第7話 エピローグ

男はあの日から姿を見せていない。

しかし、あの日から私の心は変わっていた。


始めはカフェを開けば、少しでも自分の気持ちが救われると思っていたのだ。でも、カフェを開いても満足感よりも空腹感がより強く感じ、あせりもあった。


今思えば、私は自分自身カフェでいつも癒されていたことや親友との思い出が多かったカフェでの時間を思いカフェを開いたのだろう。


でも本当に求めていたものは、自分が誰かに話しを聞いてもらいたかったし、人の暖かさを感じたかった。気がつかなかった自分を許してほしかった。許されたかった。


1人で生きるのは難しい。友がいなければなおさら。心の痛みを消すことなんてできるはずもない。


だが友達や信頼できる人はもちろん、

ただ知らない人でも手をさしだすことはできるし、痛みを少なくすることはできる。


私も知らない間にカフェに来る、知らない人を癒していたのだ。


看護師をしていた頃よりも傷ついた人の心に沿うのはきっと難しいが、助ける人は沢山いるし救ってほしいと思っている人も沢山いる。



まぼろしと呼ばれるこの夜カフェは、知らない人同士がお互いを癒す。そんな不思議なカフェ。

1人で過ごすけど、近くに人の暖かさを感じ、癒される。声を出すこともできるそんなカフェだ。


そんなカフェを今は開いてよかったし、続けていきたいと思っている。

今までとは違う明るい雰囲気をまとう私が、今1番カフェに癒されているのだろう。



都会のオアシスとして今日もオープンする。

濃くほろ苦いコーヒーと甘い甘いスイーツとの調和が合うように。。。

それでもカフェを出る時にはちょっぴり甘さが残るように。。。


心の苦味も薄くなればいい。。。


今日も甘い甘いスイーツを準備する。。。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

今日もカフェに来てくれてますか? hazuki @Ramu-cirumab

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ