良質のハンバーグ

 オズモンド先生の突然の提案ではじまった剣聖クラブの初めての活動を終えて、寮に戻ってきた。


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【本日のポイントミッション】

  毎日コツコツ頑張ろう!

  『素振り漬けの日々』


 素振りをする  10,000/10,000


【報酬】

 3スキルポイント獲得!


【継続日数】44日目

【コツコツランク】ゴールド

【ポイント倍率】3.0倍

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 本日のポイントミッション『素振り漬けの日々』はこの展開を読んでいたのかわからないが、志波姫に課された宿題をこなしたついででクリアすることができていた。お得感があって大変によい。

 慣れない筋肉の動かし方をしたせいで、腕が妙に痛む。ポイントミッションで外周をはじめた時と似たような感覚だ。筋肉が新しい動きを覚え、それに適応するために進化している。そんな痛みだ。


━━━━━『スキルツリー』━━━━━━

【Skill Tree】

 ツリーレベル:5

 スキルポイント:3

 ポイントミッション:完了

【Skill Menu】

 『応用体力』   

  取得可能回数:3

 『発展魔力』   

  取得可能回数:2

 『応用防御』   

  取得可能回数:3

 『発展筋力』 

  取得可能回数:2

 『発展技量』   

  取得可能回数:4

 『基礎知力』

  取得可能回数:5

 『基礎抵抗』

  取得可能回数:5

 『応用敏捷』 

  取得可能回数:1

 『基礎神秘』

  取得可能回数:5

 『応用精神』

  取得可能回数:2

 『ペペロンチーノ』 

  取得可能回数:3

 『ハンバーグ』 NEW!

  取得可能回数:1

 

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 シャワーで気持ちよく汗をながし、スキルツリーを腕から生やして確認する。

 NEW!なスキルが案の定増えていた。ハンバーグ。既視感のあるスキル名。


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『ハンバーグ』

パッシブスキル

ハンバーグを作るのが上手になる


ハンバーグの名前の由来は

ハンブルグというドイツの都市

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「ハンバーグまで手に入ったか」

 

 俺は『ハンバーグ』を解放し、部屋をでた。

 風呂上りの午後8時、俺は寮の事務室をたずねる。

 チーンッとベルを鳴らすと、ダビデ寮長が小窓から顔をのぞかせた。


「赤谷ボーイ、こんな時間になんのようだね」

「ハンバーグの季節がやってきてしまいました」

「ふむ、よろしい。ちょっと待っていなさい」


 ダビデ寮長とともに食堂にやってきた。

 彼は業務用冷蔵庫からひき肉とたまねぎを取りだした。


「ダビデ寮長、どうして食材を?」

「赤谷ボーイが夜な夜な料理に打ち込んでいるのはわかっていたさ。特にこの食堂で襲撃された時にもつくっていたハンバーグ。あれには気持ちがこもっていた。誰かに食べてもらおうと思っていなければああいうハンバーグにはならないものだ」


 図星を突かれたようで体温があがったような気がした。

 

「ハンバーグなんて誰がなんのために作っても同じですよ」

「いいや、違うな。赤谷ボーイ、君はあんな丁寧に料理をする人間じゃない。君はもっと、こう、なんというか野暮な人間だ。人体の構造が許すのならひき肉をそのまま口のなかに放りこむし、たまねぎを切ることすらしないだろう」

 

 ダビデ寮長は俺に関して重大な誤解をしているようだ。


「はぁ……ハンバーグの材料提供は感謝します。ありがとうございます」

「頑張りたまへよ、赤谷ボーイ」


 ダビデ寮長の支援のもと、俺はハンバーグを焼きあげた。

 ジュージューと音をたてて、肉汁たちがフライパンのうえで歌っている。

 光を放っているのは気のせいではないだろう。アイテム表示で『良質のハンバーグ』と出ているのだし。

 

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『良質のハンバーグ』

 腕のいい料理人による逸品

 おおきな祝福効果を持つ


【付与効果】

 『防御力上昇 Ⅱ』

【上昇値】

 体力 0 魔力 0 

 防御 0 筋力 0 

 技量 0 知力 0

 抵抗 0 敏捷 0 

 神秘 0 精神 0

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 スキル『ハンバーグ』のおかげで、ハンバーグの熟練度があがったようだ。

 ぺろりと平らげ、間違いなく美味いことを確認する。 

 

 これなら笑われることはない。 

 どこへ出しても恥ずかしくないハンバーグだ。


 食器やフライパン、ボウルに箸などを洗って片付けて、部屋にもどる。

 残されたスキルポイント2を『応用防御』と『応用体力』に振り分けておいた。

 ステータスは以下のように成長した。


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【Status】

 赤谷誠

 レベル:0

 体力 1,950 / 3,000

 魔力 23,200 / 30,000

 防御 3,000

 筋力 30,000

 技量 10,000

 知力 0

 抵抗 0

 敏捷 4,000

 神秘 0

 精神 3,000


【Skill】

 『スキルトーカー』

 『応用体力』×3

 『発展魔力』×3

 『応用防御』×3

 『発展筋力』×3

 『発展技量』

 『応用敏捷』×4

 『応用精神』×3

 『かたくなる』

 『やわらかくなる』

 『くっつく』

 『筋力で飛ばす』

 『筋力で引きよせる』

 『とどめる』

 『曲げる』

 『第六感』×3

 『瞬発力』×3

 『筋力増強』×3

 『圧縮』

 『ペペロンチーノ』

 『毒耐性』

 『シェフ』

 『ステップ』×2

 『浮遊』

 『触手』

 『たくさんの触手』

 『筋力で金属加工』

 『手料理』

 『放水』

 『学習能力アップ』

 『温める』×4

 『転倒』

 『足払い』

 『拳撃』

 『近接攻撃』

 『剣撃』

 『ハンバーグ』


【Equipment】

 『スキルツリー』

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「MP使わないとな。あとテスト勉強も地味にはじめないとだ」


 ソシャゲでスタミナを溢れさせてしまうのは俺の主義ではない。

 はやめのテスト勉強をはじめつつ、自室で『筋力で金属加工』の練習をし、いつものようにMP尽き果てるまで鍛錬して、深い眠りについた。

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