第19話

 ――眩しい晴天の日だった。

「ねえ、律ちゃん律ちゃん」

「何?」

 車の中で別荘に運搬されながら、律は双子の妹である涼のテンションの高い声に苛まれた。

「ここの別荘地の秘密聞いちゃったんだ。もう捕まっちゃったらしいんだけど、昔殺人鬼がいたとかね、あと、霧の深い日にね、紫陽花の小道が出るんだって。そこを進むと湖があって、なんと湖の上でダンスを踊る二人の幽霊が現れるらしいよ!」

「見たいの?」

「律ちゃんがついてきてくれるなら……」

「じゃあ無理だね。興味ない」

「えー怖いだけじゃないの」

 律は涼をじろりと睨んだ。

「そろそろ到着いたします」

「涼、準備して」

「はあい」

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湖の底から月を見上げて 蓮海弄花 @rwk

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