記録10 序盤の相手は元魔王幹部
▲
魔形師エドナ、奴が今回の事件の黒幕だ。
動機は人と人形の願いを叶えるためだとか。
両方の願いを叶えるためにやった結果があんな事になるなんて正直間違っていると自分は思う。
▲
「でもその前に場所を変えましょ」
エドナは指を鳴らすと彼女を挟むように床に魔法陣が展開されそこから勢いよく獣が2匹飛び出し自分とレインの方へ向かってきた。
くッ!?
「キャアッ!」
自分は腕でレインは『プロテクション』で防ぐも獣の勢いは止まらず二人はそのまま家の壁を壊して外に追い出される。
「リーフ、レイン!!」
「よそ見は禁物よ」
「しまっ!―――」
二人に意識を向いてしまったことで隙を作ってしまいそれをエドナは見逃すはずがなく魔力を集めただけの球をぶつけて吹き飛ばしヒースも外へ追い出した。
ヒース!
「大丈夫だ、問題ない!」
それぞれの武器を構え相手の出方を見る。
ゆっくりゆっくりとエドナは家から外へと歩みその境界線を越え立ち止まると自分たちに目線を向ける。
「あなた達はどう思う、人と人形の共存をするために人の身でありながら人形として生きるのは?」
「全くもって共存じゃねーよ!」
エドナの問いにヒースは否定するや否や地面を強く蹴り前へと飛び出す。
「『水銀の盾』」
ヒースの振りかざした剣はエドナの前に展開された薄い水銀の壁によって防がれる。 防がれたことによりできた隙を逃すはずもなくヒースを挟むように獣が嚙みつこうとする。
「『
ふん!
片方はレインの魔法でもう片方は自分の付与攻撃『ウィンドアロー』で対処する。
「『水銀の槍』」
エドナは続けざまに魔法を唱え地面から水銀でできた棘を出現させる。
「これはどうだ!」
それに対しヒースは横に飛びそのままエドナの後ろに回り込み突きの構いをとりスキル『スティグマ』を放つ。 だが無防備な体に突き刺さろうとする剣は突然ずれてしまい狙いを外してしまう。
木片だ。 壁を破壊されたときにできた木片が何かに引っ張られたようにヒースの方へ飛んでいき体にぶつけて狙いを外させた。
「くそっ!」
『エアブラスト』!
体制を崩しヒースに再び地面から『水銀の槍』が襲い掛かろうとするが咄嗟に自分の風魔法でヒースを飛ばしそこから離れさせる。
「『
レインが魔法で攻撃するもエドナは簡単に防ぐ。
「ねえ、一つ聞いてもいいかしら」
「ええ何かしら?」
杖を構えたままレインが問うに対しエドナは構えもとらずただ真っすぐにレインを見る。 後ろの自分たちには警戒はしないのかと思うが多分攻撃しても防ぐことができるからあの行動に出たのだろう、レインが話している間に自分たちは体制を立て直してどうするか考える。
「私と一緒にきた調査員数名、今どこにいるか知ってる?」
「調査員? ああ、あなたと一緒にきた5人のことかしら? それなら家の地下に眠らせておいたわ、良さげな素材だからいい収穫だったわ」
「とりあえず全員無事ってことね。 じゃあ『
「あらあら、嘘をついてるかもしれないわよ」
『エアブラスト』
「ッ!?」
エドナがレインの魔法を防いだ時に自分はヒースの案で『エアブラスト』でヒースを飛ばす。 スピードが乗ったヒースは一直線にエドナの間合いに入り交差する瞬間に剣を振るう。
『水銀の盾』の展開が間に合わないと察したエドナは素早く展開できる『プロテクション』で咄嗟に防御しようとするがヒースの振るう剣はそれごと一緒にエドナの右腕を切り落とす。
「……あなた、もしかして今まで手を抜いていたのかしら?」
「何のことやら、手なんて抜いてたら負けるに決まってるだろうが」
腕を切られても平然とするエドナはヒースに問うがヒースは適当に答える。
「さてと、そういえば鬼ごっこはまだ続いているか? 続いているんだったら今度はこっちが鬼の役だが」
「あらあらそうなるわね逃げるのは得意じゃないの、逆に立ち向かっちゃうのよねえ」
それゲーム成立しないんじゃ……
「このまま子供たちを呼ぼうかと思ったけど気が変ったわ、久しぶりに本気で行かないと―――
―――『水銀の人形』解除』
エドナが魔法を唱えると近くに倒れている人形から水銀が出始めエドナの方へと流れ体内に染みこんでいっている。 どんどんと水銀が彼女の体に染みこんでいき最後の水銀が彼女に入ると一息吐き笑みを浮かべる。
「さあ、頑張ってねオニさん『魔形操術:牙』」
エドナを中心に水銀が広がりさっき倒した獣とは雰囲気が違う獣が二匹召喚される。
ヒース、これで行けるのか!?
「ああ、これで奴を倒せるようになった。もうちょっとかかると思ったんだけどな」
「そういうこと……スペアを警戒していたのね、でも今の体が気に入っているから別に使うつもりはないし倒されても使う気はないよ」
……ヒース?
「俺に言うな こいつ(パンドラ)に文句言え」
「二人共戦闘に集中して!」
レインに注意され自分は気を引き締め集中する。
ここまで順調に来たこっからは全力で勝つ。
「それじゃあ行くぞ、こっからは本気だ」
「ええ、思う存分きて頂戴」
勇者の鎮魂歌 シドー @shimao
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。勇者の鎮魂歌の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます