27ポメ
吾輩はポメである。名前はテンだ。
今日、吾輩は拘束されている。抱きしめられて動けないのだ。
「テンちゃーん」
お嬢さんが吾輩の毛皮を吸い込む。
嗚呼、何か精気が吸われていく。お嬢さんは魔女か何かなのだろうか。
「スゥー」
嗚呼、なぜそんなことを?
吾輩は逃げられない。動けないからだ。
偉大なるハスキーだった頃は動けないわけでなく動かなかっただけだった。
この矮小な体では大人しくてえらいねと褒められることもなく拘束されているだけだ。
なんたることだ。吾輩は捕まって吸われているのではなく、大人しくして差し上げているのだということが理解してもらえないのだ。
やっとやっとすぴっつにまで育ったこの体。
まだまだ小型犬である。
はやくはやく さもえど になり、吾輩の尊厳を取り戻したいものだ。
「スゥー」
吾輩は引き続き吸われる。
嗚呼、吾輩が尊大に構えられる未来は来るのか。
吾輩はポメである。名前はテンだ。
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