年を越えて
年が変わる。
日付が変わる瞬間に、出来るだけ高くジャンプする。冷静に考えたらくだらないこととは百も承知だったが、
年末最後の日は、三人で過ごした。毎年そうなのだが、過ごす場所はルーレットで決められ、今年は
「これ何のやつ?」
「今年流行ったじゃないですか」
「あー、『
「なんでそこだけ知ってるんですか」
そんなことを話していると、頃合いを見て
頬張りながら、今年の思い出を語る三人。特に盛り上がったのは、横須賀への旅。それから、
「今度はどこ行く気なの?」
「うーん。レバノンとか?」
「……それ、本当にやっちゃいそうで怖いんだけど」
「パスポートも更新したしね!!」
そのうち、
「連れ戻してくれん? 俺の言うことは、聞かぁせんだけぇ。
「
「頼むけぇ……」
まっ、しゃあない。私らも初詣行きますか。そんなノリで、コートを羽織る
「じゃ、行ってきます」
*****
日付が変わる頃。最寄りの神社に、
二人の
二人の
二人の
それぞれ、お互いによく知った人物。
三人はいつかの三人だった。
「 「Hey, Demon」 「よっ、ばばぁ」 」
「 「………………」 「……分かってるよ」 」
「 「最高の先輩ね」 「自慢の先輩です」 」
六人の手が上がる。そしてすれ違いざまに、お互いに手を重ね合う音だけが、空にこだました。もう大丈夫。逢えてよかった。
*****
神の座を前にして、
「今年が来ませんようにッ!!」
「なにその斬新な願い事? もう来てるんだけど」
「はぁ、つっかえ」
「理不尽すぎる」
だってぇ、と
「今年は何もできん。どこも行けん」
「……」
「……」
またこいつは、
「……キヒッ」
行こう、夜明けの航海者。
生命と叡智を乗せて。
(完)
昭和四十一年、東京より。 げこげこ天秤 @libra496
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