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結局のところ、緑葉は幹さんに青葉お姉ちゃんのお話しかしなかった。
お見合いの最後の席で、幹さんに緑葉は「緑葉さんは本当に青葉さんのことが大好きなんですね」と言われて、緑葉はその真っ白な耳を真っ赤に染めた。
(それでも最後のほうは二人はとても楽な気持ちで会話ができるくらいの関係にはなった。緑葉はもし自分にお兄ちゃんがいたら、きっと幹さんみたいな人だったんだろうなって、そんな不思議な気持ちを感じた)
緑葉は幹さんとのお見合いをお断りした。
お見合いのあとで、やっぱり私には結婚なんてまだまだ先の話だったと緑葉はつくづく心の底からそう思った。(どうやら幹さんもお見合いの相手がお姉ちゃんから緑はに変わってからは、同じように思っていたらしい。緑葉はやっぱり幹さんから子供だと思われていたようだった)
「緑葉さん。青葉さんにあったら一言だけ伝えて欲しいことがあります」と幹さんは言った。
「はい。なんですか?」
と別れ際に緑葉はいう。
「僕は写真でしかあなたに出会っていませんけれど、私は確かにあなたのことが好きでした。愛していました。この出会いは私にとっては運命の出会いでした。でも青葉さんにとってはそうではなかったみたいですね。そのことが本当に残念です。できれば一度だけでも、写真ではない、本当のあなたと出会ってみたかったです」
じっと緑葉の目を見ながら幹さんは言った。
「わかりました。その言葉は絶対にあの意地悪なお姉ちゃんに伝えておきます」と緑葉は言った。
それで緑葉の人生で最初で最後の(もう二度とお見合いはしないと誓った)お見合いは終わった。(後日、約束の通りに幹さんの言葉を伝えると青葉は緑葉に「そうなんだ。わかった。じゃあ、お詫びもかねて、一度だけ相葉さんに会ってみるよ」とそっけない態度でそう言った。そのあとでお姉ちゃんが実際に幹さんとあったのかどうかは緑葉にはわからないことだった)
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