暴走した言獣である怪謬との闘いを描くヒロイックなSF小説。
言獣同士の戦いから物語は始まり、冒頭からいきなり「意味還流波」とか「意味インフレーション」「デカルト級思索飛行艦」といった仰々しい用語が並び、ハッタリ充分。これだけでグッと引き込まれる。
戦記物かと思いきや、本作の主人公は言獣を操り怪謬と戦う言獣接続者となった救衆秋生という中学生。
言獣接続者でありながらも己の言獣を巨大化させることができず、戦う意味や人生の在り方に悩む少年の物語であり、読んでみるとかなりエンタメ度の高い作品です。
弱気な主人公の秋生だけでなく、彼のパートナー言獣であるウェル、正義に燃える熱血漢の大岩戸、どこか陰のある大企業の令嬢の帝山と、魅力満載の登場人物たちが物語を賑やかす、心に染み入る、素晴らしい物語です。