「ねえ、あのとおくに見える川の向こうって何があるの」

「それは言えないよ」

「どうして?」

「偉い人から言わないようにって言いつけられてるのさ」

「えー」

「まあ、強いて言うとしたら、限られた者しか行けない場所、かな」

「僕は違うの?」

「うん、君が行くのはこっち」

「なんかすごい長いね」

「まあでも、上り始めちまったら一瞬さ」

「そういうもんなの?」

「まあ、そう思っといたほうが身のためだね」


「そういえば君はなぜここに」

「ああ、そのことなんだけど僕もよくわからないんだ」

「というと」

「なんか友達とお出かけしてたらいつのまにかここに来てたの」

「そっか・・・ちなみにそれって突然?」

「んー・・・記憶がちょっとあいまいなんだよね・・・おぼえてないや」

「たとえば、そうだな、痛かったとかあつかったとか、そういうのはあった?」

「うーん・・・」

「ほかにも、寒かった、苦しかった、気持ち悪かった、とか」

「・・・ごめん、覚えてない・・・」

「そ、っか・・・やっぱ消されたか・・・」

「けされた?」

「ん?あ、いやなんでもない・・・ま、気を取り直して、行こうか」

「どこへ?」

「さっき言ったろ、この先、階段を上ったずーーーっと先だ」

「この先は何があるの?」

「それは、見てからのお楽しみってやつよ」

「ふーん」

「よし、行くよ」

「うん」

そういって男は少年の手を取り先へ進んでいった

二人の頭には黄色の輪が輝いていた

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無題 翠雨 降悔 @suiu_sigure

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