おじルート分岐

「おじな、トゥルーエンドを目指したいねん」


「何言ってんの!おじ!」


おじが脈絡みゃくらくもなく言い出した発言に、おばぶがツッコミを入れた。


おじはおばぶの言うことを聞かずに更に続ける、


「バッドエンド多すぎんねん」


「おじの人生はまだ始まったばかりでしょ。エンドとかないよね……」


「イヤッ。おじは"見える人"やねん」


おじ以外のチャット民は、おじは相変わらず意味不明なことしか言わないなという空気感が出来上がりつつあった。


「ぜんっぜんわかんないけど、おじには一体何が見えてる?」


「今おじには4つのルートが見えているで。それぞれおばぶルート、ひめかルート、ノーネームルート、えーとすルートや」


「はぁん!おばぶ以外ありえんだろ!」


「でもな、その4つのどれにも当てはまらない未来もあるねん」


「どれも選ばないってこと?」


「おじは今のままでも幸せや。バッドエンドを回避できればええねん」


「やれやれ、俺は既に次のステージに上がろうとしてるのに、お前はその体たらくか」


おじのぬるま湯につかったような感想に、何者かが異議を唱えた。


「なんやと?」


「『満足な豚であるより、不満足な人間である方が良い』ミルの幸福論からの引用だ。おじの魂は今豚以下に落ちたということさ」


「誰や!」


「俺は人間だよ子豚ちゃん」


高速タイピングでおじを煽ってくる人間に、おじは心当たりがあった。


「お前よのやろ。引退したんじゃなかったんか?」


「ああ、もうデュラチャはもうほとんど卒業してるよ。たまにこうやっておじの様子を見に来るくらいさ」


「何しに来たんや」


「忠告だよ。お前の歩んでるルートはトゥルーエンドじゃない、バッドエンド以下のノーマルルートさ」


「なんやと?」


「おじ!よのなんかの言葉を聞いちゃだめ!ここはおばぶルートを選ぼ?ベストエンドとは言わないけどおじとうちなら楽しく暮らしていけるよ」


「待て」


そこによのが割り込んできた。


「俺がおじをトゥルーエンドに導く」


「何をするねん!」


おじが焦ってよのを止めようとするが、もう遅かった。


「おじが見ている4つのルートなんて幻さ。目の前には1つの道しかないだろう?」


https://kakuyomu.jp/works/16817330649275343856/episodes/16817330664950161303

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