天気は晴れ。

 空には気持ちのいい青空が広がっていた。

「私の大好きな人のお話をしてもいいですか?」

 二人で池の鯉に餌をやって居るときに、緑葉は言った。(鯉に餌をあげることができると、仲人の親戚の叔母さんが二人に教えてくれたのだ)

「はい。もちろん」

 にっこりと笑って幹さんはいう。

「ありがとうございます。私の大好きな人とは、お姉ちゃんのことです」と緑葉は言う。

「お姉さん。青葉さんのことですね」幹さんは言う。

「はい。そうです。あの周りに迷惑ばかりをかけている自分勝手でわがままなお姉ちゃんのことです」

 とふふっと笑いながら緑葉は言った。

「お姉ちゃんはすごく自由で気ままな人なんです。いつも笑っていて、いつもきらきらと輝いていて、なんでもできて、いつも、昔の小さな子供のころから、立ち止まってばかりいる私の手をずっと引っ張って走り続けているような人なんです」

 緑葉はいう。

「青葉さんは写真の印象通りの人なんですね。きっと」とにっこりと笑って幹さんは言った。

 幹さんの見た青葉のお見合い写真は青葉が笑顔でピースサインをしている写真だった。そんなお見合い写真を幹さんは思い出しているのだろうと緑葉は思った。

「私はそんなお姉ちゃんのことが大好きです」

 立ち上がって(屈んで鯉に餌をあげていた)幹さんを見てにっこりと笑って緑葉は言った。

 そんな緑葉の素朴な笑顔を見て、思わず幹さんはその顔を少しだけ赤く染めた。

 それから緑葉は自分がどれだけお姉ちゃんの青葉に憧れているのかのお話を幹さんにした。

 幹さんはそんな緑葉のお話をずっと笑顔で聞いてくれていた。

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