にゃんにゃんパニック1
朝起きると胸のうえに重みを感じた。
温かくてふわふわなやつ。ツリーキャットがいた頃はよく感じていた幸せな重みだ。
目を瞑ってスヤスヤ眠る美猫をなでなでする。
体を丸めて前足で顔をおさえている。可愛いすぎるので、無限になでなでしてると、ぱちっと目を覚まして、こちらを見つめてくる。
大きなあくびをして、ぐぐーっと伸びをする。全部俺のうえで。ハッとした様子で美猫はキリッとした顔になる。
「気持ちよさそうだな。そんなに伸びしちゃって」
「にゃっ」
前足でぺしっとおでこを踏まれる。肉球がむにゅっとした。幸せな柔らかさだ。俺は前足を掴んで鼻をこすりつける。このおててがたまらない。揉んでよし、嗅いでよし、口付けしてよし。
「にゃっ! にゃっ!」
「ぁあ! ごめんごめん 嫌だった嫌だった、ごめんって」
この美猫ちゃんは見た目通り品があるので、あんまり変なことすると怒られてしまう。肉球でデシデシ! と鈍い音が響く猫パンチを見舞われる。爪はたてないのはこの子の優しさだろう。また可愛さが増してしまった。
今日は祝日、今日も鍛錬を積もう。
あとすこしで完成しそうだからな。
シャワーを浴びて、ポイントミッションを確認する。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【本日のポイントミッション】
毎日コツコツ頑張ろう!
『にゃんにゃんデイ』
猫を拾う 0/3
猫を可愛がりまくる 0/100
【継続日数】167日目
【コツコツランク】プラチナ
【ポイント倍率】4.0倍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
にゃんにゃん、デイ……だと?
なんてハードなポイントミッションなんだ!
シャワーからあがって、頭を乾かしていると、美猫が足元にやってきて体をこすりつけてくる。俺を見上げて「にゃっ!」と泣いた。
あまりに可愛いすぎます。これは持ちあげて、お腹まわりの柔らかいもふもふの毛に顔をうずめて深呼吸を繰りかえされても文句を言えまい。
「にや!」
「なんだそんな可愛いお腹して、もふらせないつもりか? あまり人間を舐めるなよ?」
「にゃ、ニャァ……っ」
このあとすっごくもふもふした。人間の誇りにかけて徹底的に。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【本日のポイントミッション】
毎日コツコツ頑張ろう!
『にゃんにゃんデイ』
猫を拾う 1/3
猫を可愛がりまくる 1/100
【継続日数】167日目
【コツコツランク】プラチナ
【ポイント倍率】4.0倍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「猫を拾うのカウントが進んだか。あと可愛がるほうも1つ進んだ」
美猫へ向きなおると口を半開きにして俺のことを見ていた。なんだスキルツリーを生やしたことにびっくりしてるみたいだ。
「まあいい。さてと、あと99回もふもふさせてもらうぞ!」
「にゃ、にゃにゃ……!」
体中あますことなくもふもふゲージは50まて進行した。
一度にもふもふすると、流石に猫も疲れてしまうのでまたあとで吸うことにしよう。
しかし、猫を拾うほうはどうしたものか。
そんな都合よく猫が落ちてることなんてあるまいし。
「赤谷誠」
「ん、なんだよ」
朝、外周に出かけようとすると、飛影と出会した。神妙な顔をしている。なにかあったのだろうか。
「神華さまを見なかったか?」
「志波姫を? いや、見てないな。昨日は会ったきりだ」
「そうか……ならよい」
「どうかしたのか?」
「……。昨日からお姿が見られないのだ。普段から我のことを鬱陶しく思っておられる節があったが、こうも振り切られることはなかった」
飛影は哀しげな顔をする。
「もしかしたら本当に我のことが目障りで仕方がなかったのかもしれない……」
「にゃっ!」
俺の足元についてきていた美猫が飛影に飛びついた。飛影はとっさに抱き止める。美猫は飛影の胸元をふみふみして場所を整えると、そのまま落ち着いてしまった。
「にゃっ。ニャア!」
「この猫、まるで我をなぐさめるような眼差しではないか」
「ニャア~、にゃっ!」
美猫ちゃんは飛影の豊かな胸を足場にのぼって、彼女の顔をぺしっと叩いた。
「ふふ、励ましてくれているのか、優しい猫だな、お前は」
「ニャア」
「とにかく我は神華さまを探さねば。あのお方が我にたいして真意を隠されているのならば直接確認しなければ。赤谷誠、もし神華さまを見かけたらわたしに連絡をよこせ。よいな?」
飛影は美猫ちゃんを抱えたまま行ってしまった。
「もってかれちゃった。しかし、志波姫が行方不明か」
飛影があんな狼狽えてる姿は初めてみたな。
「まぁーお」
「ん? あっ、猫落ちてる」
道端に茶トラ柄の猫を発見する。
美猫よりもなんか芋臭さがあって、親しみやすい子だ。女の子っぽい可愛らしい顔立ちをしている。
「まぁーお!」
茶トラは俺に気づくと、スタターッと近寄ってきた。飛びついてきたので、先ほどの飛影と同じように抱っこして受けとめる。
茶トラは大変うれしそうに、おでこをこすりつけてくる。あまりに可愛すぎて俺もこすりつける。
「そうかそうか、うちの子になるかぁ〜」
「まぁーおまぁーお!」
茶トラちゃんゲットだ。
「ん? な、なんだあれは?」
茶トラちゃんをもふもふしてると、向こうから銀色に輝く美しい猫が歩いてきた。ふわっふわの毛並みをした猫だ。神々しさすら感じるオーラがあった。
昨日に続いて今日も……最近は猫がよく落ちているなぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます