第6話 一生の思い出に、俺と踊っていただけるかな

 日没間近になって入った安宿の一室で、アンナは立ち尽くす。手のひらには千切れた鎖があるばかりだ。薔薇十字ロザリオが繋がっていたはずの首飾りだった。けれど部屋中を歩き回り、麻袋をひっくりかえし、衣服を何度もはたいても、十字架は見つからない。


 落としたのだ。ここではない、どこかで。じわじわとこみあげる恐怖に、アンナは身震いした。でも、一体どこで?


 霧雨きりさめのなかを半日駆けて、街道かいどう沿いの街・シルテにたどり着いた。日が暮れる前だ。雨に濡れた石づくりの家々は、灰色にくすんでいた。燈華祭ファル・ヤードの準備なのだろう、蝋燭ろうそくをいれた洋燈カンテラ軒先のきさきるされていて、同じように吊るされた花束をぼんやりと照らしていた。寂しいけれど、幻想的でもある。馬からおりて歩きながら、ぼんやりとそんなふうに思って――そうだ、そこでディエンに腕を引かれて――すれ違った男にぶつかった。



 アンナは顔をこわばらせた。己の迂闊うかつさを呪う。どう考えても、その時なのだわ。られたのよ。たしかに、首の方を引っ張られるような感触もあったもの。


「……取り返しに行かなきゃ」

田舎町いなかまちの夜歩きは、おすすめしないがね」


 すかさずディエンの声が飛んできたが、アンナは無視を決めこんだ。壁にかけていた外套がいとうを手に取る。小卓テーブルの上の燭台しょくだいを拝借する。マッチを擦って、炎をともした。


 改めて部屋の入口に向き直ったところで、アンナは眉を跳ねあげる。、ディエンは扉の前にいた。されどずぶ濡れのままで、床にあぐらをかいて赤毛のうさぎの人形をつくろっている。


「……何をなさってるの」

「見張りだな。お転婆てんばひめが外へ出ていかないように」

「姫ではないのだわ」アンナは苛立つ気持ちを押しこめ、なるべく丁寧な口調で言った。「ねぇ、ディエンさん。あなた、びしょ濡れでしょう。早く着替えるなり、体をくなりすべきよ。ご自分の部屋で」

「あなたが出ていかないと言うのなら」

「わたくしは薔薇十字ロザリオを探しに行きます」

「ならば、俺はここに居続けるしかないね。アンナ嬢レディ・アンナ


 ぷつんと糸を歯で切って、ディエンが一言。聞き分けのない子供を適当にあしらうような態度だ。


 またそうやって馬鹿にして。アンナはぎゅっと眉根を寄せた。いいのだわ。そっちがその気なら。


 燭台しょくだいをテーブルに置き、アンナは足音高く窓に向かう。がたつく木枠を押し上げれば、冷たい雨粒がすべり落ちて手をらした。しずくはさらに、下へと落ちていく――真っ暗な夜闇に包まれた地面は、はるか遠くだ。


 ここは三階で、周囲の建物にも飛び移れそうにない。

 今さらそのことを思い出して、アンナはくちびるの裏をむ。


「この部屋を選んで正解だったな」


 ディエンの指摘に我慢ならなくなって、アンナは振り返った。いまだに扉の前に陣取っている男をにらみつける。


「わたくしが逃げることも、お見通しだったの?」


 人形の胴体に糸をとおしながら、ディエンが肩をすくめた。


「万が一の保険さ。俺は用心深い男なんだよ。アンナ嬢レディ・アンナ

「つまりは、わたくしが薔薇十字ロザリオをなくしたことも、ご存知だったということね」


 アンナはいらいらと息をいた。「最低。知ってて言わないなんて」

 ディエンが笑った。例によってしゃくに触る笑い方だ。


「いい機会じゃないか。昔の男にまつわるものなんて、忘れてしまったほうがいい」

「ルーさまは過去の人ではないのだわ」アンナは刺々とげとげしく反論した。「どきなさい、ディエン。とにかくもう、わたくしの邪魔をしないで」

「ふむ。残念だが、それは質問ではなく命令だから、叶えてやることはできない」

「もう、勝手なことばっかり……! アンナ・ビルツに命令されるのが好きとおっしゃってたじゃない……!」


 アンナは思わず声を大きくした。ディエンが目だけをあげる。笑みはそのままだが、強面のせいで眼光も鋭い。アンナは思わずひるみ――すぐにそんな自分に気づいて、すまし顔をとりつくろった。


 男の視線がゆるんだ気がした。またアンナのことを笑っているに違いない。


薔薇十字ロザリオをなくしたときの状況は覚えているか?」

「この街に入ったときよ」アンナはぶっきらぼうに応じた。「男の人にぶつかられたのだわ。そのときにられたのよ。間違いない」

「男の容姿は?」

「黒がかった茶髪。背丈せたけはわたくしと同じか、少し高いくらい。旅装姿で、びしょ濡れだった。荷物は革袋が一つ」

「ならば、盗人ぬすびと候補を追いかけるのは明日でいい」


 アンナは眉を跳ね上げた。「どうして」

 ディエンが指を二本立てて見せる。


「一つ。荷物が少なすぎるから、男はこの街か、近場の街に泊まるしかない。ここから一番近くて徒歩で行ける街は、道をさらに南側にくだったところだ。よって、俺たちの行き先と一致する」指を一本折り曲げた。「二つ。全身ずぶ濡れであるということは、俺たちと同じく長旅のあとだ。よって、今夜はこの街に泊まる可能性が高い」


 今追いかけようが、明日追いかけようが、結果は変わらない――ディエンの言いたいことを察して、アンナは唇を引き結んだ。腹立たしいことに、彼の指摘は正論なのだ。だというのに、素直に同意したくない自分がいる。


 結局アンナは、乱暴に外套がいとうを投げ捨てた。やりきれない感情を持て余しながら、ベッドに潜り込む。「ならもう、眠ることにするのだわ。明日は日の出のころに出発しましょう」


 頭からかぶった毛布の向こうで、ディエンが笑った気配がした。もう。何度目なの、とアンナは胸中でぼやく。一体なにが面白いのかしら。何も面白くない。何一つ。


 *****


 翌朝、アンナは日の登りきらないうちに目を覚ました。ディエンはいなかったが、扉の前には赤毛のうさぎの人形が置かれている。つぶらな瞳の無言の圧力に屈して、結局アンナは、ディエンが訪ねてくるまで待たざるをえなかった。


 優秀な見張り役だね、というのが、本日最初のディエンの言葉だ。なに食わぬ表情が気に入らなくて、アンナは大男の顔面に人形を投げつけた。


 二日目の旅路は晴天に恵まれ、心地よい秋風に吹かれながらの移動になった。


 ディエンの言うとおり、次の街は近く、昼前には到着した。小さな街だったが、燈華祭ファル・ヤード当日を迎えたのかと疑うほどのお祭りさわぎだった。


 道の両側に立ち並ぶ露店では、老いも若きも食べ物片手に談笑していたし、店の垂れ幕や、家々の軒先のきさきに吊るされた飾り花は、雨露あまつゆに濡れた花弁を美しく輝かせている。


 今日は恋人たちの日も兼ねているのよ、と言ったのは、白と赤の素朴そぼくなエプロンドレスをつけた若い女だ。彼女は、アンナへ小さな花束を押しつけながら付け足した。意中の相手がいるのなら、これを渡して、午後からの踊りに誘うといいわ。きっと何もかもうまくいくはずだから。


 あぁ、まったく、なんてことだろう。


「……冗談じゃないのだわ」


 陽気な女が去ったあと、アンナは賑わう街の真ん中で、ぽつんと呟いた。とがめる声はない。当然だ。


 街のにぎわいにまぎれて、早々にディエンの元から逃げてきた。

 その先で、花を配っていた女に出くわしたのだ。


 彼と一緒にいるときでなくて、本当によかったとアンナは思う。でも、外套がいとうは拝借すべきだった。若い女と分からなければ、花束を押しつけられることもなかったのに。


 アンナはちらと、小さな花束を見やった。しっとりと色づいた薄紅ピンクのダリアに、色づきはじめの実をつけた金糸梅ヒペリカム秋月草オータムグラスがあわせてある。盗人ぬすびとを追うには邪魔で、花配りの女の一言も余計で――けれど、捨てるのは心が痛んだ。


 アンナはためいきをつき、花束をしっかりと持ち直した。どなたかにあげるのがいいかもしれないわ。そう思ったところで、人混みのなかに旅装姿の若い男を見つけた。


 黒がかった茶色の髪。背丈せたけは自分と同じくらいで、見覚えのある革袋を背負っている。


 盗人ぬすびと。そう思った瞬間に、アンナは駆け出していた。人混みをかきわけ、昼間から酒を楽しんでいるらしい男に怒鳴られ、それを無視して路地に飛び込む。幸いにして、人通りはなかった。


 アンナは外套がいとうをつかんで、男を地面に引き倒す。


「っ、な、」

「返しなさい」


 花束を道端に放り出して、アンナはずいと男に顔を寄せた。盗人ぬすびとは――若いというよりも、少年だ――戸惑ったように目を瞬く。「返す?」


「そうよ。薔薇十字ロザリオを盗んだでしょう。昨日」

「はぁ? 何を言ってるんだあんた……俺が? 盗む?」

「シルテで、わたくしにぶつかったじゃないの。知らないとは言わせないのだわ」

「それは……えぇ……? たしかに、あんたには、ぶつかったような記憶があるけど……」

「ほら、ごらんなさい!」

「ま、待ってくれよ! 盗んでない! 本当だってば! ほら!」


 盗人ぬすびとが差し出した麻袋を、アンナは早速ひっくりかえし……まゆをひそめた。薬入れとおぼしき小袋に、錆びついた洋燈カンテラ、獣の皮で作った水筒。これが全てだ。念のためにと、少年に外套がいとうも脱がさせたが、そこにも薔薇十字ロザリオは見当たらない。


 もしかして、本当に持っていないんじゃないかしら。心に迷いがさして、アンナは少年から身を離した。迷惑そうな顔をして走り去っていく少年を見送りながら、さらに疑問が浮かぶ。なら、薔薇十字ロザリオはどこにあるの?


 盗人は人違いだった? いいえ、記憶違いはありえない。さっきの彼だって、ぶつかったことに対しては同意していたんだもの。じゃあ、盗まれたのではなくて、どこかで落としたとか? まさか。細い鎖でつながっていたのよ。自然に落ちるなんてありえないし、たしかに引っ張られたような感触があって……。


 アンナはぴたりと思考を止めた。


 あの時、一番近くにいたのは盗人ぬすびとではない。

 ディエンだ。


「……そういう、こと……」


 からくりが分かって、アンナはふらりとその場に座り込んだ。


 ディエンが薔薇十字ロザリオを盗んだのだ。だから、やけにのんびりとしていたし、わざわざ探しに行くなと言っていたのだろう。


 放って置かれているのも、案外そういう理由からかもしれない。どうせアンナは薔薇十字ロザリオを見つけられないし、探すという行為そのものが無駄である、とか。


 なによ、それ。アンナは道の片隅で、膝を抱えた。ほんとうに、嫌いだ。底意地そこいじが悪い。笑っている顔だって、目に浮かぶ――ここ数日でおなじみになった悪態あくたいを並べきって、どっと疲れを覚える。


 そこでようやく、地面に転がった花束が目に入った。


 どうして、ディエンさんは薔薇十字ロザリオを隠したのかしら。アンナは金糸梅ヒペリカムの実を、ぼんやりと指先でつついた。ルーさまのことを、忘れろということ? それとも、単にからかいたいだけ? どちらもありえそう。でも、本当にそれだけかしら。


 彼にしては、やけに遠回し……そう、それだ。詰めが甘い。そうとも言える。だって実際、わたくしは薔薇十字ロザリオを探しに行けるんだもの。こうやって、ディエンさんから離れることだって出来るのだわ。このままどこかへ行く。そんな自由さえある。


 アンナは指先を止めた。自由。そうだ、この旅は自由なのだ。


 旅の目的地はあるけれど、目指す理由は聞いていない。旅にかかる日数は聞いたけれど、いつまでにたどり着くべきという制約はない。ここにはアンナ・ビルツの顔を知っている人間はいなくて、だから外套がいとうなしで走り回っても、居心地の悪い思いをしなくてすむ。


 アンナは顔をあげる。正面には、くだんの男が立っていた。禿頭とくとうで、強面こわもての大男。逆光だから表情はよく見えない。


 きっと笑っているのだろう。

 思えば、取引を持ちかけられた時からずっと、彼は笑ってくれている気がする。


 平気そうなふりをしているだけだよ――出立前しゅったつまえのニケの言葉が、浮かんで、消えた。


薔薇十字ロザリオは見つかったか?」ディエンが穏やかに尋ねた。

「……いいえ」アンナは、ゆっくりと首を横に振った。「まだ見つけていないのだわ」

「そうか。なら、次はどうするかね。アンナ嬢レディ・アンナ


 一度、ゆっくりとまばたきをした。アンナは花束をつかんで、差し出す。「踊りましょう、ディエン」


 珍しく、返事がない。目をらせば、ディエンが両眉りょうまゆをあげているのがわかった。いつもなら笑うところなのに……と考えたところで、もしかして彼は驚いているのではないかと気づく。


 妙なおかしさがこみあげて、アンナは小さく吹き出した。ディエンがいささか不満げに「ふむ」と呟く。


「今のやり取りに、笑うような場面はなかったと思うがな」

「あら、気があわないわね。わたくしは、まったく反対の気持ちよ。ディエン」アンナはくすくすと笑いながら、立ち上がった。「行きましょう。すぐそこの広場が会場みたいよ」


 返事を待たずに、アンナはディエンの手を引いて通りを歩いた。大男の手は分厚く、たしかな熱を持っている。ルーとは正反対の手だ。ちくりと罪悪感が胸をさした。けれど、足を止めたいとは思わなかった。


 広場に出た。若い二人連ふたりづれの数がぐっと増える。彼らの中心には楽団がいて、調律の音を緩やかに響かせている。


「素敵な人に花束を渡したのね、お嬢さん!」


 人混みの中から、弾んだ女の声が飛んできた。先ほどのエプロンドレスの女性だ。

 アンナは表情をゆるめ、ディエンの腕に触れた。


「えぇ、おかげさまで。彼のことは昔から好きだったの。いつだってわたくしに優しいし、立ち居振る舞いは美しいし、も素敵だから」

「――なるほど、これは光栄だ」冗談に気づいたディエンが、にやっと笑った。「俺も気に入りでね。言い回しが堅苦かたくるしいのが玉にキズだが、教養があるのは良いことだ。いつだって正しさを探していて、をそらさない姿も好ましい」


 女が目をぱちぱちと瞬かせた。困ったように頬へ手を当てる。「ええっと……今のはあなたたち二人のこと、かしら?」


 そうよ、という人生で一番適当かもしれない返事をして、アンナたちは広場の奥へ進んだ。踊れるだけの隙間を見つけるのに、さほど時間はかからない。


 足を止め、アンナはディエンと向かいあう。

 禿頭とくとうの大男は、花束片手に愉快ゆかいそうに言った。


「あなたが冗談を言うとは珍しい。アンナ嬢レディ・アンナ

「冗談ではなくて、本当のことよ。ディエン」アンナはすまし顔で答えた。「あなただってそうでしょう? について、お話してくれたもの。叶うなら、もっと聞かせてほしいのだわ」

「するとあなたは、素敵な相手の話をしてくれるというわけか」

「そうよ。だって、わたくしにとっての素敵な相手は、ルーさま一人きりですもの」アンナはぎこちなく微笑んだ。「馬鹿みたいよね。わたくしたち二人とも、この場にいない大切なひとの話をしているんですもの。とっても諦めが悪いわ」


 ディエンがひょいと眉をあげた。「俺たち二人とも、か」少し間をおいてから、苦笑いする。「なるほど。こういうところでも、似たもの同士らしいね」


 軽やかなヴァイオリンの旋律せんりつが流れ始めた。ディエンが一歩距離を詰め、金糸梅ヒペリカムの枝をアンナの耳元に挿してささやく。


「勘違いしないでほしいんだが、俺にとってあなたが一番大切であるという事実は変わらないんだ。アンナ嬢レディ・アンナ。優先順位をつける生き方だって変えられない」

「分かっているのだわ。だからあなたは、わたくしに自由をくれた」

「俺はなにも、与えてなどいないさ」アンナの耳元の毛を後ろにやって、ディエンが言った。「人は元より自由なんだよ。だから誰かを傷つけもするし、同じ手で誰かを守りもする。人殺しが誰かを愛することもあれば、善人が誰かを死に追いやることもあるだろう。それでも生き続けたいと思う自由はある。誰かが俺たちの傲慢ごうまんさを責める権利を持つのと同じように」

「……えぇ」

肝要かんようなのは、恐れで歩みを止めないこと。自分がどうしたいか、考え続けることだ。アンナ嬢レディ・アンナ


 アンナはうなずいた。考えをまとめるのに、さほど時間はかからない。


 ディエンを見上げた。裏庭バックガーデンを柔らかく包む朝霧あさぎりのような目を、アンナはまっすぐに見つめる。


「ありがとう、ディエン。ここまで連れてきてくれて。でも……いいえ、だからこそ、わたくしはこれ以上、あなたとは一緒にいけない」

「旅をやめるんだな?」ディエンが穏やかに言った。

「そう。わたくしにとっての一番は、ルーさまだけだから」アンナはゆっくりとまばたきをして、付け加える。「そして、あなたにとっての一番は、わたくしだけじゃないから」

「……」

「ディエン。もしもこの旅に、あなたの目的があるのなら、それを追いかけてほしいのだわ。大切なのは、自分がどうしたいか、でしょう?」


 触れるか触れないかの距離の先で、ディエンがにやっと笑った。負けを認めたような、自分自身にあきれているような、親しみのある口調で言う。「まさか、あなたに諭されるとは」


 アンナは目元をゆるめた。


「お互いに、自分のやりたいことに気づいてなかった……というだけの話よ。やっぱり似たもの同士なのね」

「あなたと俺だけの共通点を見いだせたことは、この上ない幸いだ」

「レイモンドさんふうに点数をつけるとすれば?」

「百点満点中、百点――ふむ。さすがは俺が見込みこんだアンナ嬢レディ・アンナだね」


 おどけたようなディエンの言葉に、アンナは思わず笑った。今ばかりは、周りで踊る若い男女と、同じ空気感で――そのことが幸福であると、素直に信じられた。

 

 ディエンがふところから白銀の薔薇十字ロザリオを取り出し、アンナに握らせる。手を重ねたまま、彼は礼儀正しく――けれど目を輝かせて、尋ねた。


「一生の思い出に、俺とおどっていただけるかな。アンナ嬢レディ・アンナ

「よろこんで」


 アンナは、ありったけの感謝と、親愛をこめてディエンの手を握り返した。


「この時間だけは、あなたにささげるわ。本当にありがとう、ディエン」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る