【コトバ】にできないボクと素直に【コトバ】にしてくれたキミ。

@utusan

一日が長く感じて。

|……それは長い長い冬の事だ。

僕は、手袋も無しで赤いジャージをただ羽織っているだけだった。

「肌寒いし。早く帰ろ……」

僕は必死に転ばないように家に向かい、震えながら走った。

「……うわぁぁぁっ?!」

……誰かとぶつかってしまった。これはまずい。

「あっ……!あのぅ……」

僕は脅えながらそう言った。

「……大丈夫だよ!謝らなくたってさ!」

……少女の声が聞こえた。ぶつかった子だ。

「で、でも…ごめん……なさぃ!!」

僕は必死に謝った。

「だーかーら、言ったでしょ。謝らないでってさ!」

少女は笑顔で僕に言ってくれた。

「ごめんしなくても……いいんの……ですか?」

僕は焦って言葉が少しおかしくなった。少し深呼吸し、安心できた。

「あははっ。君、面白いんだね。お名前は?」

少女は笑顔で質問してきた。

「ええと……鬱霊蘭です……」

僕は少し不安気味に返事してみた。

何故こんなにも落ち着かないんだ?

「……素敵な名前。私は、沙花叉霊だよ。仲良くしよ!!」

……何だかんだで、ただのぶつかった人なのに、名前も教えられる仲に。

「……仲良くしようね。うん。ありがと。元気出た。わーい、」

僕は少しづつ、ちゃんと話せるようになってるのかもしれない。

いや、そんなことは無いな、無茶振りすぎだ……

  _______________________________

寒い、それなのに変わりは無い。

「レイさん、ちょっと今日は帰.....」

「早すぎ!!!早く行くんじゃない!もうちょっと楽しもう!!」

レイさんは、言葉をかぶせ、少し大きな声で僕に【コトバ】で話しかけた。

「で、でも寒i……」

「じゃあだよ!!家に行かせて!!!」

……これはやばい、申し訳ないが、逃げよう。

「ッッ!?」

いつの間にか、僕はレイさんとハグしていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【コトバ】にできないボクと素直に【コトバ】にしてくれたキミ。 @utusan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ