第6話

男は私の話をきいてゆっくりと話しだす。


「お友達は喜んでいます。スイーツも美味しいと。『中学生の時に歳をとったら、カフェを一緒にしようと約束したこと守ってくれてありがとう。友達でいてくれてありがとう。これからも友達だよ』と言っている」


男は、スイーツの置いてある席を見つめていた。


私はとても驚いた。2人しか知り得ないことを話しだしたからだ。

それを聞いて胸が熱くなり、そしてついに声をだして泣いてしまった。親友と約束をしていたことを今思い出したのだ。


私の胸が締め付けられた。



それは中学生の時、進路について少しずつ学校からも言われ始めた頃だった。お互い成績はいい方だったが、まだまだ将来についてなど考えても考えても思いつかなかった。そんな時、親友が私に言った。


「歳をとったら一緒にカフェをしよう。私が料理を作るから、接客はお願いね」

あの時は全く将来を考えることができなかったことを伝えるのが恥ずかしくて、約束はしたものの実行するかどうかなど考えられず、そっけない返事をした。

親友は、いつものように可愛らしい顔でふんわり笑っていた。


今考えると私の性格を知り尽くしている親友は、私のこころ内を感じとっていたのだと思う。


男は、霊感が強く話ができたのだ。

私が心晴れない毎日をすごしているのを親友は心配しこの男をこの店に招きいれたのだ。


男に感謝を述べた。


それから朝まで男は話しを聞いてくれた。

なんだか親友も側にいるような気がして、暖かい気持ちになった。

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