旅の扉
ピチャ
旅の扉
人との出会いは一期一会。世界との出会いも一期一会。
目の前の扉をゆっくり閉める。この”世界”と私は交わらない。
人生の旅路には、たくさんの扉がある。その扉は、いつも開いているわけじゃない。人生のうち一時期だけこちらを向いて、一時期だけ扉を開く。それがどうしてそこにあるのかは知らない。ただそれらは、何も言わず、ふと見ると開いている。違う時期には、また違う扉が。それを自分の手で閉じることもあるし、放っておいて閉じるのを待つこともある。扉は突然現れる、が、多くはない。
旅の扉だ。
とりあえずそういうことにしておく。
その世界に入るも自由、扉を閉めてしまうも自由。しかしずっと扉を閉めてばかりいると、どんな世界にも入らずに自分だけの人生を過ごすことになる。
永遠の探索者。それもいい。それもいいが・・・。
やはりどこかの世界の何者かになる、それが魅力的で、扉が開いていると中を覗いてしまう。きっとどの世界に入っても、その世界で苦しいことがあるのだろう。でもその世界に入らないことには、それも体感できない。
安らかな世界を求めていても、そんなものに出会うとは限らない。
困るのは、私が洞窟を隅々まで探索したい人間であることだ。
どの世界のことも、知りたくなる。
深く知るには潜らないといけない。しかし、潜らずにそれを知りたい。
なぜなら、私はほとんど泳げないからだ。溺れるに決まっている。
と言って、シュノーケリングも拒んでいる。
ちなみに浮き輪だと酔う。不便すぎる。
何者かになるのは、恐ろしいことだ。
その先にはもう扉がないかもしれないから。戻れないかもしれないから。
旅の扉 ピチャ @yuhanagiya
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