第31話
『夜歩きぃ、それは無理だぁ』
と、呆れた様子で悪魔は言った。
「此方側から其方側に干渉は、ダメ」
一匹と一人からボクへの強い眼差し。ダメ絶対、いただきましたアリガトウゴザイマス。
干渉が駄目なら結ばれぬ恋じゃないかな、コレって。
夜風は、ぬるぬるとボクらを通り抜けていく。
その騎士の気持ちが分からないと何とも言えないんだよなぁ、と思うボク。
『確かめる方法を考えるか?』
目の前で偽の毒杯でもあおって見せて、勘違いした騎士が本物の毒薬を飲んで後追い、悲劇完成。
しぇーくすぴあもビックリだ。
「まどろっこしいから、直接聞いたら駄目?」
魔法使いが、一瞬固まってからふるふると横に首を振り始める。壊れたおもちゃのように。
「無理ぃ、ムリむり無理」
闇夜にも関わらず顔が真っ赤と分かってしまった。これは恋に焦がれて死ぬかもしれない。
ボクは一つ、提案を思いつく。
「ならば、お望み通り惚れ薬を作ってみよう作戦です」
ボクのナイスな作戦名に『騎士が薬持ち逃げしたらどうするんだよ!』と悪魔。
「バッドエンド、魔法使いがクラスチェンジ。世界を滅ぼす魔法使いになりますね」
なので、騎士の目の前で作って、騎士の前には偽物を置いて反応を見ましょう。
『お前さぁ、悪魔より悪魔な発想だよな』
魔法使いはボクの言っている意味が分からずにキョトンとしている。
「もしも、惚れ薬を持って逃げるような男なら、魔法使いさんには申し訳ないけど、その程度の男だったんですよ」
魔法使いは泣きそうな顔だ。
ナイトウォーカーだった頃に 霧間愁 @KirimaUrei
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