第八章、勇気、河上美央

 手紙を長野くんの靴箱に入れる。本人だけが気づけるように、絶妙な位置に調整する。よし、これでいいや。思わず手紙に微笑んでしまう。


 数日前、海野くんからメッセージが来た。海野くんは明日香ちゃん本人に、付き合っていないことを確認してくれたらしい。すごい勇気だ。


 同時に私は、これ以上恋を長引かせるのは無意味だと悟った。恋が実るのも、散るのも今しかない。だからこの手紙で、彼を今日体育館裏に呼び出し、気持ちを伝える。


 本当はすごく怖い。でも、海野くんは応援してくれた。だからやれる気がする。全力を尽くそう。私は意気込み、その場を後にした。


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