第2話 『【攻略サイト】』

 道中、数体のモンスターに襲われはしたが、特に怪我もせず外へと出てこれた。

 時刻はもう夕方過ぎくらいだろうか? ダンョンの中にいる時は分からなかったが、外は既に太陽が降り始めていた。


 そして俺は、ダンジョンの入り口付近にある建物ーーー【冒険者ギルド】へ用があるため足を運ぶ。






 ☆★ ☆★ ☆★


 【冒険者ギルド】とは、ダンジョンを攻略しモンスターを討伐する冒険者に仕事を提供する施設であり、世界中にいる全ての冒険者が必ずお世話になる場所でもある。

 この施設は基本的には24時間365日営業しており、ダンジョン攻略に必要な物資や装備などの販売も行っている。


 ちなみに、俺が今向かっている場所はダンジョンから一番近い場所にあるため、徒歩で数分程しか掛からない。




「失礼します」


 【冒険者ギルド】のドアノブに手を掛け、扉を開く。

 室内には数人の冒険がいた。

 恐らくダンジョン帰りの冒険者なんだと思う。その証拠に、彼らは俺と同じように疲れている表情をしていた。


 俺はそんな彼らから受付カウンターへと視線を変え、そこにいた女性職員さんに声を掛ける。


「すみません。魔石の買い取りをお願いします」


 俺はそう言い、背負っているバックの中から数十個の魔石を取り出し、カウンターの上に載せる。


「かしこまりました。身分証として『冒険者カード』を提示いただけますでしょうか?」

「はい」


 言われた通り、予あらかじめ手に持っていた冒険者カードを目の前で見せた。


 冒険者カードは、名前・性別・年齢といった基本的な個人情報が書かれており、本人以外の人には使用する事が出来ない物となっている。

 なのでこういった、魔石を売るなどによく身分証として使われる。


「……確認致しました。少々お時間を頂きますので、終わりましたらお名前をお呼びします」

「? 分かりました」


 一瞬。ほんの一瞬だが、目の前の女性職員さんの表情が変わった気がした。




 それから30分後。

 今日はいつもの倍以上長いな〜、と呑気のんきに考え事えをしながらイスに座っていた所、俺の名前が呼ばれたので再びカウンターに戻った。


「申し訳ございません。少々遅れてしまい……これが鑑定書とお金になります」

「いやいや、別に大丈夫ですよ」


 渡されたのは鑑定書とお金。

 鑑定書には魔石一つ一つの詳細情報とその個数が記載されており、受け取ったお金は合計で約6万円もあった

 ……正直かなり嬉しい。なんたって、ここ最近あまりお金を稼げていなかったからだ。


 と、俺が心の中で喜んでいた時、女性職員さんは突然こんな質問をしてきた。


「すいません。話は変わるのですが……涼風すずかぜ様が冒険者になられた時、『アンケート』をなされた事を覚えているでしょうか?」

「……あ〜、はい。うろ覚え程度ですが」


 アンケート……確か、冒険者に成り立ての頃に一度だけここで簡単なアンケートを取られた。

 別に強制とかでは無かったが、アンケートを答えてくれた人の中から10名様限定でユニークスキルを取得できる『スキルオーブ』をプレゼントすると言われたので、少しばかりの期待を寄せてアンケートに回答した。


 でも何でそんな話を今更するんだ? と、俺が疑問に思っていると、彼女はこう言った。


「単刀直入に言いますと、涼風すずかぜ様は抽選に当たりました」

「……え?」

「ですので、今ここでスキルオーブをお渡しします」

「…………え?」


 俺が「え?」しか言わないbotと化していると、彼女はいつの間にか取り出した玉ーーースキルオーブを俺に手渡してきた。






 ☆★ ☆★ ☆★ その日の夜。

 夕食を食べ終え、自室に戻ってから俺は手渡されたスキルオーブを目の前の小机に置いた。


「ふぅぅぅ。取り敢えず一旦整理しよう」


 まず最初に、俺はあの時アンケートを記入して本当に良かったと思っている。だってそうだろう? もしあのまま何もしなければ、このスキルオーブを手に入れる事は出来なかったのだから。

 それにしても、まさか自分が当選するなんて……。宝くじに当たるより確率が低いと言われているのに。


「ーーーけど、こんな物がユニークスキルを取得できるとは」


 俺は改めて、小机の上に置いてあるスキルオーブを見つめる。

 見た目は何処にでもある普通の玉で大きさは水晶玉位。


 俺はそれを手のひらの上で持ち、『ユニークスキル』について考えてみた。


 ユニークスキル。

 ステータスを出現した時に【身体強化】と同じように元から取得しており、アクティブスキルの完全なる上位互換と言われている。


 しかし、問題があるとすればユニークスキルは100人に1人の割合でしか持っていない事だ。

 なので、ユニークスキルを持つ者はそれ相応の力を持っており、冒険者の中でもランクが高い位置に存在している。


「……使って、みるか」


 俺は決心を決め呟く。


 売るという選択肢もある。

 何せ、このスキルオーブを売れば億はでゆうに超えるのだから。


 …………しかし、俺はその選択肢を選ばなかった。

 理由は自分でも分からない。けど、俺の直感・・がそうしろと言っているからだ。



 そうして俺は、スキルオーブを使用した。






 『スキルオーブの効果により、ユニークスキル【攻略サイト lv.1】を取得しました』



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 涼風すずかぜ空そら「18歳」Lv.12

 職業「剣士」


 魔力「F+」

 筋力「E+」

 体力「E+」

 俊敏「D−」

 耐性「F」


 〜〜〜保持スキル一覧〜〜〜

 ユニークスキル:【攻略サイト lv.1】(NEW)

 アクティブスキル:【身体強化 Lv.2】【鑑定瞳 Lv.1】【気配察知 Lv.1】【気配遮断 lv.1】

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【攻略サイト】……使用すると目の前に『検索機能』が出現し、そこにダンジョン名を入力する事で入力したダンジョンの全てを知る事が出来る。

(現在使用可能な検索範囲はFランクまで)

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分からない所や説明不足な所は、バンバンコメントで言って下さい。


次話のタイトル名は、「レベル上げ」です。

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ユニークスキル【攻略サイト】での成り上がり 〜うん。とりあえず分かった事は、このスキルすげぇわ〜 M.N @ATFWX

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