少女のお城に閉じ籠って

少女のお城に閉じ籠って

私はある調査集団に属している学者である。数千年前、文明は崩壊した。残った人は皆酷い暮らしをしている。いくつかの国は残ったがどれも問題を抱え込んでいて周りに手を回すことなんてできない。


私たちはこの荒廃した世界で歴史の真実を知るため、昔の技術を知るため、つまりは知的好奇心のみを動機に活動する学者や冒険者の集まりだ。


ある日、私たちは地下に研究施設の跡地を見つけた。そこには過去の研究者の手記が残されていた。


”これに手を出してはいけない。永遠に放棄せよ”だとさ。そう言ってるくせに詳細な書類はすべて残されている。未来に託したんだろう。本心では諦めて切れてなかったんだ。そうでなきゃこんな世界で命より知識欲を優先するなんていうバカげたことなんてできない。



昔々、人の内面の奥深くに世界の本質そのものがあると言い出した変わり者がいて、運よく彼には才能があり、運よく彼には手を貸す者があり、運よく彼の言う通りそれは世界のルールを変える力があり、そして今目の前にある水槽に入ってるでかい脳みそができてしまった。


そこから遺伝子を抽出して生まれた生き物は成長すると一つだけ、どんな願いでも叶えることができる。なぜそんなことが分かったのかは知らない。私たちの目的はそれ含め謎を解明することだ。


「以上が大まかな概要だ新人諸君。私らはこの”生き物”のうち一つの個体の面倒を見る。外見は人間と全く変わらず人間と同じように成長するし知能も同程度。けど内臓含め中身は理解不能。怪我をしても再生能力が非常に強い。人並みに感情を持っている。少ないが対処法はいくつかある。不満を与えるだとか刺激を与えるだとかそういうマイナスな感情にさせてはいけない。ようは彼らが我々への復讐を叶えようとしたらやばいよなって話だ。」


ここのやつらは年齢性別関係なく自分の身体を大事にしないやつらが多い。だから口うるさく言わなきゃいけないと上に言われた。


私はこの中でそれなりの地位にいる。一つの個体を預かり成長過程の研究をすることになった。


さて、飼育ケースを外から見てみよう。12歳の少女だ。私は一年前に女性の同業者と入れ替わりで途中から面倒を見ることになった。ストレスを抱え込んでやられちまったそうだ。

私はここに来た時からこの生物に目をつけていた。この生物の体の中をぜひ見てみたい。資料を見ただけじゃ飽き足らない。


「どうもこんにちは、ジュリアちゃん。私だよ。」

飼育ケース内は一部屋分で広くも狭くもないようなもんで、おもちゃも壁もすべてシンプルに一色で染めてる。余計な情報を入れないためだ。

「サキさん。こんにちは。」

「何してたんだ?」

「積み木でね、サキさんを作ってたよ!」

「ほう、そうか。どうしてだい?」

「サキさん。いつも起きたら消えちゃうから、いつでも会えるようにって。」

「それは嬉しいね。ありがとう。でも大丈夫だ。私は食事の間に必ず一回は来てる。」

「うん。けど、もっとお話していたいなって。」

だるい。うざい。

「そうか。私もそうしたいが、なかなか難しくてね。」

ジュリアを膝の上に寝かせる。部屋への出入りは絶対に見られてはいけない。外という概念を知らないようにするためだ。



いつも通りすぐに寝た。12歳ってもっと大人っぽいと思うんだが。まあいい。安全に研究を進めるためだ。

「隊長、ジュリアは良い子ですし、ルールは守らなきゃいけないと教えれば諸々の面倒ごとは解決するんじゃないでしょうか。」

「それは私も思うんだけど上が厳しくてね。まあそうやって暴走する私らを制御するのが上の役目だし、縛られとくとするよ。」

「つまり、何か策があると。」

「あれを制御できるもんを作ればいいんだろ。私ならできるさ。機械の扱いを買われてここまで上り詰めたからね。それにここにある資材は驚くものばかりだ。」




___________________




間違えてしまっただろうか。私は今何をしているのだろう。

ジュリアに胸が膨らんできたと言われて、おっぱいを見ているんだが.....

直視してこなかったものだ。周りが男ばかりだからか私もそうなったのか?ありえるな。


実験対象に正面から向き合うのは良くない。しかし性的なきっかけでそうなるとは思ってなかった。


ロリの体、やべえ~!!!!!!!!!!!!!!!!

私、女でよかった~神様ありがとう。本当にありがとう。


「サキさん、一緒に食事することってできないですか?」

困ったもんだなあ。

「いいよ。」

「いつもサキさんの膝の上で寝て起きたらご飯が置いてあるんですけど、どこから出てくるんでしょうか。」

「さあな。私も知らない。」

部下共ちゃんと仕事してくれよ.....私ごとガスで眠らせてうまく乗り切れ....!!


あ、眠くなってきた。よくやった....



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「サキさん。ご飯が二人分出てきたってことは、用意してくれてる人は私たちのことを見てるってことですよね?」

「そうかもなー」

ジュリアは味がない栄養食を毎日食べてるのか。可哀想に。





厄介なことになってきた。ジュリアと一緒にいる時間がだんだん増えてきた。一日の半分以上は過ごしてる。一日中一緒にいるのも時間の問題だ。それに毎日ガスを使われると流石にしんどくなってくる。ジュリアは幼いが身体は人間より十分強いからなんともないだけで私は超人ではない。


「お願いだから食事の提供のやり方を変えてくれ。こっちは体が持たない。」

「それはあなたのせいでしょう。優しく接しすぎたのです。」

はあ、上層部は意見がぶつかると厄介になる。くそが。氏ね。

「一度に出す食料の数を増やせばいいだろ。」

「そうですね。そうしましょう。」

「一か月分だ。あの部屋スペース空きすぎだしそれくらいがいい。」

「そんなに入り浸って大丈夫なんですか?期限はもうそろそろです。あと一年で実行可能な時期に入ります。」

「一年耐えればいいんだろ。それくらいやって見せるさ。」



監視はもとから女性職員に任せてある。上層部は人権にやたらうるさいが私もあのケースの中に入ることになったので運がいい。そもそもあいつら人じゃないだろ。


「隊長、人でないとはいえ性的なことは決してしないように....私たちでは対処できなくなります。」

「同性同士だと無駄がないからいいだろ。誰に迷惑がかかるんだ?」

「冗談ではありません。隊長はどうかしてます。それに生殖面については一切不明なので....」

多少ジュリアの身体を触ってるだけだってのに...まったく。柔らかいしちょうどよく安心して抱ける骨(?)もあるしいいだろ。どうせ殺処分させるんだ。

「どうせ私らも過去の研究者みたいに反乱起こされて全部なくなるんだろ。だったら今のうち好きなようにすればいいだろ。」

「それは暴論です。」

「そうだね。私は賢いから知った上で言ってるよ。」

はーいらいらするわー。ジュリアちゃんのところにいくかー。




___________




「ジュリアちゃんおはよ~今日も可愛いね~ほら起きて歯磨きするよ~!!!」

「サキさん....朝からうるさいですよ....」


朝ってこんなにいいものだったっけ。いつ以来だろうか。一日の始まりを喜べるのは。


幸せってこういうことをいうのか。私には無縁だと思っていた。この子を一生、私の腕の中で安らかにさせたい....




「ジュリアちゃん、吸っていいよ。」

「はい.....サキさん....」

ここまで他人に触れるのは初めてなんだろうか。可愛い。緊張しなくていい。私がいるよ。


母親ってこんな気持ちなんだ。おっぱい吸わせるのいいかも.....


小さい。この手に収まりそうな、愛おしいもの。



_____________________





私は理性的でないことはすでに自覚済みだが厄介なことに対処法なんて考えたことがない。


まずいな.....大切にしたいと思ってしまった。矛盾している気持ち。片方を押し殺すにはでかくなりすぎた。


私はこの子をどうしたい?永遠に私の手の中にしたい。



そうだ。うまくいけばなんとかなる。そうでなければ私の人生諸共終わりにすればいい。何が私をそこまで追い込んだ?そこまでジュリアは私にとって大きい。大きすぎる。それは覆しようのない事実だ。それに基づき、当たり前の考えを積み重ねろ。所詮私一人の人生が、視点が消えるだけだ。


「ガスを出せ。その他準備をしとけ。意味はわかるよな。」

「隊長、いいんですね。あんなに仲良くしていたのに。」

「だから知りたいんだよ。私には自信がある。」

これまでやってこれたさ。私には才能がある。隙間時間のみで機材も部屋も造った。




「あとは私一人で。」

「勝手にやっていいんでしょうか。」

「いいから出てけよ。」


ベッドの上にジュリアが寝かされている。見た目は普通の少女同然だ。


身体検査は前日におこなった。既に敵にしてはいけない領域に達していた。彼らは見た目で区別できないが中身は年数が経つと確実に変わる。この年頃になると手に負えなくなる。その先は早い。個体による。だから危険だ。


”次”の段階に入ると超常的な力を扱いだす。そして体の一部を変形させることもできる。そこまで来るとどんな感じかすら全然分かってないようだ。


私は賭けに出る。すでに特別な器具で体をがっつり固定している。まずは腕からだ。ジュリアの身体にメスを入れた。中身は....うおおおおすげええええええええええ管のようなものが束になってる。骨と思われていた箇所は管の束からなっていて肉は飾り程度のようだ。足も同じ。人間に擬態しているかのようだ。


「痛い痛い痛い痛い痛いいいいいあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ


次に胴体。


「はあっはあっサキさんい"や"あ"ああ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"


これも中身は同じ。ここまでは資料で知っていたが実際に見ると違うな....血は一応採取して保存する。


ほとんどは管の束に覆われていて中身の臓器が見えないな。

こじ開けるしかないか。

「サキさん...何.....するの.....それって.....」

「これを使ってこじ開けるんだ。管の隙間に差し込んで文字通り開くんだよ。もしかしたら昨日の夕飯が入ってるかもよ。」

うお!!!ガパッと開いた。すげえ。


ただ中身は目新しいものはないな。がっかりだ。残りの喉と脳みそ以外は全部管の集まり、つまり飾りってことか?本体は脳かもしれない。


「サキさん....ごめんなさい.....ごめんなさい.....私なんでも言うこと聞くからあ!!!!!1お願いだからあああああああ!!!!!!助けてえ!!!!!!!!!!!痛いの!!!!!!!!!!!!!!!」


.....さて、次は喉と脳を一気に開けてみよう。


ああ....やっぱりだ....骨と思わしきものはすべて管の集合で喉も同じ。脳みそは囲まれてて見えないな。こじ開けるか。

にしても静かだ。脳みそはどうなってる。ジュリアの正体。ジュリアの中





???????????





一瞬で視界が霞んだ。爆発?吹っ飛んだ?


すぐに体勢を整える。きたか。近くにあるメスを手に取った。非常時の警報は既に鳴っている。煙の中で、ジュリアが立っているのが見える。既に表面はきれいに再生している。器具も一瞬で壊されてしまった。まだ想定内だ。


ガスの噴出が始まった。私はここまで.......




なわけないだろっ!!!!!!!ふははははははははははははははははは舐めんなよ私を!!!!!!!!!!!!


壁が変形し私は部屋の外に押し出された。想定内ってのはこういうことだ。仰向けになって職員に囲まれている。どうだ。これが私のやり方だ。


「中の状態はどうだ。」

部下たちはやれやれといった感じの者、慌てふためく者、動じないつまらん者と様々である。

「動きは見られません。鎮圧に成功しました。しかし途中で眠らせるなどもっとやり方はあったでしょう。」

「真正面から向き合わなきゃ時間の無駄遣いになるでしょ。」

「........そうですか....あなたのほうが人の皮を被ったバケモノのようですね。」

そんなんで皮肉を言ったつもりなのか?私は愚か者だから賭けにでただけだ。皮肉を言われるほどの者でもないさ。賢さと愚かさに相関関係はないよ。


それより問題はここからだ。まだ結果は出ていない。


「鎮圧できたならあの子をケースに戻すぞ。」

「隊長、いい加減にしてください。上がいつまでも好き勝手させるわけがないでしょう。それにすでに隊長の想定を超えています。」

「あーそうだよねそうそう。じゃあ手遅れにしてしまえばそんなこと考えなくていいよな。」

そう言って私は部屋への道を開いた。ジュリアが走って私に抱き着いてきた。おーよしよし。可愛いね。

「寒いだろ。私の上着を着とけ。」

「サキさん....何だったんですかさっきのは....」

「ジュリアちゃんのことを深く知りたかったんだ。ジュリアちゃんが私にとってのすべてだからね。」

「でも...すごく痛くて....怖かったです....」

「ごめんな。本当にごめん。どんな罰でも私は受け入れるよ。」

さて、私は選ばれし者なのか.....





「サキさんがまたいつもみたいに毎日優しくしてくれるなら、私大丈夫です....」


勝った。私は手に入れた。空気が変わった。ジュリアの周りの風が強くなっている。

「サキさん....私....サキさんと二人だけで過ごしたい。ずっと。」


「私もだ。ジュリア.....お互いのことだけ考えて、誰にも邪魔されずに....そうだ、それだ。そうしよう.....」


今更上が本気で対処しに来たがもう遅い。風圧で全員吹き飛ばされた。私の周り以外すべて破壊されつつある。


研究のことはもういい。私は次の段階に移る。いや、最終段階に。


私は最初から知っていた。この個体で最後まで到達することができた。目標達成。あとは忘れよう。



ジュリアの唇に触れた。懐かしい感触。やっと辿り着いた。私たちのお城が造られる。











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