第46話 決行

 テーブルにはサラダや唐揚げ、ハンバーグ、グラタンなど、料理が所狭しと並んでいる。


「ちょっと作り過ぎたかな……」


 と苦笑する相賀が、更にカットフルーツを運んでくる。


「えー、これならもっと人呼べば良かったのに」


「今から呼んで来るかなぁ」


 瑠奈が愚痴のように言うと、詩乃がスマホを取り出した。


「いや、来ないやろ。やらんでええよ」


「色々、バレたらヤバイしな」


「そっか……」


 拓真と相賀に釘を差された詩乃はガッカリした様子でスマホをテーブルに置いた。


「ほらほら、冷める前に食べよ」


 雪美が言うと、一同は椅子に座って料理を食べ始めた。


「美味しーっ!」


「ホンマ、オレん家の店よりウマいわ」


 詩乃に続いてぶりの照焼きを食べた拓真が言うと、雪美が「え?」と声を上げた。


「林君のお店?」


「言うてへんやったっけ。オレん家、和食屋やってるんや」


「「へー……」」


 初耳の瑠奈と雪美が驚いたように頷く。


「ま、経営手伝ってるのは姉貴で、オレは休みの日しかやっとらんけどな」


「野球部、あんま休みないもんね」


 海音が苦笑いする。


「お姉さんいるんだ。名前は?」


 瑠奈が訊くと、拓真は食べ終えたぶりの照焼きの皿の上に箸を置いた。


はやし水希みずき。高校二年や」


「詩のお兄ちゃんと同じ高校なんだよ」


 詩乃が口を挟む。


「同い年なんだ」


 雪美がグラタンを食べながら言う。


「せや。まさか高校も一緒になるとは思わんかったて言うとったわ」


 拓真は、今度はハンバーグを食べ始めた。


「……多いかと思ったけど、そうでもなさそうだな」


 唐揚げをつついていた相賀がボソッと呟いた。


 テーブルに山のように並んでいた料理は、十分程で半分ぐらいなくなっていた。


「オレが食うとるからな」


 拓真がハハッと笑い飛ばす。


「拓真君すごい食べるからねー」


 詩乃が笑いながらジュースを飲んだ。



「ん?」


 パーティーが一段落し、食器を洗っていた相賀はふと顔を上げた。


 リビングのテーブルでボードゲームをしていた五人が、全員寝ていた。


 テーブルの上にはコマやサイコロが散らばり、瑠奈はテーブルに突っ伏し、テーブルに頬杖をついて寝ている拓真に詩乃が寄りかかり、海音と雪美は肩を寄せ合って眠っている。


「……ハァ……」


 ため息をついた相賀は苦笑すると、五人にブランケットをかけ、自分はソファに横になった。



 怪盗A、怪盗R、怪盗T、怪盗Uはある民家の屋根の上に立っていた。目の前には、ライトアップされた博物館が建っている。


『もうすぐ時間だ。行くよ!』


 怪盗Kの声が通信機から聞こえる。


「ああ!」


「うん!」


「いつでもええで!」


「行こう!」


 四人が同時に答えた。そして、次の瞬間、四人の姿は屋根の上から消えていた。

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