動かすものを与えてくれた。

 だが、同時に私はひどく困った。

 “どのようにして言葉をかけようか”と。

 私は過去のトラウマから頑張れと言う言葉をかけることに抵抗がある。

 もし、この言葉が彼女の重みになったらどうしようか。

 もし、この言葉で彼女が全てを捨て去り嫌悪してしまうようになったらどうしようか。

 そもそも赤の他人なのだから勝とうがが負けようが、私は何もしなくてもいいのではないか。

 私が何かをしてしまうことによってそれで何か諦めてしまったら私は一生後悔する。ならば何も言わなければいいのではないか。

 と思うほどに。

 だが、考えるよりも先に私自身答えは出ていた。

 全ての問題を通り越し。

 ただ、彼女が好きである。

 私が行き着いた答えはそれだけだった。

 だから私は過去の自分と訣別し、自分なりの方法で最後まで彼女を応援すると決めた。

 彼女のために。そして何より自分のために。

 


【画面の向こうにいる私の天使へ】


 聞こえていますか。

 

 これは頑張っている貴女へ送る、ただの私の戯言です。


 不安になって全て捨てて逃げたくなった時にでも思い出してください。


 私を、いえ。私たちを信じてください。最後の最後まで。ただ、そのことだけを忘れないでください。


 私たちもまた貴女のことを信じています。


 貴女が“勝つ”と。


 最後まで変わらぬ貴女でいられるよう。


 貴女の強さを信じています。


 自信を持って笑いながら前を向き、進み続け、希望の虹であり続けてください。


 そうして楽しみながら輝いてる貴女が一番かっこいいです。


【以上、凡人より】

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

画面の向こうにいる私の天使。 @Hajikami_Kaonn

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る