18歳になったら巨大ロボット相談所へ

ちびまるフォイ

夢はけして妥協できない

「いらっしゃいませ。巨大ロボット相談所へようこそ」


「実はもうこんな年齢なので、そろそろ巨大ロボット乗りたいなぁって」


「そういうお客さま多いですよ。はい、こちらカタログです」


「いろいろあるんですねぇ……。いっぱいありすぎて悩みます」


「でしたら、これなんかどうでしょうか。巨大ロボット初心者におすすめですよ」


「へぇ」


「ロボットのコックピットは分離できるんで、普段の移動にも使えます。

 それに操作系レバーも最小限なので覚えるのもカンタン。

 必殺技はロケットパンチ! これ巨大ロボットの醍醐味でしょう?」


「いいですねぇ」

「でしょう」


「でも……どうしようかなぁ」


「え? なにか問題が?」


「ロケットパンチはやってみたいんですが、

 こうレバーとかガチャガチャ動かすんでしょう?

 そういうのって、乗り手の技術が求められません?」


「ああーー……まあ、それは……そうですね」


「不器用なんでそういうの苦手なんですよ」


「でしたら、こっちなんかはいかがですか」


「ずいぶん変わった形の巨大ロボットですね」


「こっちは複雑なレバー操作はいらないんですよ。

 操作はすべて脳波コントロールできちゃうんです」


「いいですねぇ」

「でしょう! でしょう!」


「でも……」


「え゛っ」



「脳波コントロールって怖くないですか?

 なんか逆にロボット側から操作されそうですし……」


「そ、そんなことはないかと……」


「それは今までそうであったからというだけで、

 これから起きる、という可能性もあるわけじゃないですか」


「えぇ……? そうですねぇ……まいったなぁ」


「なんかもっといい巨大ロボットないんですか」



「あ! それでしたら、シミュレータ受けてみませんか」


「シミュレータ?」


「シミュレータの結果をうけて、あなたピッタリの巨大ロボを見つけてくれるんです」


「それはよさそうですね!」


「さあ、こちらへ。結果はすぐに出ますよ。はいスタート!」








「……どうですか?」


「あ! 結果が出ました!」


「教えてください! 私にぴったりな巨大ロボットは!?」



「これは……ニンゲン、ですね」


「ニンゲン?」



「地球でもっとも流通している巨大ロボットですよ。

 普通のロボットと違って、服をきせかえができたり、

 筋トレで内部構造を強化したりできるんです」


「自分で育てるロボットですか、それはおもしろそうです!」


「今一番売れているロボットです。

 しかもこのロボット、ついになっていて別タイプもあるんです!

 つがいの片方とは恋愛も楽しめちゃうんですよ!」


「もう最高じゃないですか!!」


「そうでしょう! そうでしょう! これで決まりですね!!」










「あ、でもロケットパンチ出ないんですね。やっぱロボはロケットパンチないとなぁ……」




その瞬間、店員のロケットパンチが客の体をつらぬいた。

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