間章あるいは魔女の断片

Posthumous manuscript -Prisoner-

 俺の死体を前にして、あなたは今、どうしているでしょうか。


 よき友人らしく泣いてるんでしょうか。お綺麗な生き方を傷つけられて怒ってるんでしょうか。それとも、神の子らしく穏やかな顔で別れの聖句を歌っている?


 どれもクソですね。違うとあなたは言うでしょうが、クソですよ。だってあなたは、くそったれの大人たちに囲まれて、大事に育てられてきたんだから。どんなに否定したって、皮の下は彼らと同じだ。自分たち以外のすべてを否定して、自分たちだけが正しいと思ってる。


 結局のところ、あなたは、見せかけの正義に酔いたかっただけなんだ。そうして、たくさんの人にもてはやされたかっただけ。だから俺たちをかばった。俺たちに同情した。俺たちの世話役というさえしてみせた。


 違うと、言うかい?


 だったらどうして、子どもたちを見殺しにした。俺だけを閉じ込めて、彼らの死は見なかったことにして……それで今日も何事もなくてよかったと、どうして呑気に笑ったりした。


 どうして。

 流れ星にかけた願いは同じだと、信じていたのに。





 だから、さようならだ。


 あなたは大人たちと同じで、俺とは違った。だから俺は死をもって、あなたの正しさを否定する。



 どうかあなたも、俺との思い出のすべてを否定してくれ。



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 囚人番号〇二三の独房から発見された紙片。所持者死亡のため修道会にて保存のこと。機密認定済み。廃棄にはラメド修道院長御令息ごれいそくの許可をえること。

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