実っていく力
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【Status】
赤谷誠
レベル:0
体力 1/100
魔力 10/10
防御 0
筋力 0
技量 0
知力 0
抵抗 0
敏捷 0
神秘 0
精神 0
【Skill】
『基礎体力』
【Equipment】
『スキルツリー』
━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:1
ポイントミッション:完了
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
『基礎防御』 NEW!
取得可能回数:5
『基礎筋力』 NEW!
取得可能回数:5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
増えたスキルは『基礎防御』と『基礎筋力』か。
スキルツリー、お前もしかして新メニューの開発を……?
どういった条件で取得可能なスキルが増えるのかは不明だが……とりあえず新スキルの内容を確認してみよう。
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『基礎防御』
パッシブスキル
ステータス防御を増加させる
何事もまずは基礎を固めることだ
防御を過信することなかれ
人のそれは脆く 命など簡単に吹き消える
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『基礎筋力』
パッシブスキル
ステータス筋力を増加させる
何事もまずは基礎を固めることだ
筋力はすべてを解決する パワー
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この1ヶ月、いろいろとダンジョンや探索者についての基礎知識を増やした。
防御はとても重要な能力だ。防御という値をいかに高めるかで生存率が変わってくる。悲しいのは人間には防御ステータスを上昇させる手段がないことだ。
一般的には装備を厚くすることでのみ防御力を補強できる。防御系スキルを持っていればその限りではないが。授業で先生が言っていた。
俺は迷わず、『基礎筋力』を解放することにした。
え? 死にたくないから普通は防御を解放するだって?
何言ってるんだ。『基礎筋力』のスキル説明を読め。
パワーって書いてあるじゃないか。
筋力はすべてを解決するんだ。えらい人が言ってた。
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【Status】
赤谷誠
レベル:0
体力 1/100
魔力 10/10
防御 0
筋力 100
技量 0
知力 0
抵抗 0
敏捷 0
神秘 0
精神 0
【Skill】
『基礎体力』
『基礎筋力』
【Equipment】
『スキルツリー』
━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:0
ポイントミッション:完了
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
『基礎防御』
取得可能回数:5
『基礎筋力』
取得可能回数:4
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「はぁ、今日は頑張ったな」
シャワーで汗を流し、スッキリ気持ち良くなって俺はベッドへ身を投げた。
スキルツリーは不明なことが多い。わからない項目もあるし、なんでこんな物が腕から生えてきたのかも謎だ。ポイントミッションは厳しいし辛い。
でも……成長できた。
この1ヶ月、同じ場所に止まってたのに、今日は2歩も、3歩も進めた。
そのことが俺に大きな満足感を与えてくれた。
気がつけば窓の外が明るくなっていた。
差し込む陽光に顔を照らされて目を覚ます。
「もう朝か……寝ちゃってたんだな」
晴れやかな気分だった。
空でも飛べそうなほどに活力に溢れている。
今までの自分とは何かが違う。そう思える。
ベッドを起きようとする。
ビギッと裂けるような痛みが全身に走った。
筋肉痛。俺はその正体を知っていた。昨日の50kmのランニングが俺の体に深刻なダメージをもたらしている。まずいぞ、これはまずい。
「殺される、筋肉痛に、殺される……っ」
痛みの少ない体の動作を探しながら、なんとかベッドから起き上がる。
気をつけなければ死人が出る。
俺はゆっくりと洗面所へ赴き、冷たい水で顔を洗う。
スキルツリーを展開する。この樹の操作要領を少し掴んできた。
勢いよく生やすとスプラッシュするが、それなりに気を遣えば傷口から血が滴るだけで済む。これくらいなら洗面所でも展開して問題なさそうだ。
ステータスを見やれば『HP100/100』となっている。
一晩ぐっすり寝たことで回復したのだろう。
今朝やたら晴れやかな気分だったのは、昨日ずっとHPが1しかなかったせいなのかもしれない。つまりスキルツリーが覚醒したせいで、大量出血した物だから、めっちゃ体調が悪かったのだ。
━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:0
ポイントミッション:『外周』
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
『基礎防御』
取得可能回数:5
『基礎筋力』
取得可能回数:4
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ポイントミッション復活してるじゃん。
やっぱり、毎日1回やれる感じなのかな。
毎日ミッション達成すれば毎日スキルポイントをもらえるのか。
素晴らしいじゃないか。これがポイ活というやつか。
俺はウキウキ気分で天を仰ぐ。
ビギッ。砕け散る我が細胞たち。
「いってぇ……筋肉痛め、ポイントミッションをさせないつもりか……」
かと言って毎日更新されるポイントミッションを取り損ねるわけにはいかない。スキルポイントを取り損ねるくらいなら、俺は死を選ぶぞ。
「舐めるなよ、俺は叛逆の才能、赤谷誠だ……この訳わからんスキルツリーの力で俺は未来を手に入れるんだ」
丁寧にストレッチをし、筋肉痛を慣らしていく。
筋肉がほぐれれば、痛みは軽減され、動くことができるようになる。
食堂へ赴いて、バイキング形式の食事を済ませ、俺は朝から校門を飛び出した。
今日も休日だ。昨日よりかなり体の動きは鈍いが、それでも時間をかければ合計50kmを完走することができるはずだ。
強い意志をもって、俺は馬鹿でかい英雄高校の外周を走った。
━━しばらく後
悲しみ、戦争、核兵器、病気、そして外周。
この世には消した方が幸せになれるものがたくさんある。
夕方。俺は死にかけながら校門に帰ってきて、倒れ込んだ。
筋肉痛に耐えての外周はきつすぎた。
最初こそそれなりのペースで走っていたが、途中からはじじいの散歩みたいな速度で走ることを余儀なくされた。
肉体と精神の限界を試され、幾度も諦めようかと思った。
だが、俺はやったぞ。やったんだ。
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【本日のポイントミッション】
毎日コツコツ頑張ろう!
『外周』
英雄高校の敷地を外周する 10/10
【報酬】
1スキルポイント獲得!
【継続日数】2日目
【コツコツランク】ブロンズ
【ポイント倍率】1.0倍
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スキルポイント……待ってたよ、君のことを、へへへ、ヒッヒッ。
さて何に割り振ろうかなぁ。
ボロボロになった体で寮に戻って、俺はシャワーを浴びながらスキルツリーを開く。
━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:1
ポイントミッション:なし
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
『基礎防御』
取得可能回数:5
『基礎筋力』
取得可能回数:4
『基礎技量』 NEW!
取得可能回数:5
『基礎知力』 NEW!
取得可能回数:5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
増えてるー。また増えてるー。
今度は『基礎技量』と『基礎知力』ですか。
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『基礎技量』
パッシブスキル
ステータス技量を増加させる
何事もまずは基礎を固めることだ
技量はあらゆる動作の精度に関係する
繊細な武器を使いこなすには巧さが必要だ
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『基礎知力』
パッシブスキル
ステータス知力を増加させる
何事もまずは基礎を固めることだ
魔法知識力の指標 思考能力にも影響する
主に魔法系スキルの威力に関係する
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パッシブスキルとパッシブスキル。これがパパ活というやつか。
はい、それじゃあ筋力に振りますねえ(即決)
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【Status】
赤谷誠
レベル:0
体力 100 / 100
魔力 10 / 10
防御 0
筋力 200
技量 0
知力 0
抵抗 0
敏捷 0
神秘 0
精神 0
【Skill】
『基礎体力』
『基礎筋力』×2
【Equipment】
『スキルツリー』
━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:0
ポイントミッション:完了
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
『基礎防御』
取得可能回数:5
『基礎筋力』
取得可能回数:3
『基礎技量』
取得可能回数:5
『基礎知力』
取得可能回数:5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
完璧なスキル選択だ。
あー疲れた。今日は夕飯食べて寝よう。
翌朝。
いまだに筋肉痛がひどい。
ただ昨日の地獄を経験しているおかげが幾許か我慢はできそうだ。
「ポイント♪ ポイント♪ 楽しいなぁ♪」
━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:0
ポイントミッション:『外周』
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
『基礎防御』
取得可能回数:5
『基礎筋力』
取得可能回数:3
『基礎技量』
取得可能回数:5
『基礎知力』
取得可能回数:5
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本日のポイントミッションも『外周』。
憂鬱感とポイント欲しい気持ちがぶつかり合うが、ポイント欲が勝ち、俺は学校を終えて放課後すぐにポイントミッションに取り掛かった。ポイ活大事。
「赤谷ボーイ、門限ギリギリまで何をしている」
夜10時ギリギリに外周10周を終えて、寮へ戻ると寮長に見つかってしまった。
皆にダビデ寮長と呼ばれるこの年齢不詳の黒人。
スキンヘッドに、サングラスに、身長190cm超え、そして筋肉質な見た目。
彼のおかげで英雄高校男子寮で問題を起こす生徒はいないと言われている。
「門限を過ぎれば扉は固く閉ざされる。朝になるまで扉が開くことはない。この意味がわかるか、赤谷ボーイ」
「すみません、よくわかりません」
「Siriみたいな返答をしやがって。━━春と言えど、夜は冷える。ゆっくり休むことも強くになるには重要ということだ」
ダビデ寮長はポケットから怪物エナジーを取り出すと、投げ渡してくる。
「寮長……っ」
「もういくがいい、赤谷ボーイ」
背中越しにサムズアップする寮長へお礼を言って部屋に戻った。
なお、怪物エナジーは寮長の体温で生ぬるくなっていた。
俺の日々のルーティンが出来上がっていく。
朝、ポイントミッションの更新を確認し、ボロボロの体に鞭を打って、外周を走り続ける。ポイントが手に入れば、俺はスキルツリーを開いて、お楽しみのスキル解放タイムを満喫した。
ポイントの獲得、スキルの解放。
それは俺にとって生の実感であった。
頑張りが明確に形となっていることを認識できた。
そうしてルーティンをこなしながら、あっという間に数日が経っていった。
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