鈴の音が鳴る

もうすぐクリスマスがやって来る。

僕はこの夜が大嫌いだ。

毎年、何かを必要としているようでモヤモヤして気分が優れない。

その答えは否、分からない。



あぁ、もうクリスマスになる。

私はこの日が大嫌い。

この日だけは何も信じることが出来なくなるから。

それに、信じたいものがどこかにあるはずだと心が感じている。

それが何なのかは分からない。





そんな大嫌いなクリスマスがまたやってきた。

二人は今もなお、あの日のことを忘れたことにしている/信じていない。

僕はケーキ屋さんへ、私は雑貨店へ行っていた。

その帰り、無意識に灯りで輝くツリーの元へ足が向いていた。

その時その瞬間まで忘れていた/信じていなかった僕/私は君に出会った。


あの頃に戻って。


この偶然は神様が仕組んだいたずらなのか、神様がくれた奇跡なのか。

もうどちらでもいい。



だってもう、叶ったのだから。







僕らの誓いは……






“またいつか会うこと”





僕らは出会えた。

長年の時を超えて。


大嫌いだったはずのクリスマス。

今は、大好きな奇跡のクリスマスに変わった。

あの日の誓いは決して、ただの子供同士のやり取りだけではなかった。

忘れたことにした僕が必要としていたのは君。

信じない私が信じたいものは貴方との再会。


僕/私は君/貴方とまた会えて良かった。


僕らは完全には忘れる/信じないことが出来なかったね。

ずっと心の奥底だけは正直だった。

会いたいがために抱いた痛みだった、と今なら分かる。


もう離れない。

今まで離れていた分、幸せな時間を取り戻すんだ。

たったの0.000……001%の可能性しかない奇跡だとしても心のどこかで少しでも信じていれば願いは叶う。


『またいつか会おう』

『また会えたね』


クリスマスの夜、灯りで輝くツリーの下で叶えた奇跡。

きっと今もどこかで奇跡が起こっているのだろう。

貴方にもきっと奇跡が起こるはず。




——そう。

信じる心さえあれば。

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特別な夜を 星月 仄夜 @suiheki

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