吾輩は小説である。

米太郎

吾輩は小説である。

 ‌吾輩は小説である。題名はまだ無い。

 ‌どんなテーマで産み出されたのか検討もつかぬ。


 ‌深夜0時、真っ暗な部屋の中で書き始められたことだけは覚えている。‌

 ‌吾輩はそこで初めて人間のというものを見た。



 ‌‌しかもあとで聞くと、それは人間の中で1番孤独で、頑張り屋で、夢想家なのだそうだ。

 ‌小説家と言うらしい。


 小説家は自分の頭の中に入り込み、そこで見た景色を使って吾輩を色鮮やかに描いてくれるそうだ。


 産まれたばかりの吾輩はまだ何の考えも無かったが、小説家の掌にのせられてスーっと持ち上げられた時、ふわふわとした感じがあったばかりである。


 ‌掌の上で少し落ち着いて小説家の顔を見たのが、いわゆる人間というものの見始めであろう。


 ‌吾輩のことを優しくなで、時には激しく毛をむしりながら、立派に育て上げてくれるそうだ。

 ‌それはそれは、完成が楽しみである。


 先程聞いた話だが、‌どうやら書き上がった吾輩をカクヨムコンテスト8というものに出すらしい。

 ‌Web小説のお祭りだそうだ。


 ‌そこには、綺麗に育った吾輩達が多く集まると言うから、吾輩は今から楽しみで夜も眠れない。

 ‌吾輩のご主人様も躍起になって、深夜に吾輩をコネくりまわしてくれる。

 ‌深夜に頑張りすぎず、健康には気をつけて貰いたいものじゃ。




 ‌色々な思いで育てられた小説達。

 ‌その一つ一つが、大事に育てられた吾輩達なのだな。


 カクヨムコンテスト8‌、開催が楽しみじゃ。

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