スキルツリー検証
この生えている樹を腕に収納できないか試みる。
意外にも本能的に腕の筋肉を動かすことで苦労せずに引っ込めることができた。肘関節と上腕二頭筋と三頭筋の間収められている感覚がある。
樹は生やそうと思えばいつでも生やせるようだった。
何度か収納したり、生やしたりしているうちに慣れてくる。
生やすと一緒に血がプシャっと飛び出すのがネックだ。
人前では赤い樹を生やす気にならない。化け物だと思われるに違いない。
してステータスが変容した件についてだが……
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【Status】
赤谷誠
レベル:0
体力 1/10
魔力 10/10
防御 0
筋力 0
技量 0
知力 0
抵抗 0
敏捷 0
神秘 0
精神 0
【Equipment】
『スキルツリー』
━━━━━━━『スキルツリ』━━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:1
ポイントミッション:『外周』
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:5
『基礎魔力』
取得可能回数:5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
顕著な変化はウィンドウの下部に『スキルツリー』なる追加ウィンドウがあることだ。
ツリー……つまり樹だ。腕から生えている樹を見やる。
【Equipment】の欄にある以上、これは俺の装備品扱いということだろうか。
「それにしてもスキルツリーってなんなんだ……どうして腕から生えて来た」
遺伝的なものなのか。
うちの一族は代々生えてしまう血統だったり。
もしかしたら自分が人間ではないかもしれないという根源的な恐怖が湧いてくる……しかし、すぐにどうでも良くなった。
人間じゃなかったからなんだという。悩んだって始まらない。
俺は深く悩むのが嫌いなのだ。
「逆に考えるんだ、生えちゃってもいいさって」
世の中、生えてて困ることは少ない。
美少女だって生えてる方が需要が高まる狂った世界だ。
これは稀少属性だ。社会的アドバンテージなのだ。
俺はウィンドウに向き直り、未知なる『スキルツリー』について知ることにした。なんの説明もなしにいきなり生えて来たので、どこから手をつければよいかわからなかったが、ポチポチとウィンドウを操作しているうちに、だんだんとこの『スキルツリー』がなんなのか要領をつかめるようになってきた。
━━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:1
ポイントミッション:『外周』
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:5
『基礎魔力』
取得可能回数:5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ウィンドウにあるスキルポイントを指でなぞると説明が表示された。
『【Skill Menu】でスキルポイントを振り分けることでスキルを解放できる』
スキルを解放……言葉のままの意味だとしたら、それは途轍もないことだ。
恐る恐る【Skill Menu】から解放したいスキルを選んでみる。
選択肢は二つある。
『基礎体力』と『基礎魔力』だ。
スキルポイントは1しかない。解放できるのはどちらか一つだけだ。
それぞれ指でなぞると説明が表示される。
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『基礎体力』
パッシブスキル
ステータス体力を増加させる
何事もまずは基礎を固めることだ
体力はあればあるほどよい
偉大な軌跡をはじめよう
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━━━━━━━━━━━━━━━━━━
『基礎魔力』
パッシブスキル
ステータス魔力を増加させる
何事もまずは基礎を固めることだ
魔力は多くのスキルでコストとなる
あって困ることはないだろう
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説明を読み、吟味した結果、俺は『基礎体力』を解放することにした。
なぜなら俺は魔力が必要ないから。
魔力を消費できるスキルを持っていないからな。悲しい、この消去法。
『新しいスキルが解放されました!』
脳内に直接響くような不思議な声が聞こえた。
正確には聞こえたというより感じたかもしれないが。
ステータスウィンドウを確認する。
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【Status】
赤谷誠
レベル:0
体力 1/100
魔力 10/10
防御 0
筋力 0
技量 0
知力 0
抵抗 0
敏捷 0
神秘 0
精神 0
【Skill】
『基礎体力』
【Equipment】
『スキルツリー』
━━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:0
ポイントミッション:『外周』
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
ちょっと待て! 体力が『1/100』になってる!
10べえ……? まさか10べえなのか!?
スキル『基礎体力』を取っただけで最大体力が10→100になるなんて、桁が変わった。スキルツリーさん、さてはあなた凄いですね?
「やっぱりスキルポイントはゼロになったか」
ウィンドウ上の数字に変化がある。
スキルポイントは0になり、【Skill Menu】の『基礎体力』の取得可能回数も5から4に変わっている。
今、スキルを解放したから数字が減ったのか?
文字通りに意味をとらえるのだとすれば、俺は『基礎体力』をあと4回までしか解放できないということになる。
でも、スキルポイント無くなっちゃったからな。
むむ、そういえば【Skill Tree】の欄にポイントミッションなるものがあるな。
『スキルポイントが欲しい? ならミッションやろうよ』
ミッションをやればスキルポイントが手に入るのか。
わかりやすい説明で助かる。
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【本日のポイントミッション】
毎日コツコツ頑張ろう!
『外周』
英雄高校の敷地を外周する 0/10
【継続日数】0日目
【コツコツランク】ブロンズ
【ポイント倍率】1.0倍
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なんかごちゃっとしてるが、このポイントミッションとやらをこなせばスキルポイントが手に入るのか。やるやる全然やる。無限にやらせてくれ。
内容は英雄高校の外周。
外周という響きが懐かしいな。
中学時代はよく部活で学校の周りを走らされていたっけ。
「しかし、この部屋をこのままにしておくのはまずいな」
控え目に見て俺の部屋は殺人現場である。
まずは掃除から始めようか。……これ掃除でなんとかなるよね?
━━4時間後
証拠隠滅する犯人の気持ちになりながらも、なんとか掃除を完了する。
俺は山のように重なった血まみれのタオルをゴミ袋に入れる。
フローリングだったおかげでまだ助かった。壁とか天井とか飛び散ってたけど、まあ、なんとか見た目は綺麗になったね。
くたくたになったまま俺は寮を飛び出し、やたら広い敷地内を歩いて校門へ。
時刻は午後の4時30分。寮では夕食が出る。なんと無料だ。食い逃すと朝まで空腹で過ごすことになるので、なるべく早めに終わらせたいものだ。
俺は走った。
再び校門に戻ってくる頃には、ジャージはぐっしょりと汗を吸い、全身は虚脱感に覆われていた。これもう10周したかな……あっ、1周目ですか、そうですか。
外周一周にかかった時間はざっと30分。何が起こっている。
体感でおよそ5キロはある。
しまった。
こんな走るのなら午前中にランニングマシンで頑張るんじゃなかった。
というか10周したら50キロなんですが。これ設定あってますか。5週じゃ少ないし、7週や8週じゃキリが悪いから……みたいな雰囲気で設定してませんか。
「頑張るかあ……」
すべてはスキルポイントのためだ。
━━5時間後
俺はくたくたになって校門のまえに座りこむ。
「もうだめだ、死ぬ、死人が出る……っ」
怠すぎる。乳酸を感じる。明日は筋肉痛確定だ。
ポイントミッションを確認してみよう。
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【本日のポイントミッション】
毎日コツコツ頑張ろう!
『外周』
英雄高校の敷地を外周する 10/10
【報酬】
1スキルポイント獲得!
【継続日数】1日目
【コツコツランク】ブロンズ
【ポイント倍率】1.0倍
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
やったぞ、俺はやったんだ……っ。
報酬でスキルポイントをもらえてる。
早速、スキルを解放したいが、校門の前に血痕を残すわけにもいかないので、俺は寮に戻り、風呂場へ直行、汗を軽く流し、スキルツリーを生やした状態でステータスウィンドウを開いた。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【Status】
赤谷誠
レベル:0
体力 1/100
魔力 10/10
防御 0
筋力 0
技量 0
知力 0
抵抗 0
敏捷 0
神秘 0
精神 0
【Skill】
『基礎体力』
【Equipment】
『スキルツリー』
━━━━━━━『スキルツリー』━━━━━━
【Skill Tree】
ツリーレベル:0
スキルポイント:1
ポイントミッション:完了
【Skill Menu】
『基礎体力』
取得可能回数:4
『基礎魔力』
取得可能回数:5
『基礎防御』NEW!
取得可能回数:5
『基礎筋力』NEW!
取得可能回数:5
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なんか増えてますねぇ……。
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