それから一年後くらいに青葉は幹さんと結婚をした。(それは本当に突然の結婚だった)

 そのことを緑葉が知ったのは、結婚式の前日(あ、私、相葉さんと結婚することにしたから、という姉の言葉からだった)だった。


 花が咲く季節。

 時期。

 それが今、なのかな?


 青葉お姉ちゃんの結婚式から二年後


 緑葉の誕生日、または緑葉の結婚式当日 


「緑葉いる?」

 そんな明るい声がして、とんとんと部屋のドアがノックされた。

「いるよ、お姉ちゃん」

 緑葉がそういうと、ドアが開いて、そこから姉の青葉がその綺麗な顔だけを出して緑葉のことを見る。

「よかった。逃げないでちゃんといるね。えらいえらい」と青葉は言う。

「逃げたりしないよ。私はお姉ちゃんとは違うんだから」

 とふふっと笑って緑葉は言った。(お姉ちゃんの青葉は結婚式の当日になって、結婚式場から逃げ出そうとした。今では笑い話になっているけど、当時は本当にびっくりして、必死でお姉ちゃんをみんなで捕まえようとしたのだった)

 青葉はゆっくりと明るい部屋の中を歩いて緑葉のいるところまでやってくると真っ白な花嫁衣装を着ている緑葉を見ながら、「今日の緑葉、いつもよりもずっとずっと綺麗だね」と緑葉に言った。

「どうもありがとう。お姉ちゃん」

 と緑葉はにっこりと笑って青葉に言った。

「あのね、お姉ちゃん」

「なに? 緑葉?」青葉は言う。

「私、お姉ちゃんのこと大好き」と、ふふっと幸せそうな顔で笑って緑葉は言った。

(思わずお姉ちゃんの青葉が妹の緑葉の前で珍しく大泣きしてしまったのは、それからすぐのことだった。大好きな妹へ。という手紙を結婚式の最後のほうで読んで泣かされて、すぐに仕返しされちゃったけど)


 君は、今どうしてる?


 緑葉の結婚 終わり

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

緑葉の結婚 雨世界 @amesekai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ