モンタロー

2

輪郭がぼやけそうなくらい透き通った白い肌と、さっき食べていたりんご飴でよりあでやかさを増した赤い唇に光が朧に反射する。

長い睫毛はぴんと上向き、少し茶色がかった瞳は

空に咲いては散る儚い花畑を見つめている。

夜風が君の顔を沿うように垂れた髪を揺らす。

僕は恐らくこの場にいる人間の中でただひとり、みんなと違う方を見ていた。

空に乱れ咲いた光の花々よりも、隣に座る一輪の花の方が僕にとってはよっぽど魅力的だったから。

僕の視線に気がついたのか、彼女はきょとんとした顔でこちらを向く。

そんな君が堪らなく愛おしくて。一秒だけ。ふたりの呼吸を止めた。

りんご飴の味だけではないような気がした。

彼女の頬が紅潮して見えたのはきっと、赤い花火のせいではないだろう。

顔を見られたくなかったから。僕は何事もなかったかのように前を向いて、終盤に差し掛かって光に埋め尽くされた空を眺める。

視線は移さずに、薄く砂の積もった石段に指を這わせて、浴衣の袖から覗く君の手に絡める。

少しが空いて、君から返事が来た。

もう夏は終わるのに、まだ春は終わらない。

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モンタロー @montarou7

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