第5話 悪役の俺、女子生徒の服を切り刻む

「じゃあ俺そろそろ学園に行くから」

「い、行ってらっしゃいませご主人様ニャン」


サナに見送られて俺は今日も一日悪役貴族として学園に向かう。


俺は悪いやつだから遅刻くらい常識だし、それを咎める者はいない。


お昼手前くらいに学園に着いたので教室に入る。


「今日は殿様出勤なのだな?」


フィオネが早速絡みにきた。

俺はお前にハゲにされたことを忘れていないぞ。


よくこの俺に話しかけられるものだ。


「お前は俺しか友達がいないのかよ?」

「そんなことはない。カインがいつもひとりで寂しそうだから来ているのだ」

「はぁ、他を当たってくれよ」


こいつと話すのは疲れるんだよ。

冗談通じないし。


「どこへいくつもりだ?」

「屋上が俺を待っている」


はぁ?みたいな顔をしているフィオネを見てから俺は今日も屋上を目指す。

授業中の屋上は平和だ。


なんせ俺しかいないのだから。


原作のカインはこんな堂々とサボっていなかったが、俺はカインを超える悪党を目指す男だ。

こうやって堂々とサボっちゃうのだが。


「さてと今日は何をしようかなぁ。もう寝るのも飽きたしなぁ、何か刺激が欲しいよな」


なんかイタズラしにいくか、そう思った俺は屋上から実技をやっている奴らが目に入った。

そのブルンブルンと揺れる女子生徒のおっぱいに目が釘付けになってしまう。


「ふへへへへへへへ。いい事思いついちゃったもんねーー」


ここから魔法を放ち女子生徒の服を切り刻む。


あくまでこれは女子生徒を傷付けずに服を破いて魔法の精度をあげる練習だ。

それ以上の意味は無い。


「ウィンドカッター」


俺は魔法、ウィンドカッターを使う。

それを女子生徒に向けて射出した。


「きゃーーーーーーー!!!!!!!!」


急に下着姿になった女子生徒からの悲鳴が聞こえた。


「おぉ……いいなぁ、この悲鳴」


俺はそう思いながらこの光景を堪能してから屋上を去ることにした。


今日のサボりはこれくらいにしておいてやろう。



「えぇ、次の実技演習は中止です」


俺は次の授業をちゃんと受けに来た。


その次の授業が実技だったのだが、俺がウィンドカッターで女子生徒の体操服をビリビリに引きちぎった件で今日は全ての実技演習が中止となった。


勿論誰がやったのかの特定はできていなかったが。


(ははは、面白いな。俺のせいで授業がめちゃくちゃになっている)


とか思っていたら、その時


「ガァァァァァァァァァ!!!!!!!!」


と突然モンスターのようなものの鳴き声が聞こえた俺は窓際によってみた。


クラスの中が騒がしくなっていた。

それもそうか、普段モンスターの鳴き声なんて聞こえないしな。


(何だこの鳴き声。学園にモンスターは入って来れないはずだが……)


そう思っていたら先生が指示を出し始めた。


「皆さんはこの場を離れないように!私が確認します」


そう言った時だった。


「ガァァァァァァ!!!!!」


と何かが鳴いて校庭を火の海に変えた。

そこに降りてきたのは


「何でドラゴンがこんなところにいるんだよ」


窓から校庭を見下ろしていたら、ドラゴンが校庭で好きに暴れて帰っていった。


「お、おい!なんだ今のドラゴンは!俺たちが実習してたらあれに殺されてたかもしれないってことだよな?!」


とクラスメイト達が騒いでいた。


「な、なぁ、そう言えばさっきの時間にあった女子生徒の体操服バラバラ事件なんだが、これを未来予知した誰かによる警告じゃなかったのか?」


と誰かが口にした。


「た、確かにそうかもな!バラバラ事件の後にこんなこと都合が良すぎる!」

「ぜってーそうだって!あのバラバラ事件を起こしたやつは、ドラゴンが来るのを分かってたんだ!」


そうやって盛り上がり始める生徒達。


「だ、誰なんだ?!バラバラ事件を起こしたやつは!名前が知りたい!妹が被害にあったんだが、俺達の命を助けてくれたことにお礼を言いたい!」


なんてことを口々に騒ぎ出すクラスメイト。


(お、俺はただイタズラしてやろうと引き裂いただけなのに……)


そう思っていると


「バラバラ事件の犯人は英雄だぞ!!!!」

「英雄様素敵ー!!!!!」


と俺を絶賛する流れになっていた。


(だから何で毎回こうなる訳だよ?!俺に悪事をさせない神様の手みたいなのがあるわけ?!)


ここ数日はその存在を疑わざるを得ないことの連続だった。


授業が終わって歩いているとまたフィオネが走ってきた。


「すごいな、バラバラ事件の英雄は、カインもそうは思わないか?未来予知を持っているなんて素晴らしいことだ」

「ん、あ、そうだね」

「何なのだその興味がなさそうな返事は」

「そ、そうかな?」

「まさかお前英雄の事を知っているのではないだろうな?」

「っ!!」


まさかこいつ気付いてないよな?

あの事件を引き起こしたのが俺だってことに。


「んー、でもそんなわけないか、カインって友達いないからそんなこと知ってるわけないよな」


サラッととんでもなく失礼なことを言うなこいつは。


そう思いながらスタスタ歩いていく。


「どこへ行くのだ?」

「どこでもいいだろう?」


俺は図書室に足に運ぶことにした。

チャイムが鳴っていると言うのに付いてくるフィオネに聞く。


「サボりかよ?」

「サボりではない。カインの監視をするのだ」


そう言いながら俺に着いてくるフィオネ。

ガラッと図書室の扉を開けてエロ本でも探す。


「ほう。ほんとに図書室に来るなんて私は関心したぞ」

「関心してくれてありがとよ」


そう投げやりに答える俺だったが、フィオネに腕を掴まれて俺は連れていかれた。


「エロ本探すのに忙しいんだが」

「エロ本……とは何だ?」


エロ本すら知らねぇのかよ?!こいつは!

ほら。疲れるんだよこいつと話すの。


「いや、思い出したぞ。お前が言っているのは古い文献のエーロホーンのことではないのか?」


何か伸ばしただけで急にエロくなくなって知的になってきたな。


「お前あんなもの読むのか?すごいな」

「何の話だ?」


「古代語で書かれた文献だろ?エーロホーンを読めるなんてすごいな。今後のためにも是非私に読み聞かせてくれないか?ほら探しに行こう」


と言ってまた俺の腕を掴んで歩いていくフィオネ。


(だからなんでそうなるんだよぉぉぉぉぉぉぉ?!!!!!!!)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る