後編
悩んでいるふりをやめて、出した答え。
それに後悔するかしないかはまた別の問題だとも叔父は言っていた。それがもしも真っ当な思考ができない頭で出した答えであれば、悲惨な結果には後悔しかないのだと私は思う。
透歌が私の唇を奪ったのは、十一月の二週目、テスト明けの金曜日のことだった。付き合い始めてから一カ月足らず。最初の日に頬にキスしてきた彼女にしては、慎重に私との距離を詰めたと言うべきか。
テストが終わって、その日はすぐに放課後になって私たち二人は帰路についていた。秋どころか冬みたいな寒い風の吹く道をいっしょに歩いていると、不意に彼女が黙り込んだ。私としてはべつにそのままでもよかったが「ねぇ、早希。『どうして黙っているの?』とか『何考えているの?』って聞いてくれないの」と彼女が眉をひそめて訊ねてきた。質問というより要求。
無視するか否かで迷い、それで無視することに決めたはいいが、彼女が足を止めてしまったものだから、そのまま置き去りにして進むのは気が引けた。しかたなしに「なに、どうしたの。そんなにテストがうまくいかなかったわけ」と私も足を止めて言った。彼女がいじる前髪は、二学期の最初と比べて伸びている。伸ばしているんだろうか。私はこの頃になってその顔、時折、簡単なメイクをしてくるそれと真正面から向かい合って話すのに慣れ始めたというのに。隠さないでよって思う。ヘアピンのひとつでもあげたら喜んで使うかな。それとも嫌がってつけない? どっちを選ぶのだろう。
「当ててみて、はダメだから」
止まって話を聞いてあげる態度を作ったのに、なかなか話し始めない彼女に、私はそう付け加える。
彼女がテストの件で頭を悩ませていないとは確信していた。テストの手ごたえについて「まぁまぁ」と笑っていたから。付き合い始めて――――友達として、を通り越して恋人としてからだとは思っていなかったが――――知ったことには、彼女の成績はクラス平均よりちょっと上というだけで、優秀とは言えないようである。まだ一年生の二学期だから、今後どう変動するかは不明だが、勉学にさほど励んでいないのを知った。つまりは学校において「ガリ勉眼鏡」の気配は一切ないのである。家では眼鏡をかけているそうだけれど。
「焦っているの、少しだけ」
透歌はまた歩きはじめる。まるで私を置いてけぼりにするかのように早足で。でも、ついてきてくれると信じての行動かもしれない。私はべつにそれに応えたかったのではないが、ほとんど反射的に彼女の隣を、同じスピードで歩きだす。
「何に焦っているの」
「どうでもいい、って感じで訊かないでよ。義務感丸出しにしないで」
「なにそれ、さっきと言っていること違う」
「違わない。早希はさ、私のことをもっと好きになってくれてもよくない?」
「それが焦り?」
「…………まぁ」
昼下がりの澄み切った秋空、あたたかな陽光は透歌の頬が朱に染まるのを私のありのまま見せてくれる。風ばかりが冷たい。
恥ずかしいなら言わなきゃいいのに。なぜ打ち明けるほうを選択してしまったんだろう、この子は。思い留まることもできただろうに。
短い横断歩道、赤信号で私たちは足を止める。車は一つも横切らない。
「好きかどうかは別として、の話になるんだけど」
私がそう口にすると赤面してからまた黙りこくった彼女が私の横顔をうかがってくるのがわかる。私は信号に視線を、そして意識を向けたまま続ける。
「透歌、綺麗になったよね。二学期が始まった頃から、さらに」
「……本当?」
「私はそう思うし、他の人だってそう思っているんじゃない?」
「テキトーなこと言っていない? 本当に?」
「やっぱ、あれかな」
「あれって?」
信号が青に変わる。私は進む。透歌もワンテンポ遅れて、足を踏み出している。私は言うか悩んで、でも彼女がそうしたように言ってしまうことを選択する。
「恋する女の子って綺麗になるものでしょ」
また沈黙。それから、噴飯する彼女。
ちらりと彼女を見やると案の定、「早希って、急に乙女っぽい、っていうか、なんかそういうの偶に言い出すよね」と顔を綻ばせている。
「こういうのは嫌い?」
「ううん、好き。…………大好き」
私はその先は言わなかった。綺麗になったと感じている。そしてそれを汚したく思っているなんて。ひょっとしなくても彼女の側にもまだ言い切っていないことがあるかもしれない。そんなふうに考えていると、またしても彼女が歩みを止めやがった。信号を渡ってからはゆったりとした歩調に戻っていたのに、そのまま駅へと到着して何事もなく別れて、また明日だと思っていたのに。
「今度はなに」
私は訊く。また髪、いじっている。しかも俯かないでよ。
表情、わかんないでしょ。
「テスト終わったし、ご褒美がほしい」
「は? だったら私にもちょうだいよ」
「早希……ちょっと、うん、ちょっとだけ寄り道したい。ダメ?」
「いいわよ、それぐらい。顔上げなさいよ。また真っ赤にしてんの?」
「してないし」
ばっと顔を上げる透歌。今度は私が笑ってやる。
「してんじゃん」
「っ! い、いいからっ。こっち、ほら」
狭い路地に誘う透歌についていく。辺りを見回す彼女の様子から察するに、初めて通る道。通り過ぎることはないのかも。ただ、ふたりになりたかっただけ。人目を避けたかっただけ。予感があった。彼女曰く、乙女っぽい私のそれらしい予感が。
「あのね、えっと、こんなところで雰囲気ないけれど」
「カツアゲ?」
「そんなわけないでしょ」
冷ややかなトーン、でも顔をまだ羞恥と照れで染めたまま透歌が睨んでくる。
がらんとした駐車場のフェンスに隣り合って立つ。道が変わって、風の当たらない場所になると、この時間帯はまだ確かに秋だった。冬ではなく。
透歌が私のブレザーの袖を握る。いっそ手でも握ってくれれば、より温かい気がする。そっと触れるように握っているから、姿勢を少し変えただけで離れてしまいそうだった。だから、私はじっとして、彼女の言葉を待つ。
「キスしていい? 私はしたい。早希は嫌?」
「いちいち聞くんだ」
「だって」
「すまし顔はもうやめたの? 少し前は主導権握ろうって必死だったじゃん」
「焦っているから」
不機嫌そうな声。友達だった口の悪い子が特定の男の子を前に出す甘ったるい子の対極。もっと口の悪い子がしつこい男の子相手に出す声とも違う。
「透歌ってもしかして近々、転校する?」
「そうだったら、なんでも許してくれる?」
「答えなさいよ。誤魔化すところじゃない」
「しないよ、転校なんて。でも、もう一カ月でしょ、付き合って」
「まだ一カ月」
「奥手だよね、早希は」
「前提から見直すべき。私はべつに透歌のことを……」
「まだ好きになってくれていない。わかっている。……もういちいち聞かないよ。好きにする。私の好きにする」
そう言って、やっと彼女の手は袖から私の手に移る。
絡めてくる指。力任せに解いで突き放したらどんな顔を見せてくれるだろう、どんな声をあげてくれるだろう、そんな思考は一瞬、よぎるだけよぎって消え去っていく。彼女が力をこめて私をその身に寄せて、キスをした。
強引に押し付けてきたものだから、歯が当たる。顎や首の角度なんてのは算段にない。なんだ、この子も経験ないんだなってそんなことを思ったときには互いの唇は離れていた。微妙ね、と素直な感想を言うのは憚った。だって、透歌の顔、面白い。自分からしておいて、やってしまったって顔している。後悔? そんなのしていたらタダじゃ済まさないから。
「ほら、力抜いてよ」
「え? えっ?」
私の言葉の意味を理解していないような反応。私は指を解く。さも名残惜しそうにする彼女。
「次はうまくしなさいよ」
目を丸くする彼女を置いて、駅への道に戻る私だったが背後に彼女の気配を感じないので振り向いた。突っ立ってる。なんて顔してぼんやりしているのよ、あの子。
「風邪引いても知らないから」
届いたかわからない。でもとりあえず言ってみた。
すると駆けてくる彼女。そのまま抱き着きそうな勢いだったので、慌てて私はまた彼女に背を向け歩く。ほどなくして彼女が隣にきて「絶対、振り向かせるから」と健気に言う。悪い気はしなかった。
叔父は亡くなる前に「早希が正しいよ」と私に遺した。その遺言は今のところ、他の誰にも明かしていない。私は正しくないよと返さなかった。
十二月になると、透歌がそわそわした素振りを見せることが多くなっていた。しかしそれは私も同じだ。あのキスした日から二週間の間に、彼女曰くデートを二回して、そのどちらともで深いキスをいちおうは交わして、だからといって、それに絆されたってわけではない。
うん、違う。そうじゃない。そんな、乙女チックな心情ではなく。
綺麗だから汚したい。
最初に感じた時は綺麗「なのに」汚したいだったのが、この頃は逆接ではなく因果となっている。そう、決めてしまっている。彼女が綺麗だから。私の前で無防備にもその無垢な部分を曝け出すから。どんなに気取ってみせても、彼女が私と同い年の女の子で、容易く傷つけてしまえる存在なのだと、そんなことをふと意識してしまうことが多くなっていた。
物理的にも、精神的にも。彼女を痛めつけたい衝動。そう定義してしまえたら、かえって楽だったけれど、現実はより複雑だ。悲痛な顔を見たいのではない、苦悶の声を聞きたいのではない。彼女に傷痕をつけたいんじゃないのだ。
そんな形をとっても彼女は汚せない。
なんだろう。より本質的に、永吉透歌を損なわせたい欲求はどこからきている?
「早希、ここんとこ難しい顔しているね」
すっかり寒空になった帰り道に透歌と駅前のコーヒーショップに寄った。私とお揃いのマフラーを外しながら彼女が言う。ウールで暖色系のチェック柄。無地のだと他の子たちと被りやすいからと彼女が言っていたのを思い出す。どちらにしたって量産品なのだから同じものをしている人には出くわすだろうに。なんだったら私は無地の白いやつがよかった。お店にあったそれはカシミヤ製で値段が張ったから我慢したけれど。
「そういう透歌は何だか落ち着かない。雪が降るのを待つ子供みたい」
「小さい頃の早希がそうだったの?」
「否定はしない」
「ふうん。もっと可愛いエピソード聞かせて。嬉しかったクリスマスプレゼン」
トと言い切る前に「あっ」と顔をした透歌だった。思いがけずクリスマスの話をしてしまったとそこに書いてある。
「キャラメルマキアートは失敗だったかな。甘すぎる」
私は話題を逸らす。露骨すぎたせいか、透歌が溜息をついて「悩んでいるのよ」とあたかも観念したように口にした。
「クリスマスのことで?」
「うん。あ、ちがうの。早希との甘々なデートプランを練っているとかじゃなくて。そうしたかったんだけれど。……ちょうど終業式の日がイブでしょ?」
肯く私にまたひとつ大きな溜息をつく彼女。
「その日から年末、年始にかけて旅行に行こうって両親が話していてさ。もとを辿ると、中学三年生の私が来年は、つまり今年は勉強のことは一旦忘れてぱーっと日頃の疲れを癒したいって話したのが悪い」
「いい話じゃない。悪くなんてない」
透歌がミルクとホイップクリームの足されたモカを啜る。
「早希がそう言うのが一番悪い。いい? クリスマスって恋人にとって重要なイベントよ。だから……ね?」
「特別なことをしたいの?」
私の返事に、きょとんとした彼女は俯くと、白に覆われ白に混ざったモカをさらにかき混ぜ、今度は小さく溜息をついた。
「意識しているの、私だけなのね。私は……こんなにも好きなのに」
その日は、それから何も会話せずに別れた。
私は家で彼女の言葉と心痛な面持ちを思い出して、ようやく胸が痛んだ。疚しく感じた。彼女の想いに応じられないことが。
キスしているときは、悪くないなって、本心でそう思っている。それとなく伝えもした。無邪気に嬉しがった彼女が、私からのキスをねだって、それにはつい怯んでしまい、できなかった。
好きかもしれない。
でも、とすぐ後に続く。
でも私は綺麗な彼女を汚したい。それも愛なの?
二学期の終業式の日。
透歌は私を空き教室まで呼びだした。同じ教室にいるふたり、普段はいっしょに帰っているクラスメイト、そして恋人。それにもかかわらず、私は朝、登校してきたときに下足箱の中に短い呼び出しの手紙を発見したのだ。
彼女の字は何度か見たから間違いない。誰かが彼女の名を騙り、筆跡をまねてまで、私を呼び出した可能性は極めて低い。なぜならそのまま教室へと行くと、いつもは私より遅い彼女が既にそこにいて私に挨拶せずにただ、数秒、顔を見てきたのだから。怒ったように、あるいは哀しげに。
「もう、別れよっか」
放課後、空き教室で果たして透歌がそう言った。
「それでいいの?」
「まず、そんな言葉が出てくるのが、何よりの証拠よ」
刺々しく。しかし彼女は窓辺に立ち、こちらを見ていない。それにカーテンは閉まっていて、透かして外を眺めるのも叶わない。
「最後になるんだったら、話しておきたいことがある。聞いてくれる?」
意外、という顔をした。でも喜んでいる様子はない。警戒している。あたかも、最後に罵詈雑言でも浴びせられるのではないかと構えているような。あの時、私があの口の悪い、あばずれどもに縁を切られた時はもしかするとこんな目をしていたんだろうか。強がっていても、感じられる弱さ。
「なに?」
「一昨日が命日だったんだ」
「誰のよ」
「母方の叔父。二年前に死んだ」
「ねぇ、早希。まさかその叔父さんに恋していて、それは今もそうで、それで私の想いに応えられないって、そんなこと言わないよね、そんなのってないよね」
彼女が「痛っ」と言って口元を抑える。動揺しすぎて舌を噛んでしまったらしかった。私は彼女に近づく。数歩の距離は、ほんの半歩の距離になる。付き合い始めてからはいつもの距離。私が拒まなかった距離感。
「そうじゃない。叔父は、痴漢したの」
「えっ」
今度は意外どころか仰天、そして私が正気かどうかをうかがう彼女だった。
私は構わず続ける。
「示談で済んだみたいだけれどね。そのことが発覚、つまり私たち親族が知るところとなったのは親戚の結婚式の披露宴だった。身内だけの小ぢんまりとした場だったけれど。私が思い描いていたものとは違った。それでもまさか、お酒に酔った叔父がそんなことを告白するとは思わなかったな」
透歌の唇が震え、そこから発される声も揺れる。
「なんで今、そんなことを言うの」
「私さ、聞かされた時言ったんだよね。叔父さんに直接さ。『キモっ、死ねばいいのに』って。場は一段と凍った。誰も去っていく叔父を見送りはしなかった」
「じゃあ、も、もしかして死んだのって……」
「うん、自殺。驚いちゃった」
私はふふふと笑ってみせた。やっぱり似合わない。
そんな人ではなかった。そんなことをする人とは思ってもみなかった。
叔父はいわゆる独身貴族であったが、姉である私の母と仲が良く、親戚の集まりではいつも母から「いい人」を見つけるように催促されていた。きちんとした大学の真っ当な薬学部を卒業していて、仕事だってれっきとした製薬会社の研究職だったそうで、独りでわりと奔放に、幸せに過ごしていた。仕事ぶりも独りぶりも、楽しげに自慢げに話していたけれど、母の前では頭が上がらず、一時期は勉強を私に教えてくれてもいて……。
そんな彼が高校生の女の子に痴漢をした。そう明かした。
なんで言うんだ。祝いの席で。気持ち悪かった。吐き気がした。
「ねぇ、透歌。どう思う? 私があんなふうに言わなかったら、死ななかったのかな。大人の男の人が絶望した顔なんて目にしたの初めてだった。私が……叔父さんを殺したの?」
二年間、誰にも問わずにいたことを、今、恋人同士でなくなる寸前の女の子に言う。客観的に捉えてみると、どうかしている。あの日からなのか、それともそれよりも前からなのか、私はどうかしているんだ。
透歌は何か言いたげな瞳で、それを潤ませさえし私に視線を向けているのに、目を逸らさずにいてくれるのに何も言葉にできていなかった。
私は告白する。
「私、あんたと付き合い始めてから感じていることがある。どんどん綺麗になっていくあんたを、私にありのままを晒す汚れていないあんたを、とことん汚したくなっている。叔父が性欲に負けて、お酒に負けて、生きるか死ぬかの苦悩に負けたように、私はこの勝負に負けるのかもしれない。だから、よかった。あんたと別れることになって本当によかった!」
思わず叫んだ私を彼女が抱きしめる。別れを告げたはずなのに抱きしめやがった。力強く。これまでで一番、恥じらいも躊躇いもなく。私の体が、心が軋む。
ぐすっと、涙ぐむ音がする。それが彼女だけではなく私だと気づいて言葉を紡ぐ。
「離しなよ。もう終わりでしょ」
「い、嫌っ、別れたくない。やっと、早希に触れたのに」
「キスだってしたじゃない。それじゃ足りないの?」
「足りなかった、それは心じゃないから」
「なにそれ」
「よく聞いて。早希は馬鹿、大馬鹿だよ! 自分が悪い子だって、そう思って、思いたくて、だから一学期はあんなクソビッチどもとつるんでいたんだ。なにやってんの、なんで私じゃダメなの。今からでもいいじゃん、私を見てよ、私といっしょにいればいいじゃん。好きなだけ汚しなよ、早希自身じゃなくて私を!」
「……知ったようなこと言わないで」
強く拒めなかった。
目から鱗が落ちた。元・ガリ勉強眼鏡ちゃんは役立った。
そっか、私があんな腐ったやつらと友達やっていたのは、叔父殺しを証明したかったからか。罪を欲しかったからか。最期に叔父さんが自宅に電話をかけてきて留守番中をしていた私に言った「正しい」が呪いとなっていた。そこまでは理解していたつもりだったのに。
私が汚したかったのは、私自身か。
誰にも咎を責められない、叔父の死の引き金となった言葉を投げかけた私自身が赦せなかったからなのか。
罪知らぬ彼女を憎くなって、その好きを受け入れるのを拒んでいた。心までは、ともがいていた。抗っていても、それでも彼女に自分から別れを切り出さなかった。
答えは出ている。まだうまくはまとまらないだけ。
ただ一つ、悩みを抜け出したことがあった。
「変わるかもしれない」
「な、なにが」
「これまでは透歌からしかキスしてこなかったでしょ」
「う、うん」
「私からしたら何か変わるかもしれない」
「……は?」
愛のあるキスで呪いを解くなんて、我ながら乙女チック。でもそれをこの子が好きだと言ってくれるなら、悪くない。それでいい。それだけで。
「透歌、目をつぶって。私の愛を確かめて」
「早めのクリスマスプレゼントってこと?」
ぎこちなくとも、ふふふと笑う彼女が綺麗で、愛おしかった。
頭にずっとかかっていた靄が晴れ、クリアになった世界で私は想いを彼女と交わす。何度も。
しばらくして、落ち着いたところでクリスマスについて思い出す。
思い切って駄々をこねてみたら、どんな顔をしてくれるだろう。
私は悩む。でも答えはふたりで考えればいい。
二学期デビューした地味子に告白されたから付き合ってみた よなが @yonaga221001
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