第26話


 第三セットは犬崎高等学校、拓真のサーブから始まった。


 拓真が放ったサーブを狼栄の熊川が上げる。それを赤尾がトスで上げ大地へ。後ろから走ってきた大地のバックアタックが炸裂する。ここに来て今日一番のバックアタック。これには瑞樹も対応出来なかった。。それでも犬崎は大地のスパイクを攻略するべく、果敢かかんに挑む。点を取っては取り返す。息をするのも忘れてしまうほどの攻防戦が続いた。


 大地から何度も何度も、スパイクが繰り出される。それを犬崎の皆が、必死上げる。こんなに狼栄の攻撃が決まらない試合は無かったのだろう。赤尾が嫌そうに顔を歪めている。


 上げれば次に繋げられる。


 犬崎の粘りを見せつけろ。


 中継の谷も手に汗を握り絞め、この熱気を会場の外にいる人達にも伝えようと、興奮しながらも、言葉を選び情報を伝える。


「素晴らしい。どちらも引かない。攻撃の狼栄、守備の犬崎。あと一点で第三セットが決まります。さあ、第三セットを取ったのは……王者狼栄だーー!!」


「「「シャーー!!」」」


 大地達が声を上げると、応援団も声を張り上げた。


 *


「いやー。本当に素晴らしい試合ですね。どちらが勝ってもおかしくない。姫川さん、どうですか?」


「両者とも引きませんね。次のセットを狼栄が取れば狼栄の優勝。しかし取られれば、第五セットにもつれ込む。犬崎は後が無いですね。犬崎が何処まで粘れるかですね」


 そんな話をしていると、谷が何かに気づいたように翔に問いかける。


「ところで姫川さん、時々狼栄の大崎選手が犬崎のマネージャーさんに、指をさしたり、拳を前に出したりする仕草が気になるんですが……?やはり、犬崎を煽っているんですかね?」


「あー。違うと思いますよ。あの二人は付き合っていますから、莉愛に対するアピールでしょうね。莉愛はたまったもんじゃないでしょうが……」


「これは新情報です。それで今朝のエントランスホールでのにらみ合いで、犬崎が女王を守り抜くか、狼栄が女王を奪い取るかって言う話しに繋がってくるわけですね」


「あっ、谷さんも今朝のエントランスでの話しを聞いたんですね。兄としては、妹を取られる感じで複雑ですが……。女王を守り抜くか、奪うか、そこも見物ですね」


 































































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