第2話

神の童貞に対しての理不尽さを嘆く日々が続き10年が過ぎたある日、俺は時代が逆行しているのに気が付いたんだ。


何故なら、俺の目の前に目を輝かせながらオモチャの拳銃で遊んでいる少年は、一緒に魔王を倒した仲間であり親友だった銃騎士アントンだからだ。


短く切られた癖のある赤毛に、火属性の象徴である真紅の瞳のを輝かせながら拳銃を弄る顔は幼く、身体付きもまだ細くて小さいが間違いない!アントンだ!


「なあ!これは何て言う武器なんだ!?」


「それは拳銃って言うんだ。まあ、これは烏達を追い払う為のオモチャだけど、本物は弱いモンスター位なら殺せるかな。後、人間も…」


田舎の貧乏農家な我が家の大事な生命線である農作物を荒らしにくる烏どもを駆除する為、大好きな〇〇3世が愛用していたワルサーP38のエアーガンを創造スキルで作ったのだ!


てか、何故か勇者の時のステータスそのままなんだよね。こないだ作れないかな〜?って、思ったらスキルが発動して出来ちゃってビックリ!


「俺に作ってくれないか!?」


「いや、なんで知らない奴に、そんな危ない武器を作らなきゃいけないんだよ!」


「あ!それもそうだ!俺はアントンだ。帝国一のカリウル商会の行商人見習いをしてる!」


仁王立ちをしながらドヤ顔で言うアントンに、俺は懐かしさを覚えた。子供っぽい奴だなって思ってたが、子供の頃まんま大人になったのか笑


「俺はユウタだ。そうか、行商人見習いか。だけど、何故武器がいる?」


「それはさ、行商で色んな所に行くだろ?そん時に盗賊やら魔物やらに出くわすんだ。俺は魔法も使えないし剣も握れなくて、皆んなが戦ってるのに、1人だけ隠れてるのが嫌なんだ!俺だって!皆んなと一緒に戦いたいんだ!」


相変わらず熱い男だな!やっぱりお前は俺の親友だ!

しかし、あんなに強い魔力で火魔法を扱えてたのに、まだ使えないとは…。俺がなんとかしてやるか!


「いいだろう。ただし、一つだけ条件がある」


「作ってくれるなら、どんな条件だろうが構わないさ!」


「なら、俺の親友になってくれ」


「何言ってるんだ!俺達はもう親友だろ!」


俺と肩を組み大声で笑いながらオモチャの拳銃をバンバン撃ちながら、昔と変わらず俺を親友だと言うアントンを見て、俺は再び会えた幸せを噛み締めていた。

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