魔法の設定とか
火や雷、風は物理現象で、水や土は物体だ。ファンタジー系の創作では、これらを魔法の基本的な属性として扱うことが多い。
現実には火は水に弱いということはなく、火は酸素による物質の酸化現象にであるため、水によって燃焼のための材料となる酸素が送られなくなったり、水によって発火点が下がるなどがその理由である。
マッチの棒に火をつけて、それを瓶に完全に閉じ込めるとすぐに酸素が足りなくなって消えるように、火は水に弱いのではなく、酸素がなければ火を維持できないのである。
しかし、魔法という概念に火を扱わないようにするというのは逃げだ。
同時に、火は水に弱いという理屈だけで現実の火を無視するのも個人的には面白くない。
結局のところ、火と似て非なる何かという設定を用いることでしか、そうした違和感を消すことはできない。
フィクションでは人間の耐久性というのは無視されがちであるが、これをしてしまうと逆になんなら死ぬのかという疑問がわいてくる。
火や雷の魔法をまともに受けたのに死ななかったり、平気で動くというのは人間という範疇に絶対おさまらない。
私にとってそういったことは無視できないほど矛盾をはらんだ描写に思えるのだ。
現実の兵器も当たり所が悪ければ死ぬが、当たらない限りは死なないし、結局のところ避ける以外の選択肢(それが出来れば苦労はしないだろうが)がない。
それでもファンタジー作品のキャラクターは致死性の攻撃を喰らっても死なずになぜか耐えてしまうのがお約束だ。
正直、HPのような概念が許されるのはゲームの中の世界だけだろうと私は思う。
ただまぁ、魔法を一撃でも喰らえば死に直結させるというのはやりすぎなきもするのである。
つまり、何かしらの緩和措置をとるべきなのだ。
そこで必要となるのは魔法とは何かということである。
結局のところ魔法とは架空の概念に過ぎない。
人間は呪文を詠唱して火を起こすことなどできなければ、何もないところに水を生み出すこともできない。
ただ、魔法は人々の想像に過ぎないから、創作では呪文を唱えれば火を起こすことが出来るのと。何もないところに水を生み出すのも物理法則を無視して成立させることが出来る。
睡眠時に見る夢で人々が空を飛べるように、想像上の世界ではそのようなことが出来るのが当たり前になっているのである。
そこに少々整合性を加えることで真実味を増す効果が得られるのである。
綿密に魔法の設定を決めてしまうのが野暮だと思う人がいるように、何かしらのつじつま合わせを求めてしまう人もいるのである。
私はその辻褄合わせを求める人間の一人だ。
現実の事象と噛み合わない点を擦り合わせることが出来ないから、魔法で起こした現象の結果をぼやかしてしまう。
だいたい火を燃やすマグマってなんだよって感じだ。
それはそれとして、魔法という概念を創作に組み込むための重要な設定を一つ思いついたので、ここにメモとして残しておこうと思う。
それは、魔法はいつか解けるものということである。
魔法で追った火傷はいつか治癒するし、魔法で生み出した土や水はそのうち無くなってしまう。
魔法で怪我を治すことが出来ても、いつか元に戻ってしまう。
ただし、魔法で千切れた四肢をつなげた場合、場合によっては魔法が解けても繋がることはあるだろうし、魔法で追った傷が魔法が解けても治らないことだってある。
解けてしまったら同じ魔法を掛けなおせばいいだけなのだ。
魔法で追った火傷を自己治癒によって治らないほどのものにできるのは相当の実力者だけだ。
ただし、魔法によって負った火傷を魔法によって治した場合、処置が速ければ早いほど完全に治ることが多い。
ただ、魔法によって死んでしまえば、魔法が解けたからと言って蘇ったりはしない。
魔法によって切断された四肢をそのままにしても治らないのと同じように。
メモ べっ紅飴 @nyaru_hotepu
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