「ねえ、緑葉」ある休日の日にソファーの上で青葉が言った。

「なに? お姉ちゃん」

 絨毯の上でごろごろしながら緑葉がいう。

「今度の日曜日にさ、デートしようか? デート。二人だけで」

 となんだかとても嬉しそうに笑って青葉は言った。

「二人で?」緑葉はいう。

「そう。いいでしょ? 昔みたいにさ」

 ととても楽しそうな顔で青葉は言った。

「うーん。そうだな。まあ、別にいいけど」

 と(内心、とてもうきうきしながら)めんどくさそうに返事をして、緑葉は青葉お姉ちゃんと二人だけで久しぶりにデートをすることにした。


 そのデートは本当に楽しい時間だった。

 そのデートの最後に二人で夜景を見ているときに、青葉は緑葉に「この間は本当にごめんね」ととても珍しいことを言った。(緑葉が最初に自分が言葉を聞き間違ったのかと疑ったくらいだった)

「この間って、お見合いのこと?」

「そう。お見合いのこと」

 と緑葉を見てにっこりと笑って青葉はいう。

「そんなの別に気にしてないよ。私に迷惑をかけるのはいつものことじゃん。まあ、幹さんにはすっごく悪いことしちゃったなって、今でもそう思っているけど」と緑葉は言った。

「うん。そうだね。すごく悪いことしちゃった」と青葉は言った。


「ねえ、緑葉は今、好きな人とかいないの? 私に秘密でもう付き合ってる人でもいいけどさ」

 と青葉は言った。

「そんな人いないよ」と緑葉は言った。

「本当に?」

「本当だよ。お姉ちゃん」

 と(私はまだまだお姉ちゃん離れできていない子供だよ、お姉ちゃん、と思いながら、青葉お姉ちゃんに甘えるようにして、寄りかかりながら)緑葉は言った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る