第3話
アントンが見習いをしているカリウル商会は、俺の住むトリウール村には3日間滞在するらしいので、その日の夜に銃を作る事にした。ウィスキーに似ているアリッシュと言う酒で作ったハイボールを飲みながら、アントンに似合う銃を考えた。
この世界の銃はボルト式ライフル銃に似た長距離専用だから、戦争や魔物討伐には使えても使い方に慣れさせなければならない。
まだ12歳の少年だけど行商人として旅をしているなら、直ぐに成長するはずだからワルサーより大きくてもいいだろう。
一緒に魔王討伐をするのに旅をしていた時のアントンは、ムキムキのマッチョな体格に2メートルはありそうな長身に、キリっとしたカッコいい顔をしていた。
戦う姿はプ◯デターやコ◯ンドーのア◯ノルド・シュワル◯ネッガーみたいだった!なら、あれしかない!
「オートマチックマグナム「デザートイーグル」しかないだろ!」
目を瞑ってデザートイーグルを想像しながら、テーブルの上で魔力を粘土みたいにクネクネしていく。
全長25センチで銃身長は12センチの大きさで、重さは…今のアントンだったら1.5キロ位に……、いや、二丁拳銃でカッコよく魔獣を倒すアントンを見たい!だから、1キロにして、グリップは握りやすい様にラバーグリップ。
色は赤以外ないでしょ!しかも、メタルレッドで!
弾は…、マガジンに魔力を充填する仕様にして、魔力弾数は200発。火魔法でファイアバレットは100発撃てるようにしよう。
銃声は…、感知されないように静かな方がいいな!
誤射を防ぐ為に魔力を通さないと引金を引けない仕様にして、スライドの上に残弾数が分かる小さなウィンドが出る仕様にする。アントンは脳筋だから……。
「よしこい!アントン専用デザートイーグル!」
※
アントンのデザートイーグルと簡単な取説が完成したのは夜明け近くになってしまい、俺は疲れ果ててテーブルに突っ伏して寝てしまった。
外が騒がしくて起きると、テーブルに置いてあったデザートイーグルと予備のマガジン4個と取説が無くなったいた。
「っ!!ヤバい!!無くなってる!!」
10畳ワンルーム程の小さな小屋の俺ん家で物が無くなるなんて有り得ない!!しかも、デカい銃が2丁だぞ!取説も無くなってるって事は泥棒か!?
家の中をひっくり返しても見つからないから、家の外に出ると村人が俺ん家の前に集まって騒いでいた。
嫌な予感がした俺は村人を掻き分けて騒ぎの中心に行くと唖然としてしまった…。嫌な予感が的中してしまったのだ。
異世界に来て勇者になった俺、スペックそのままで逆行したけど、2回目は平凡に生きる。 いちとご @ripoff
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