第6話 愛は奇跡

────その一か月後


「う、ううっ、なんで私まだこんなことやってないといけないの……」


「あ~、まあ……」


 今日も今日とて結婚式で祝福を授けるセレスティーネ。


 だが、今日のセレスティーネは一味違っていた。


「おお!長年悩まされていた腰痛が治った!」


「ああ!わしの禿が治ったぞ!」


「きゃ~、お肌のシミが消えたわっ!」


 口々に歓喜の声を上げる民衆たち。


 そう、あの瞬間愛の喜びに満ち溢れたセレスティーネに、もうひとつ「回復魔力」という奇跡の力が宿ってしまったのだ。セレスティーネの光を浴びると小さな病気や怪我など瞬く間に治ってしまう。


 そのため、セレスティーネの大聖女としての価値はますますうなぎ上りになってしまった。そうなってしまうと、一度はラインハルトとの結婚を許した国王陛下も神殿も、セレスティーネの大聖女引退を渋るようになってしまった。


 しかし、


「この力は俺との愛を喜んで神から授けられた新たなる力です。俺を失えばたちまち失われてしまうでしょう。また、俺も聖騎士としての力を失うかもしれません」


 とのラインハルトの言葉によって二人の結婚はそのまま許されることになった。ただし、当分の間神殿勤めは続ける約束だ。


「やっとのんびりできると思ったのに……」


 しょんぼり肩を落とすセレスティーネをラインハルトは優しく抱き寄せる。


「よしよし。よく頑張ってるな。今日は肉にするか?」


「……おいしいステーキが食べたい……」


「まかせとけ」


 こうしてちょっぴり食い意地の張った大聖女は彼女を心から理解する聖騎士と生涯仲睦まじく暮らすことになった。ちなみに聖騎士との愛が深まれば深まるほど聖女の持つ愛のパワーは留まることを知らず、ますます聖女としての地位を上げてしまい、最終的には伝説の大聖女として名を残すことになるのだが……


 それはまた別の話である。



 おしまい

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聖女だって恋がしたいっ! しましまにゃんこ @manekinekoxxx

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