止まれ。
日曜の昼間。
仕事は休みなのでただのらりくらりと散歩をしていた。
ふと、何気なくいつもとは違う道を歩いてみることにした。
普段は通らないような道だが、それでも住宅街だから同じような景色が続くものだと思っていたのだが……。
「なんだこれ?」
目の前に広がっている光景は見慣れた風景とは程遠いものだった。
家々が並んでいるはずの場所にはぽっかりと穴が空いたように何もない更地が広がっていたのだ。
まるでそこだけ空間をくり抜いたかのように何もない。
「変なの。」
そう呟いて、立ち去ろうとしたその時だった。
『ガルルル…。』
化け物だ。穴から出てきたその化け物は
人のような姿をしているが、頭から角のようなものが生えていて全身毛むくじゃらだった。
その目は赤く染まり、口元には鋭い牙が見えている。
そいつは明らかにこちらに向かって威嚇していた。
『ガルルァ!!』
「うわっ!」
飛びかかってきたその瞬間、化け物は止まった。
「な、なんなんだ…。」
化け物はまるで見えない壁の前にいるかのように立ち止まっている。
ふと辺りを見渡すと看板が目に入った。
何の変哲もない一時停止の道路標識。
『止まれ。』
その下には、
『アリヌンティウスも止まれ。』
と書かれていた。
「ハハ…。もうわけわからん。」
俺は肩を下ろした。
だが、覚えておくべきだったんだ。
一時停止の道路標識の意味詳細を。
きっかり五秒間立ち止まった化け物に、俺は喰われて死んだ。
AIと俺が書く短編集。(更新中) モトセ。 @ayunosioyakioisii
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。AIと俺が書く短編集。(更新中)の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます